2011-07-01から1ヶ月間の記事一覧
話を少し前に戻して、第2巻の第2話は「オッチョ」というタイトルである。とはいえ彼は登場せず、その過去が少しずつ明らかにされ始める段階である。 29ページ目に、カウンターで口をぽっかり空けて驚いているケンヂの前で、ユキジが背筋を伸ばして立っている…
第2回第4話の「ヤマさん」は、ともだちとケンヂが小学校の同級生だった事実を把握したチョーさんが、再びケンヂのコンビニエンス・ストアを訪問するところから始まる。しかし、ケンヂは本社の担当に指導されている最中だったので、チョーさんは営業妨害を避…
今回は作品の本筋から、ちょっと脱線します。現代の日本語では、健児という名の読み仮名は「ケンヂ」とは表記せず、「ケンジ」になるはずである。しかし、この物語では会話も署名もすべて「ケンヂ」で統一されている。今のわれわれは、「ヂ」や「ぢ」という…
第2回の47ページ目、チョーさんはヤマさんを、喫茶店ピーナッツに誘い出す。そして敷島教授事件の捜査を引き継ぐようお願いしつつ、教授の教え子だった金田少年の変死事件の捜査状況を、担当のヤマさんから訊き出そうとする。 ヤマさんは乗り気ではない。そ…
第2巻の第3話「チョーさん」は、43ページ目、チョーさんの一人暮らしの自宅から始まる。昔ながらの六畳の居間。ある程度のお金がかかっていそうな家具は、テレビとその下のビデオ等を収納できる台座ぐらいだろう。 それ以外は、使い古した箪笥、チョーさんが…
ともだちマークの由来を調べているケンヂも、その行動力と記憶力がそろそろ限界に達したか、やや行き詰まりを見せたところに、運命の女神は今回、努力する者を見捨てることなく舞いおりて来る。 ケンヂのコンビニに、ユキジがやってきた。叔父に背負われたカ…
スプーン曲げ男、ユリ・ゲラーについての大騒ぎは良く覚えている。私には、どうにもスプーン曲げがインチキとしか思えないのは、一つには、その後に話題になったスプーン曲げ少年たちが、インチキであったという報道が複数あったのと、今ひとつは、どうして…
せっかくの本ブログの第50回記念なのに、テーマが万丈目関連とはめぐり合わせが良くないが、話の展開上、この順番になるのが避けられなかったのは、私の力不足である。 これまで、ともだち関係者と、ケンヂら20世紀少年関係者は、別々の動きをしていて直接対…
この作品の登場人物は、それぞれ出番が細切れだったり過去にさかのぼったりと忙しいので、誰か一人を時系列で追いかけるのが難しい。特に困難なのがユキジ。主人公ケンヂと、時空を超えて、あちこちで絡むのもその一因。 第2巻は巻頭に史上最悪の双子、ヤン…
ユキジの麻薬犬が空港でケンヂに噛みついたおかげで、彼女と旧友たちは再会を果たす。まともな犬だったら、すれちがっていたかもしれない。そして、ユキジとこのタイミングで会ったおかげで、ようやくケンヂも、ともだちマークの由来を、やがて思い出すこと…
第1巻の最後の話題は、そのまま第2巻の冒頭に続く。モンちゃんの送別会はドイツへの出発前夜に行われたようで、一同は飲み会を中断して元秘密基地に埋められていた缶を掘り起こし、そのまま成田の空港に行ってモンちゃんを見送った。 のちに民営化されて「成…
第1巻の話題も残すところ、あと二つ。201ページに、ともだちマークが大書された重そうな扉が開いて、初登場の男が工場か倉庫のような建物に入ってくる。この場面では読者に名前は知らされないが、万丈目である。 マサオが大学で配ったのと同じような、ともだ…
このブログは、第1回で書いたとおり基本的には漫画の「20世紀少年」の感想文なのだが、今日は少し映画についても触れたい。 最近、DVDで「20世紀少年」と「告白」を観た後で、映画の批評や感想についてのネットの書き込みを読んでいたとき、両作品に共通の批…
今日は旅行帰りなので、軽く流します。「20世紀少年」の漫画の単行本は、カバーの装丁に幾つかの特徴がある。 これら表側の絵の多くは、「その巻の主な登場人物」と「背景」の組み合わせになっているのだが、この背景の絵が何なのかよく分からないものが多い…
第1巻の最終話のタイトルは「ユキジ」。この回は、3人の重要な人物が登場する。一人目が元・史上最強の少女、ユキジ。次に、ユキジの親友の市原弁護士。そして、万丈目も姿を現す。 彼らにより、いったん材料が尽きたかにみえたケンヂの”ともだち”に関する調…
