2022-06-01から1ヶ月間の記事一覧
掲題は、先般始まった参議院の憲法審査会でも出た言葉です。それほど新しいわけではなく、憲法を骨董品扱いにする人たちには新しいのかもしれないが、前からある概念である。何回か言及してきた当家にある本、「図説でわかる憲法問題」にも、プライバシー権…
第25条のあとに、改正草案は三つの新設条項を加えております。もともとは、今の憲法だけ読むつもりで始めたのだが、どうにも政局に勉強をせかされており、改正草案もちゃんと目を通しておかなくてはいけない。まずは、現憲法の第25条を再掲する。 【現行憲法…
明日は11月25日。1970年のこの日、三島由紀夫が自衛隊の建物の中で割腹自殺した。当時の私は10歳であったが、実家は朝の7時と夕方の7時に、一家でテレビのニュースをみるのを日課としていたため、この騒動のことを子供だったにしてはよく覚えている。もちろ…
前回の第25条第2項の続きです。今回は題に「うまい話には裏がある」と書いた。国は少なくとも努力をしてはくれるらしいが、段々と冷たくなってきている点、年金や介護保険に詳しい方はよくご存じのことと思う。それよりも当方と致しましては、現在、不気味に…
ようやく第24条の検討も、最後の回を迎えている。本日は現行第24条第2項と、改正草案の同第3項の比較。 【現行憲法】配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等…
本日は第25条の第2項。第1項で、国民が健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有していることが明言された。権利は、行使してはじめて、その効力を発揮する。行動を起こさなければ宝の持ち腐れ。選挙権も、幸福追求権も、裁判の権利もみんなそうだ。しか…
前回は憲法にケチをつけているかのようで、自分で始めておきながら、あまり愉快ではないが、まだ続きがある。「健康で文化的な生活」とは何か。この「生活」をプライベート・ライフと取ってしまうと、仕事を終えても、ほんの少し楽しむくらいの権利があれば…
もう10年くらい前、司法試験の合格を目指して勉強中の方が、意見交換の席上で、「憲法で一番大事な条文は第9条ではなく、天皇制でも政教分離でもなく、第25条だ。」と力説してみえたのを覚えている。それまで、第25条になんて書いてあるか知らなかった私にと…
ようやく第24条の検討も、最後の回を迎えている。本日は現行第24条第2項と、改正草案の同第3項の比較。 【現行憲法】配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等…
第24条では、改正草案の新案第1項に、ずいぶん時間をかけた。今回は以下引用する現憲法の第24条第1項と、改正草案の第2項を比べる。私の知る限り、一般人まで巻き込んで憲法のみならず、法令の話題でただ一言がここまで反響を呼んでいるケースというのも、こ…
第24条の話題はまだ尽きていない。今日は第25条も関連する。まもなく出てくる国民の三大義務は、いずれも「国民は○○の義務を負ふ」という表現になっている。憲法の本質的性格からして、国民が国民に義務を負わせていることになっており、以前、私はこれを、…
先回のつづき。その「family」が、ほかならぬ現憲法の素案になった「GHQ草案」(マッカーサー素案)の第23条に出てくる。これは現憲法の第24条の土台になったものだ。数字が一つずれているのは、現憲法の第3条と第4条に相当する条文がGHQ草案では一つの条だ…
前々回に第24条の前半を取り上げたので、今回はその後半。「家族は、互いに助け合わなければならない」。 さすがの改正草案も、前文でこの憲法は日本国民が制定すると書いているので、第24条後半も形式上は、日本国民が日本の家族に向かって命令している規定…
再出発する理由は、改正草案の前文に、今の憲法にはない「家族」という言葉が入って来たからだ。国のサイトで憲法をみる。elaws.e-gov.go.jp 最後に「日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。」とあるように…
インターネットの最大の便利さは、検索機能だろう。紙情報のみだった時代は、どこを探せばわからないとか、そもそも、どう探したらいいのか分からないことが多々あり、それがために探しものを諦めたこと数知れず。今は適当に言葉を選んで検索するだけで、玉…
