おじさんの雑記帳 

「20世紀少年」の感想文そのほか 寺本匡俊 1960年生 東京在住

2013-06-01から1ヶ月間の記事一覧

善いも悪いも (20世紀少年 第760回)

第22集の119ページ、大泣きして話せなくなった指導者に代わって、「そういうこと。みんなわかった。」とユキジは言った。何が「そういうこと」なのか明確でないような気がするが、追及するのは野暮であろう。男たちの目付きが鋭くなっている。真意は伝わった…

テニスコートの誓い (20世紀少年 第759回)

第22集の第7話にはヨシツネによる革命の宣言らしきものが出てまいります。革命というのは辞書類によると大別して2種あり、一つは日本語の革命の元になった漢語の易姓革命で、中国では国家が変わり皇帝の姓が改まる(改易の易ですね)こと。もう一つは英単語…

大事なリモコン (20世紀少年 第758回)

第22集第7話のタイトル「敵に渡すな」は、もちろん鉄人28号の主題歌の歌詞、「敵に渡すな大事なリモコン」から採られたものです。ともだち府に登庁した高須幹事長は、もう外は暗い時間だというのに深くお辞儀をする部下たちから「おはようございます!」と挨…

かっこつけしい (20世紀少年 第757回)

第22集第6話には4ページだけ、カンナたちの活動場面が出てくる。大型トラック何台かで万博会場に乗り込んできたのだ。門前でカンナは「爆破班!!」と呼びつけている。相変わらず気の荒い娘であった。いろいろ背負っている人生だからなあ。門だけ壊して他は壊…

お面大王 (20世紀少年 第756回)

銃撃を受けたが水に飛び込んで、命だけは助かったマルオとケロヨン親子であった。息子の修一君は父親の軽はずみな行為がきっかけとなって、ワクチンを車に置いてきてしまったと嘆いている。親父のほうは最初のうち日本語が分からねえのか、あいつらはなどと…

愛の反対 (20世紀少年 第755回)

The opposite of love is not hate, it's indifference. The opposite of beauty is not ugliness, it's indifference. The opposite of faith is not heresy, it's indifference. And the opposite of life is not death, but indifference between life an…

ありがとうな先生 (20世紀少年 第754回)

小欄は基本的に漫画の感想と昔話だけにしている。できるだけ時事には触れない。気が滅入るからだ。でも昨日の都議選で改めて考えたことを書き残します。私はノンポリで投票のたびに政党が違うことなど珍しくないのだが、一つだけ自らのルールを持っている。…

おまえの店 (20世紀少年 第753回)

中島みゆきに「おまえの家」という佳曲がある。私が一番好きな彼女の4番目のアルバム「愛していると云ってくれ」の収録曲。大雨と落雷の効果音から始まり、その雨が止んだところで歌い手の「私」は、昔からのギター仲間らしい「おまえ」の家に行ってみたくな…

リズム・セクション (20世紀少年 第752回)

静岡県の生まれであるが、同県の大企業はほとんどが私の実家がある県庁所在地の静岡市ではなく、大工業都市の浜松市に集中している。ヤマハもその一つで、ピアノもバイクもこの地の企業である。音楽のほうのヤマハのサイト情報によると、リズム・セクション…

ポスター (20世紀少年 第751回)

煙突がたくさん立っている。第22集の63ページ目。かつて話題に出した千住の「お化け煙突」の実物(と言っても古い映画だが)を観てみたい方は、昭和二十八年(1953年)の邦画「煙突の見える場所」をご覧になるといいです。今の都心には煙突などいくら探して…

子供時代のイヤな思い出 (20世紀少年 第750回)

第22週第4話「あんたの勝負」には、まず久しぶりに”ともだちタワー”内の円卓会議場が出てくる。一人の幹部が先日の”ともだち”の放送について、何処までが真実で何処までが嘘なのか、ジョークなのか本気なのかと怒鳴り散らし、誰か説明できないのかと混乱して…

俺ら東京さ行ぐだ (20世紀少年 第749回)

今朝の東京は荒天なり。ピンク・フロイドの「One of These Days」を思い出します。 コンチはカンナの肩を軽くたたいてねぎらい、親指一本を立てている。この印、日本では昔から「OK」の意味だが、これも含めて指を使う合図というのは国や文化によって意味が…

フェスティバル (20世紀少年 第748回)

ウッドストックを取り上げているサイトはたくさんある。それらによるとクリーデンス・クリアウォーター・リバイバルがウッドストックで「スージーQ]を歌ったのは1969年8月16日。ケンヂがフクベエを誘って首吊り坂にでかけた12日前のことである。この日の夜、…

DJをかます (20世紀少年第747回)

以前ヘミングウェイが苦手と書いたが、なぜか彼のみならずアメリカの小説が肌に合わず「白鯨」も挫折。ちゃんと最後までしっかり読めたのは「怒りの葡萄」ぐらいか。主人公一家はケロヨンと逆方向にルート66を走る。さらに、和洋を問わず女流文学も不得手。…

風と共に去りぬ (20世紀少年 第746回)

第22集の47ページ、引き続き舞台はコンチのスタジオ内。コンチは職業柄、先ほどから気になっていることがある。行き倒れになるほど貧窮している男が、なぜか後生大事にアコースティック・ギターを持ち歩いているのだ。身の上話が一段落して、コンチはようや…

