2011-11-01から1ヶ月間の記事一覧
落合長治氏 「遠藤氏と私がロボットの真下に潜入し、その内部構造を見上げたところ、それはロボットと呼ぶにはあまりにお粗末な代物でした。その中身は鉄骨とボルトばかりの単純な骨組みで、すだれのごとく垂れ下がった布きれは、安普請を覆い隠すためのもの…
友民党本部から駆けだして、ユキジを助手席に乗せて車を走らせるモンちゃんは、第7巻の209ページで、ケンヂをトランシーバーで呼びだそうとするのだが(携帯で話しながら運転をしてはいけない)、戻ってきたのはオッチョの声だった。 米軍払下げのボロボロの…
私が十代後半のころ、「嗚呼!! 花の応援団」という人気漫画があった。映画化もされた。ど下品という酷評もあったが、この上なくパワフルであり、人情味もあり、主人公の青田赤道は見合いを勧められて(相手は怪獣のような娘だった)、「その儀は固くお断り..…
2011年の大みそか、巨大ロボットを追いかけて、マルオが運転するトラックが甲州街道を走る。車内の二人は、第四中学校の放送室の話を終え、怖くて仕方がないと語るマルオに、ケンヂがヤン坊マー坊から秘密基地を守ろうとした話を持ち出して、おまえは臆病な…
神様の思い出話によれば、ケンヂはダイナマイトを運ぶトラックの中で、がなり散らすように「20世紀少年」を唄っていたらしい。第5巻の第11話「突入」は、第1巻の冒頭に描かれた第四中学校の放送室が、再び登場する。初めてのロックが流れたのに、中学生のケ…
第5巻の186ページから188ページにかけての数か所に、巨大ロボットの絵がある。ケンジに向かって斜め左から進んできている。実際、ケンヂがいる場所あたりから、この道路すなわち明治通りを見下ろすことができる。ロボットの位置は新宿3丁目と新宿4丁目の交差…
第5巻の第10話のタイトルは「フクベエ」。彼も「墜落死」したおかげで、ようやく一話の主人公となった訳だ。その冒頭、地下水道で彼がケンヂに「ケンちゃんライス」のレシピを教えてくれと頼んでいる。3人の子供に、クリスマスに食べたいものを訊いたところ…
第5巻の170ページ目。珍しくフクベエが泣いている絵が出てくる。「俺の女房をさらい、ケンヂの姉をそそのかし、ドンキーを殺し、細菌をばらまいて大勢の人を殺した」相手に対して、「やめてくれ。もうやめろ」と叫びながら涙を流している。相手は無反応。 そ…
イジメ問題が、この物語の重要なテーマの一つであることは間違いがない。多種多様なイジメが描かれている。 最初に出てくるのは、ヤン坊マー坊による無数の暴力行為である。これはヨシツネやケンヂにとって、生涯「ゼーッタイ許さない」ほどの怒りの思い出と…
前回までに、あれこれ考えた結果、私はフクベエがパラノイア的人間であるとの仮説に至りました。すなわち、事実や論理によって修正され得ない妄想の持ち主であり、自分が正しいと信じ込んだことは正しく、嘘をついているという自覚すらないのかもしれない。 …
私は最近、フランスの哲学者、ミシェル・フーコー(女のような名前だが、怖い顔をしたおじさんである)の初期の著作、「精神疾患とパーソナリティ」(ちくま学芸文庫)という本を読んでいる。難解であるが、中山元氏の翻訳が素晴らしく、素人でもある程度は…
前回で触れたとおり、一旦ここで、フクベエとはどういう人物設定なのかを考える。今回は、結果からいうと、問題提起といい結論といい何の役にも立ちません。このブログを先に進めるための整理に過ぎない。私は書きながら考える性質(たち)なので仕方がない…
第5巻の153ページ目、走りに走ったケンヂが辿り着いた建物には、「TAKATORIYA」という大きな看板が立っている。これを漢字に転換すれば、この辺りに実在するデパートの名前ととても良く似ている。幸いエレベーターが稼働し、ケンヂは13階で降りている。エン…
第7巻の150ページ。友民党のモニターにケンヂが写っている。オッチョがトランシーバーでケンヂに、エンパイア・ステートビルのような形の建物が真横に見える場所で、妙な動きをしている男が居ると連絡する。彼らが携帯電話ではなく無線機を使っているのは、…
第7巻の144ページ、拳銃を構えて突入したオッチョたち3人を待っていた光景は、いくつものモニター画面を見ながら、盛り上がっている男たちだった(大勢いるが、女が描かれていない)。全員そろって、オッチョから盗んだ意匠、「ともだちマーク」のTシャツを…