なるべく他の人の意見に左右されないよう、独学を優先すると書いて始めたブログだが、新聞や雑誌を読んだりインターネットで検索をしたりしていると、このご時世、憲法改正に関する記事が多く、こちらも意志が弱いのでつい覗いてしまう。 ネットの例を挙げる…
前回の続き。そして同書では、ここからが私にとってはありがたい情報である。この本によると、(1)日本国憲法では、「基本的人権」という言葉を使うとき、天賦の人権を意味した。(2)「自由および権利」というときは、後国家的人権を含む、広義の人権と…
国民の権利と義務について悪戦苦闘中です。二三回前に、住居や経済の件で熱くなってしまったので、ここで少しクール・ダウンを兼ねつつ、分かったようで分からないまま過ごしてしまった基本的人権のことも含めて、第三章の冒頭部分を復習する。いまの憲法に…
前回の続き。さて先週は、「公益」と「公共の秩序」についての私見を述べたが、一方で、改憲勢力が必死に抹殺しようとしている「公共の福祉」については、さすが福の字をその名に負う男、福沢先生のご威光を借りることとし、「学問のすゝめ」の文中にぴった…
第23条は、いまの憲法も改正草案も、仮名遣い以外は同じ。 第二十三条 学問の自由は、これを保障する。 学問とくれば、福沢諭吉であろう。「学問のすゝめ」は明治初期のベストセラーで、もちろん明治憲法よりも帝国議会よりも先輩である。今回も青空文庫さん…
前回の続きです。自民党やその取り巻きが「新自由主義」とやらを標榜していた時期は、日本の社会経済の一大変革期であったろう。振り返れば失われた十年が、もう十年、再延長された時期にも当たる。別の機会に述べることになるが、家族が壊れた。 特に都市部…
大学で経済学を専攻したし、そのあと営利企業で働いたから、報道でもネットでも政治の話題より、マクロ経済のほうに目が行くことが多い。今回は珍しく、憲法談義でありつつも、経済領域がテーマとなる。予めお断りしておきます。リニア新幹線を痛罵するので…
10月20日に皇后陛下は、82歳の誕生日をお迎えになられた。遅くなりましたが、おめでとうございます。その後、「宮内庁の質問に対する文書ご回答」が公表され、今も宮内庁のウェブ・サイトに掲載されている。書き終えられたのは13日だったそうで、タイ国の故…
第22条は、住まいと職業の自由に関する規定である。条文中の「移転」を広くとらえて、「移動の自由」と主張する人も少なくないようだが、種本の英文版を重視する限り、はっきりと住まいの変更と書かれているので、国語の教科書的には拡大解釈である。もちろ…
今日は、次回に引き続いて、改正草案の第21条第2項を話題にする。血圧はまだ大丈夫で、しかも収まりがついていない。同項を再掲するが、念のため、新設の項であり、いまの憲法には無い。全く無い。 第二十一条 二 前項の規定にかかわらず、公益及び公の秩序…
今回は第21条。前回、私は無意識に「言論の自由」と書いたのだが、以下のとおり、この条文で定めている事柄の総体を表す概念は、よく耳にする言論の自由だけではなくて、正確には「表現の自由」だ。この条項も、複数回の勉強を要することになろう。では、い…
第20条に時間をかけている。ようやく最後の第3項にたどり着いた。これがまた追加変更が多くて、手ごわそうである。そういえば先日の報道で、この2012年の改正草案も、あまりに評判が悪いと判断したのか、一部の改編を予定しているというような記事を読んだ。…
今週は柄にもなく忙しいため、今回は簡略に参ります。第20条の第2項。強制禁止を強調する異色の定めだ。この条項は、改正草案において変更点がないため、何が書いてあるかだけ確かめる。条文は次のとおり。第3項は次回に読むので、今日は略します。第二十条 …
本は印刷物に限る。紙とインクの匂いは不可欠だ。というふうに、いろんな人に主張し、いろんなところに書いてきた。しかし、次の情けない理由二つにより、あっさり寝返った。一つは拙宅の書棚が本でいっぱいになり、置き場所がなくなったこと。もう一つは老…
万一、ここに直接あるいは途中からお越しいただいた方々がいらしたならばお伝え申し上げます。このカテゴリーの最初に書きましたが、私は法律家ではないし、政治家でもないし、憲法の本やサイトも殆ど全く読んでいません。まずは誰の意見にも左右されること…