Centerfield (20世紀少年 第745回)

前回の続きです。このブログも早、2年。ちょうど2年くらいで終わるかと思っていたのだが、あと半年ぐらいかかりそうだ。早くしないと西暦が終わってしまう。さて。 1980年代の終わりごろ、サンフランシスコでアパートを借りて住んだとき、数十ドルで30チャン…

ディマジオ (20世紀少年 第744回)

先日サッカーの話題で脱線したばかりだが、今回と次回は野球の雑談。次回の最後で漫画に戻る予定。今年の野球シーズンが始まる直前に松井秀喜が現役引退を表明した。現地の夕方、日本では朝のニュースで引退の記者会見があり実況中継を観た。 そのとき彼は、…

水分補給 (20世紀少年 第743回)

泥人形に向かってコンチが銃を向け、「誰だ」と叫んでいる。ともだち歴3年、氷の女王一派はもちろん、ヨシツネやカエル帝国まで銃器を所持している。銃規制などなくなっているのか。この下書きを書いている今日、アメリカで銃規制派のニューヨーク市長に猛毒…

泥人形 (20世紀少年 第742回)

第22集の第3話「東京都民の皆さん」は、母親の制止も聞かずサナエが外に飛び出して、自分が配ったカセットの曲が近所の家々から聴こえてくるのを喜んでいる場面から始まる。ところが母ちゃんが驚いたことにカツオまで家から飛び出してきた。弟は姉にラジオが…

音楽祭  (20世紀少年 第741回)

第21集の21ページ目。ここでは先に放送局を占拠し、ラジオ・アンテナを立てた田村マサオに、取りあえずの指揮命令権がある。彼は「今から武装蜂起を呼びかける」と後続参加のカンナたちに作戦を告げた。ところが意外にも娘は「だめよ」と言下に否定した。そ…

どの家からも聴こえる歌 (20世紀少年 第740回)

第22集の第2話は「最後の歌」というタイトルが付いている。なぜ最後なのか。これを最後に音楽が終わるわけでもないだろうに。最後の手段みたいな意味かな。ラスト・ワルツなら知っています。ザ・バンドの解散コンサートの記録映画だ。写真を見るとボブ・ディ…

寒いともだち (20世紀少年 第739回)

書き忘れた。うっかりしているうちにコンチとマサオが北海道から撤退してしまった。あとで出てくるが仲畑先生も引っ越してしまっている。コンチ最後の北海道の回想が始まる前に、私最後の北海道の回想を書こう。 子供のころ、輝く日本レコード大賞は「歌手」…

面倒なもん (20世紀少年 第738回)

第22集の11ページ目は「なんとかしなくちゃ」というヨシツネ隊長の言葉で場面が切り替わり、格子に布張りの四角い建築物みたいなものが出てくる。その中でゴウンゴウンと音を立てているのは、後ほど善いも悪いもリモコン次第という鉄人28号の伝統を引き継ぐ…

リネカー (20世紀少年 第737回)

今日は脱線。最近、まじめな感想ばかり書いていたので少し息抜きをしたくなりました。雑談のテーマはサッカー。あえて、きっかけを挙げれば第21集の終わりでサッカー・ボールを抱えた少年が、”ともだち”の流したギターの音を不審そうに聴いていたのと、モン…

第21巻の終わり (20世紀少年 第736回)

「”よげん”なんてウソだよ」という”ともだち”の上目づかいが気に入らない。続いて彼は「全部僕がやったことだ」と言ったが、多分これもウソだろう。ウソではないとしたら、血の大みそかの一連の騒動も彼の仕業ということになるのだが、少なくとも彼だけがや…

僕の才能 (20世紀少年 第735回)

前回に引き続き、次の三つの発言の内容を検討します。今回のメイン・テーマは「僕の才能」。 1) 世界はずっと僕の才能を認めなかった。 2) 僕は必要だけど、世界は必要じゃない。 3) ”よげん”なんてウソだよ。全部、僕がやったことだ。 3)で”よげん”…

世界 (20世紀少年 第734回)

”よげん”の自慢話を終えた”ともだち”は、急に話の展開を変えて、立て続けに一方的な主張をしている。まず次の三つ。 1) 世界はずっと僕の才能を認めなかった。 2) 僕は必要だけど、世界は必要じゃない。 3) ”よげん”なんてウソだよ。全部、僕がやった…

よげん (20世紀少年 第733回)

いよいよ”ともだち”がその本性を現そうとしている。その言い分を聴きながら”ともだち”とは何かを分析するというか、イチャモンを付けるのが今回以降の趣向です。「変な放送」はテレビの映像だけではないらしい。道端でサッカーをしている子供たちや商店街を…

点目 (20世紀少年 第732回)

第21集の199ページ目、どうやって東京都民を万博会場に集めるか悩むカンナに、コイズミは「メガホンで”万博会場に集まってくださーい”って言えば? ヤキイモ屋みたいに。」と提案するが、理由を言ったらみんなパニックになると即刻、却下されて目が点になっ…

天気予報 (20世紀少年 第731回)

山路を登りながら、こう考えた。 智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。 住みにくさが高じると、安い所へ引き越したくなる。どこへ越しても住みにくいと悟った時、詩が生れて、画が出来る。 人の世を…