とりあえず今の段階では、”ともだち”の最終目的は「しんよげんの書」にあるとおり、世界征服と人類滅亡および火星移住であるとしておこう。そして、その前に万博も成功させるのが、「フクベエのこだわり」と考えて良い。これだけ実現するためには、それなり…
戦友に置き去りにされたモンちゃんとユキジは自動車に乗り、「友民党本部に乗りこむ」と言い残して去ったオッチョを追い掛けることになった。さすがの温厚なスポーツマンのモンちゃんも、「まったくガキの頃のまんまだ」と怒っておられる。 いわく「ケンヂは…
第7巻の第7話は、脱獄囚ショーグンが漫画家角田に対して、また同時に神様が小泉響子に対して、それぞれ2000年の血の大みそかに起きた出来事について語る場面から始まる。そこに至るまでの経緯は、のちに触れる。 ショーグンはその渦中にいたのだから何が起き…
大みそかの出陣を前にケンヂが最後に声をかけたのは、見送りにきたカンナであった。カンナは目にいっぱい涙を浮かべている。彼女の後ろに、神様と3人のホームレスの姿も見える。血の大みそかからカンナを救ってくれたのは彼らであろう。 ケンヂは「泣くな」…
第5巻の106ページ目、ケンヂたち7人がトラックにダイナマイトを積み込んで、拳銃を手にして沈黙しているシーンが出てくる。ケンヂが 「まさか”ともだち”がここまでやるとはな」と呟く先、東京の夜空を巨大な炎が焦がしている。 ケンヂはここで再び、「抜けた…
第5巻の95ページ目では、ラジオが番組途中でニュースに切り替わり、東京都千代田区の小学館ビル付近から「謎の巨大物体が出現し、移動中との一報が入りました」と報じている。ラジオを聴いているのは、マルオとオッチョとモンちゃん、ユキジとフクベエとヨシ…
何らかの方法で、首都高や歩道橋というハードルを乗り越えた巨大ロボットは、そのまま市ヶ谷方面に直行したと思われる。なぜならば、ロボットが新宿に行くためには、よほど遠回りしない限り、外堀か神田川を越えなくてはならず、そのためには靖国通りを進ん…
血の大みそかになぜ巨大ロボットが小学館に出現したのかは説明されていない。ともだち一派に、小学館に対する深い恨みを抱くものがいたのかもしれない。 第5巻95ページ目の同社ビルの垂れ幕は、「20世紀少年」連載中のビッグ・コミック・スピリッツの宣伝に…
第5巻の92ページ目、カンナを迎えて呆然としているケンヂと別れた二人は、中型程度のバイクに乗って走りながら、さてと、これからどうするよと相談を始める。紅白歌合戦は却下、初詣でに行って晴れ着をナンパすることになった。東京で初詣でといえば、明治神…
かつての職場において、一橋大学の先生とお会いする用事ができた。若い女性の担当者がアポ取りをしてくれて、その日、私たちは新宿から中央線に乗って、はるばる国立市に出かけていった。しかし、同大の国立キャンパスには、指定された建物がなかった。発祥…
私は葛飾北斎の大ファンであるが、彼の代表作「冨嶽三十六景」に、「礫川雪之旦」という作品がある。雪の積もった江戸の真ん中から富士を遠望する構図である。 2005年の秋、近所にある上野の国立東京博物館で「北斎展」が開催された。これまで観た中で最高の…
これから何回かかけて、血の大みそかの夜に巨大ロボットが残した足跡をたどる。物語の本質と何の関係もない。ただ単に、私が東京の地理や歴史に関心があるからだけです。 巨大ロボットが地上に出現したのは白山通りである。第5巻95ページ目では彼(彼女か?…
第5巻の88ページ目にアコースティック・ギターを掻き鳴らしているケンヂが描かれているが、弾いているだけで歌っておらず、その演奏もすぐに終わった様子なので、ボーカル部分をちょうど歌い終わったところだったのだろう。開けておいたギター・ケースに、今…
血の大みそかの始まりである。現実の世界のこの日、私はカンボジアの首都プノンペンに単身赴任中で、暮正月の休みというのに出勤し、翌日から始まるであろうコンピュータの2000年問題や、小渕首相一行の来訪に備えて働いていた。このため、仮に本当に巨大ロ…
大みそかまで、あと10日しかない。ケンヂたちは、ともだち本人の所在を突き止める作戦を断念して、標的を万丈目に切り替えた。この「ナンバー2」を人質にして、ともだちの行方を吐かせるしかないとの結論に至ったものである。 しかし、21日の国会議事堂の爆…