神谷美恵子「こころの旅」の第八章「人生の秋」には、「抵抗」という言葉が何度も出てきます。前回の「向老期」は、自らの老いに対し抵抗する時期との位置づけのようです。同感です。この作品を連載していた当時の著者は、六十手前でしたので、ちょうどその…
今回から神谷美恵子「こころの旅」の後半(第八章以降)を読みます。第八章「人生の秋」は、第七章「はたらきざかり」の次の段階、人生の次の季節です。「はたらきざかり」は、文中で「壮年期」とも言い換えられています。年齢層は「いちおう二十五歳から五…
最初に神谷美恵子「こころの旅」を読んだとき、これは良い本に巡り合ったなと冒頭部分で思いました。印象に残った分を飛び飛びに転記します。この「こころの旅」が、「からだの健康」という雑誌の連載だったことも関連しています。・ 人の生にこんなにも重み…
今回からしばらくの間、神谷美恵子著「こころの旅」を読みます。「あとがき」によると、この書籍は1973年1月より、「からだの科学」という雑誌に連載された一連の記事を、単行本にして商業出版されたものです。著者(故人)は精神科医で、「からだの科学」誌…
しばらく読書感想文や書籍の案内が続きました。今回は観点を変えて、平均余命の話です。先日、何かの記事で高齢者になれば重要なのは、平均寿命と現在の年齢の差ではなく、現在の年齢における平均余命だとありました。なるほどと思います。いずれもあくまで…
あともう一回、岸本英夫氏著「死を見つめる心」についての記事を書きます。著者の原発ガンは、詳しい検査を受けても、なかなか見つかりませんでした。それは髪の毛に隠された位置にある皮膚(ほくろ)だったそうです。この闘病記は、1960年代から70年代にか…
前回の続きで岸本英夫氏著「死を見つめる心」の紹介文です。私が青少年のころは、リンパ腺という言葉が使われていたように思いますが、正式な医学用語は「リンパ節」なのだそうです。以下はネットの諸情報から拾ったもので、本を読むための大雑把な情報を集…
先回、二人の研究者(いずれも故人)の闘病記を読むと述べ、前回までは一人目の免疫学者、多田富雄氏著「寡黙なる巨人」の読書をしました。今回からは二人目の宗教学者、岸本英夫氏著「死を見つめる心」(講談社文庫)です。副題に「ガンとたたかった十年間…
これまで多田富雄著「寡黙なる巨人」を読んでまいりました。いくつかのテーマを選んで紹介文を書きましたが今回が最後です。標題のとおり、リハビリテーション。寝た切り患者だった著者が、約半年後からリハビリを始めます。専門医等の指導による本格的な治…
前回のつづきで多田富雄著「寡黙なる巨人」の読書です。前々回に著者の免疫学の概説に出てくる「自己」という概念に触れました。本書にも「自己」、「自分」が登場します。脳梗塞で「半醒半酔」(夢うつつ)の状態になりました。医師からはすっかり元には戻…
今回から多田富雄著「寡黙なる巨人」の読書を始めます。前回、前掲立花書から免疫学における「自己」や「自分」という言葉を拾ったのには訳があって、この著作にも「自己」、「自分」が出てきます。その話題は次回とし、今回は状況説明です。何がどう起きた…
今回から二人の研究者による闘病記の案内文を書きます。以前、小説を題材にしたときは感想文と呼びました。フィクションの場合、登場人物の心理を推量したりといった読み方は自由ですし、それが楽しみでもあります。でもノンフィクションの場合、しかも故人…
先回話題にしたように、次回から二人の学者(いずれも故人)の闘病記を読みます。いずれも文庫本で買いました。もう十年以上前のことで、何がきっかけになったのか覚えていません。そのころ死生について考えるような出来事があったかと考えてみると、一つは…
経験談を二つ。一つ目は東日本大震災のあとで伺った医師のお話し。2011年3月11日、彼は津波の被災地となった地域で経営するクリニックで診療を行っていた。患者が途切れ、看護師さんと二人になったとき大きな揺れが来た。大津波の警報が出たため逃げることに…
何年も前に、司法試験に向けて法律の勉強をされている方から、「憲法で一番重要な条文は第25条だ」という意見を聴いた件について書きました。しばしば「生存権」と呼ばれる規定です。「e-GOV」のサイトから転載します。第二十五条 すべて国民は、健康で文化…
