2013-01-01から1年間の記事一覧
あと一日足らずで本年も終わりです。本来の予定によれば、今年中に下巻の最後まで感想文を書き終えているはずだったのに。それが仕事やら体調やらでペース・ダウンしたため、とうとう間に合わなかった。 別に間に合わなくても誰も困らないし、私も困らない。…
ちょっと話が前後する。上巻の134ページ目で万丈目が「流行りそうなものは、片っぱしから手え出した」と例示しているものの中に「覆面レスラー」が入っている。覆面レスラーについては、かつてザ・デストロイヤーを話題にした覚えがあるが、ここでの絵の覆面…
裏町酒場ロンドンのテーブル席で、「俺はなぜ死んだ」と万丈目は尋ねた。上巻の132ページ目。ケンヂも忙しい身の上なのに、死人に死因を解説する羽目になった。「高須って女いるだろ」とグラスを傾けながら、興味なさそうに言う。「あいつに撃ち殺されたんだ…
2回続けて万丈目のヤケ酒に付き合うのも気が滅入りそうなので、少し話題を逸らします。心理学に関心のある方ならご存知のとおり、ユングに「ペルソナ」という概念がある。これがまた簡単なようでいて、なかなか分かりづらい。ペルソナとは、本来、役者がつけ…
タイトルを見ただけで、どこかで聞いた覚えがあると感じたお方は、私と同年代かそれ以上でしょう。60年代はロックの時代だとケンヂは言ったが、当時の小学生にとって(彼もそのファンだったように)、60年代の日本はグループ・サウンズの時代であった。「小…
2002年の夏、今は亡きモンちゃんが学校の屋上というサダキヨ向けの場所で、校庭のサッカー・ゴールを見下ろしながらサダキヨ相手に日韓ワールドカップが盛り上がったなという話をしている。今の子供たちの心に一生刻み込まれるだろうとモンちゃんは語り、で…
上巻の第6話「マネのマネ」に入ります。若き日の万丈目が路上に座り込んで、いかがわしい商売をしている。左の頬に絆創膏が貼ってある。自分に殴られた箇所が腫れ上ったのだろう。そうであれば、これは現実の過去の描写ではなくて、ヴァーチャル・アトラクシ…
どうでもよろしい雑談から始めます。日本でのカラーテレビの配信は、私や浦沢直樹氏や皇太子殿下が(この順番で失礼はないだろうか?)生まれた1960年に始まっている。テレビはその前年の両陛下のご成婚から1964年の東京オリンピックにかけて大いに普及した…
上巻の119ページで話はヴァーチャル・アトラクションのケンヂたちに戻る。神社の階段の下で「ケンヂー」と呼ばわるマルオとヨシツネの声がする。初老ケンヂは少年ケンヂに向かって、マルオたちが呼んでいるからそろそろ帰れと言った。用済みとなったか。少年…
今回のブログ記事は、白河の関で書いている。傍らに夕暮れを迎えた公園があり、あの日の13番のようにベンチに腰掛けて、くつろぎながら最終バスを待っています。 昨日は勿来の旅館で一泊。勿来から白河へ、すなわち浜通りから中通りに抜けるには小生得意の鉄…
今のところブログはこれだけなので、漫画と関係ないことを書きたいときも、ここを使うほかない。これを書いている今(2013年12月12日)、旅先の旅館では外の道を流していく「石焼き芋、焼き立て」という不滅の言い回しが聞こえてくる。 荷物抱えてあちこち歩…
みんな張り切っているのにと言ってカンナ嬢は下を向く。上巻115頁、物言わぬサダキヨ相手に、景気よく話し続けてきたカンナも、ここにきて「あたしはどうすればいい?」と思案顔でうつむいている。ここでちょっと寄り道します。物言わぬ相手という話題で坂口…
漫画と関係ない話から始めます。昨日、日本武道館でコンサートを観てきた。これまで気付かなかったのだが、武道館のステージはアリーナ席の会場から、かなり高い位置に設けられている。舞台下の撮影陣の頭よりも上にステージがあるのだがら、2メートルぐらい…
流星号、いい名前である。なんたって日本語だ。昔は日本の飛行機も「よど号」などと固有名詞がついていたものだが、今は数字と社名の組み合わせだけで風情がない。間もなく全廃されてしまう青色の深夜特急、ブルー・トレインも総称こそ英語だが、各路線は奥…
第5話「未来のおばけ」には、道端で小物を売っている若き日の万丈目が出てくる。蝶ネクタイに釣りズボンというバタ臭いかっこうで文房具などを並べている。この日の目玉商品はNASAが開発したボールペンである。「アポロが月面着陸した時、使ったものだ」「宇…
