おじさんの雑記帳 

「20世紀少年」の感想文そのほか 寺本匡俊 1960年生 東京在住

2014-03-01から1ヶ月間の記事一覧

レナちゃん (20世紀少年 第855回)

早く高須の話題、終わらせたいな。ユキジも同様らしく、犯人は”ともだち”の残党なのかと本題に素早く鋭く切り込んでいる。高須の返事は「まだ”ともだち”の教えを信じて、守っている連中がいるのよ」というものだった。「守っている?」と訊き返すユキジ。 こ…

本当の子だし (20世紀少年 第854回)

全体に浦沢漫画は女の登場人物に甘く優しい。「20世紀少年」でも男は次々といろんな理由で死んでいくが(もともと男がたくさん出てくるというのもあるが)、女はたくましく生きていく。それなりの役柄と名前が付いている登場人物のうち、亡くなった女はメイ…

天使の誘惑 (20世紀少年 第853回)

本日も余談から始めます。私が万能細胞という言葉を知ったのは多分、10年くらい前で当時は東京の東側に住んでいた。近所に難病の子を抱えたご家庭があり、その時点の医学技術では不知の病であるため一生苦しまざるを得ず、頼みの綱は万能細胞だけだと親御さ…

思春期の青少年 (20世紀少年 第852回)

下巻の25ページ。息を切らせて「なんなんだここは」とぼやきながらニセの故郷の道を歩いてきたケンヂは、とうとう神社の前で立ち止まってしまい、石壁にもたれかかって「くそ〜」と言った。まだノッペラボウの衝撃から立ち直っていないご様子。 彼は「現実の…

蝶野隊長は銃を取った (20世紀少年 第851回)

確かもう二三十年も前に読んだ文章について。ドキュメンタリーなのかフィクションなのかすら覚えていないし著者の名前も記憶にないが、内容はアカデミー脚本賞を獲った映画「ローマの休日」の脚本がどうやら名義貸しであったという噂が流れ、本当に書いた人…

ひとりぼっちのあいつ (20世紀少年 第850回)

「奴は俺達の魂の友だ」。「俺達は泥棒団みたいに結束が固いんだ」。先日、恋人を失くしたミック・ジャガーに寄せて、キース・リチャーズの公式声明文より。ステージが待っている。お客も待っている。 さて。多分もう40年ぐらい前に一回観たっきりの映画「00…

ここのルール  (20世紀少年 第849回)

下巻の19ページ目でケンヂの質問攻めにあったお面の少年は、まず「ここのルールがわかってない」ので時期尚早であると話を逸らし、続いて「えらそうに言っちゃってさ。国連軍の手先になってるだけじゃん」と憎まれ口をたたいた。「おまえ...」とつぶやくケン…

カオナシ (20世紀少年 第848回)

お面という言葉を何気なく何度も使ってきたが、面という字には顔という意味もある。いずれも単なる顔面の意にとどまらず、顔役、面子、面目、面々、面汚し、したり顔、顔パス、顔が広い、あの人の一面、どの面下げて、ケンヂに顔向けできない等々、人格やプ…

3月11日 火曜日 天気〇     (号外)  

2011年の夏、東日本大震災の発生から数か月経った或る日、仙台で診療所を営んでみえる医師の講演を聴く機会があった。彼はその当時に自らのクリニックで働いていた看護師を津波で失った。 その看護師さんは当日、非番だったそうだ。このため地震が起きたとき…

三億円事件 (20世紀少年 第847回)

明日は確定申告で忙しくなりそうなので、今日のうちに書いておこう。3月10日は東京大空襲(1945年)の日です。この日付は私にとって8月15日よりも重い。理由は単純明快。ご近所で大勢の人が亡くなったからだ。死者は約10万人と言われている。早めの春休みで…

Satisfaction

前回の続き。キース・リチャーズは途中からジャケットを脱いで、ピンク色のカーディガン姿になっている。ロン・ウッドも革ジャンを脱ぎ捨てて黄色のTシャツ姿になった。いつまでたっても原色の似合う人たちなのだ。キースはバンダナも巻いていた。 二十代の…

It's Only Rock 'N' Roll

ストーンズのライブに行ってきた。3月4日の東京ドームである。実によかった。今年は春から縁起が良い。昨年ポール・マッカートニーが来日したときは全く関心が湧かなかったのに、ローリング・ストーンズが来ると聞いては話が別だ。 連中はまだ70歳前後だが、…

ひと夏の経験 (20世紀少年 第846回)

ケンヂが軽音の前でジャンピング・ジャック・フラッシュを弾き、私が大学に進んだ1979年、ソビエト連邦がアフガニスタンに軍事侵攻し、戦争は十年に及んだ。これを受けて日本政府は、1980年のモスクワ・オリンピックをボイコットした。 体育の授業中に「この…