何回かの記事を費やした重松清著「その日のまえに」の感想文も今回が最後です。この連載は「生老病死」のうち、「老」が最も縁が薄い作品を扱っており、「老いを見つめる」というカテゴリー名から少し離れていますが、老いた私が本を読んでブログを書いてい…
本ブログはその名のとおり「雑記帳」であり、雑多なカテゴリーが一緒くたになっている。ここしばらくは「老いを見つめる」というカテゴリーで連載してきた。これはこれで続けてゆくが、今回から「憲法と社会」のカテゴリーを二年ぶりに再開し、「老いを見つ…
重松清「その日のまえに」の終盤にある短編「その日」および「その日のあとで」には、これら以前の収録作品の登場人物が再登場します。重松書の感想文もあと二回。私の好みの登場人物を二人、タイトルにします。今回は「ひこうき雲」に出てきたクラス委員の…
青少年時代になじんだ日本語が、どんどん消えたり変形したりしています。古今東西、言葉とはそういうものでしょう。私も大人から、言葉遣いが変だと何度も叱責されました。それでも、当時は大人から(家族親戚だけではなく、読書や映画などからも)、長く使…
何回か前に、昨年は4本もの歯が折れたり欠けたりし、その治療と部分入れ歯・マウスピースの処置がようやく終わったと思ったら、年末に入れ歯の一つが割れてしまい、そのまま年を越したと書きました。その部分入れ歯は年初に修復し、これで今度こそ一段落かと…
重松清「その日のまえに」を読書中です。これまでに短編「その日」まで進みました。アインシュタイン博士は相対性理論において、時間と空間は絶対的ではない(伸びたり縮んだり歪んだりする)と説いたそうですが、私たちの自覚のうえでも、特に時間は同じ速…
新年あけましておめでとうございます。本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。新年第一回の投稿ですので、できるだけ前向きな記事にしようと考えておりますが、「老いを見つめる」というカテゴリーですから、最初はやっぱり毒を吐きます。そういう言葉を使…
本年最後の話題は私の歯です。ネットの諸情報によると、若干の相違はありますが、六十代の日本人男性の歯の本数は、22~23本ぐらいのようです。私の場合、被せ物や折れた歯を接合したものが2本あり、それを入れると65歳で23本ですから、まずまず平均的です。…
重松清「その日のまえに」収録の短編、「その日」に戻ります。感想文の続き。意識のない妻の和美を病院に見舞った主人公は、職場に戻り、社長の留守中に仕事の依頼があったことを部下の工藤くんから知らされました。その依頼は諸条件からして彼の事務所が請…
今回は読書感想文を一回休み。とある新聞記事に興味を抱きましたので、その概要と一読後の感想を記録します。記事は東京新聞の本年12月3日朝刊、第7面の「考える広場」にある「アンチエイジングの行く先は?」。タイトルの印象からして、アンチエイジング(…
前回の続き、重松清「その日のまえに」収録の短編「その日」です。病院からタクシーで自分が経営する会社に戻った主人公に、唐突な仕事の依頼が待っていました。社長の妻の和美が、「その日」を迎えつつあることを社員も知っています。もう誰も容態を訊いて…
前回の続きです。今回は短編集の最後から二番目の作品、「その日」。ちなみに最後の作品は「その日のあとで」。この作品集における「その日」とは主人公によると、「僕たちは、いずれ訪れる和美の亡くなる日を『その日』と呼んでいた」。ただし、この短編は…
多くのブログが自慢話と商売っ気満載の賑やかなものであるのに対し、このカテゴリーは目下の(そしてきっとお呼びが来るまでずっと)私の一番の懸念である四苦(生老病死)を主題にしていますから何とも暗い。最近、年を取ると心も老いて弱くなるのだろうか…
重松清「その日のまえに」の感想文に戻ります。7作品ある短編のうち、最後の3編は同じ家族の物語。主人公は語り部の「僕」、余命宣告を受けた妻の和美、中学高校の息子が二人。4人とも主人公ですが、この感想文では「僕」を連発するのも気が乗らないので、便…
拙ブログのカテゴリー「老いを見つめる」の記事は主に2種類あって、一つは自分の老化の症状や心境について書き、もう一つは書籍や映画などの感想文として、生老病死について考えています。今回は「その日のまえに」の読書を一休みして、前者の自分の老化話…