まずはお詫びと訂正から。前回、ケンヂが入り行く先のヴァーチャル・アトラクションは1969年の夏と書いたのですが、正しくは1970年でした。単なる思い込みによる勘違い。1970年であることは、万丈目とケンヂの会話からも、フクベエたちが5年生であることから…
丸い卓袱台に行儀悪く突っ伏したままで、ヨシツネは「ケンヂ、ヴァーチャル・アトラクションに入るんだ」と言った。「え?」と叫ぶユキジの顔がとても怖い。一件落着したはずではなかったのか? だがマルオの補足説明によると、連合軍はまだ”ともだち”が何か…
上巻の88ページ目。ユキジの昔話が終わり、夜の空き地に立つ小さな小屋が描かれている。この小屋は第19集の最後に出てきた。ヨシツネが玄関先を掃除していた最後の秘密基地である。ここに隊長は自らも含めると9人の戦士をお招きして、慰労会を開催することに…
上巻第4話のユキジ対ケンヂの過去形三連戦は、緒戦がユキジのKO勝ち、第二戦もユキジが判定に持ち込み、柔道家らしく優勢勝ちで逃げき切ったが、第三戦は云わばケンヂの不戦勝となった。場所はライブハウスの「B.C.G.」というワクチン的な店。年代は不明だが…
久しぶりに脱線したくなりました。政治の話が含まれます。私は中村のお兄ちゃんのようにノンポリなので、相手構わず言いたい放題ですが、特定の政党を支持なさっているかたは御気分を悪くするおそれがありますのでご遠慮ください。まずはTPP。やっぱりアメリ…
小中学生の頃のユキジの髪型は、磯野ワカメと似たオカッパ頭であった。1997年と2000年の登場時には長く真っ直ぐに下ろしている。21世紀になると三つ編みにしているのだが、普通、順番としては三つ編みはごく若いころではなかったろうか? どうも女の髪型には…
去年だったか大学生になる息子に、近ごろどんな歌手が気に入りなんだと訊いたところ、「んー、わたなべまちこ」という鈍い返事が返ってきた。さほど珍しくもない氏名だから新人かとも思いつつ、例えばどんな歌だと重ねて問うたところ、「かもめが翔んだ日」…
上巻の74頁で国連のプロファイラーが「これです」と差し出した紙には、「反陽子ばくだんで世界はほろびるだろう」と書かれている。この「○○だろう」という文末は「しんよげんの書」独特の文体であり、ケンヂがガキのころ書いた「よげんの書」は基本的に過去…
昨日の報道によると、軍縮目的の国際会議で「殺人ロボット兵器」の規制が議論されたらしい。まだ実戦配備はされていないそうだが、アメリカなどが開発中とある。あの国は開発が終われば必ず使う。原爆や枯葉剤や無人飛行機で証明済みだ。なお、盗聴といえば”…
もう40年以上も前にコミックスで読んだきりの「巨人の星」の冒頭場面、ジャイアンツの監督、川上哲治は魔送球の非を鳴らして自ら引退に追い込んだ元同僚の星一徹の様子を伺いに、彼の自宅を夜になってそっと訪れる。一徹父ちゃんは相変わらず例の丸い卓袱台…
目玉と左手を組み合わせた俺達のマークを考案したのはオッチョであるが、それを旗に仕立て上げたのはドンキーである。旗になった時点でオッチョの当初目的である「このマークを知っているのは本当の友達だ」という役割は発展的に解消されて、誰の目にも見え…
800回記念のタイトル向けに、ちょうど威勢の良い場面が回ってきた。浦澤漫画は服装や小道具ほか背景を丁寧に描くし、雲や空に至るまでスクリーン・トーンも多用するため全体に情報量が多く、基本的に漫画は白黒だから彼の作品は他と比べて黒っぽい感じがする…
今回はちょっと寄り道する。「21世紀少年」の上巻64ページ目の上段左に、それほど大きなコマではないが、オッチョがケンヂの肩を抱く絵がある。私の勝手な思い込みであることは充分承知のうえだが、作者はこれを描きたくてこの大長編に取り組んだのではない…
世間話から始めます。先週、拙宅すぐそばで交通違反の摘発を二日続けてみた。いずれも大通り沿いの出来事で、最初の件はすでに警察に止められたタクシーが路肩に停められており、初老の運転手が路上で若い警察官相手に土下座して謝ってみえる横を通り過ぎた…
私が「反物質」という言葉を知ったのは、二十代半ば(1980年代)に星野之宣が世に問うた長編SF漫画の金字塔、「2001夜物語」に出てくる「悪魔の星」という一編を読んだときだったと思う。 物語では当時まだ惑星から格下げになる前の冥王星の外側に、質量が太…