今年の春、イーグルズが日本公演にやってきて、東京ドームでのコンサートに行く機会があった。感想を一言で述べれば、みなさん、お元気で何よりといったところです。 ドン・ヘンリーがソロで出した「The Boys of Summer」という曲は、カリフォルニア在住時代…
ともだちマークは、ケンヂの生活をかき乱し始めた。それは酒の配達先である敷島教授の自宅に落書きされ、ドンキーからの手紙に同封され、お茶の水工科大学で学生たちのシャツにプリントされ、そしてドンキーの元教え子だったマサオも、それが何なのか良く知…
第1巻の第8話「穴を掘る」および第9話「メッセージ」は、ケンヂたちが少年時代に缶を埋めた経緯と、現代になってその缶を掘り起こす話が、交互に語られながら進行する。今回は、前者の子供のころのエピソードについて、まとめて話題にする。 昔話は172ページ…
ドンキーの訃報に接してケンヂが思い出したのは、まず鼻水タオル、そして裸足で走る脚の速さ、さらにジャリ穴の事件という子供のころの記憶だったが、死後に届いたドンキーからの手紙により、彼が敷島教授と同様、ともだちマーク(ケンヂ自身はまだこの印の…
第1巻の”ともだち”の登場シーンのおさらい。37ページ目で”ともだち”は「素晴らしい言葉」を与える存在として、すでに固定客を得ており、その日は宙に浮いてみせ、すでにともだちマークを使っている。55ページ目、信者らしき男に「あなたは死んでいる」と宣告…
アポロ11号の月面着陸は、私が小学校4年生の夏だったが、やがてクラス内に「コリンズは頭がおかしくなった」という噂が流れた。まったく、ヨシツネの言うとおり、本当かどうか確かめることもせず、子供はそんな話ばかりしていたのだ。ただし、最初にこの話を…
第1巻の124ページに、「1969年7月20日」と珍しく月日まで入っている日付が出ているのは、この日にアポロ11号の月着陸船が、月面に無事、到着したからである。もっとも、アメリカ時間の20日午後遅くになったため、日本時間では翌21日に着陸したことになった。…
ドンキーのお通夜の次は、田村”13号”マサオの出番なのだが、この野郎(失礼)は気色悪いので後回しの刑に処す。今日の話題は本筋から外れに外れて、ドリトル先生です。 少年たちの秘密基地が神様のボーリング場建設で潰された1971年、小学校5年生だった私は…
この漫画の作法の一つとして、会話に用いられる「吹き出し」とは別に、「四角形で囲った台詞」も多用されている。演劇に例えれば、独白にあたるものだ。第1巻冒頭の「何かが変わると思った」というのは、当時中学生のケンヂの心の中での呟きかもしれないし、…
第1巻第4話の題名は「理科室の夜」。この物語の中で、少年時代の出来事としては最も重要な事件である。この夜の理科室のシーンは作品中、何回か登場するのだが、それぞれ回想者の記憶によって、あるいは、ヴァーチャル・リアリティーの設定によって、中身に…
ジャリ穴騒動に関するケンヂの追憶は、第1巻96ページ目で、ドンキーが秘密基地の仲間に迎え入れられたところで終わる。その命の恩人が他界して、これから通夜に行くため礼服を着て靴を履いたものの、ケンヂは力なく玄関に座りこんだまま回想から現実に戻る。…
前回において、「伝説の巨大ライ魚」騒動には、作品の全編を貫く大切なテーマが二つあり、そのうち一つはイジメの問題で、もう一つは「友達の友達の言うことは信じられるか」という問いかけであると述べた。今回は後者の、友達の友達が見た、あるいは、言っ…
第1巻の84ページ目は、「鼻水タオル」の紹介に続いて、ヤン坊マー坊にプロレスの技を掛けられているドンキーの姿をケンヂが回想しているシーン。ケンヂは「練習相手だった」と認識しているが、これでは一方的な暴力行為であろう。ドンキーは泣かずに耐えては…
今回は脱線します。「20世紀少年」の中身とは、ほとんど全く関係ないです。 もう20年ぐらい前、私は国際協力の一環である「政府経済援助」(ODA)の実施機関に勤めていたのだが、ある日、世界各国から集まった研修生を歓迎するレセプションがあり、自分の担…
第1巻第3話は、80ページ目で「間もなく世界は終わる」という予言と、「私と共にある皆さんは必ず救われます」という救済の言葉を大観衆に伝える”ともだち”の後姿で終わる。 その会場の建物は、屋根のてっぺんにある烏帽子と、正面入口の上に掛かっている「館…