おじさんの雑記帳 

「20世紀少年」の感想文そのほか 寺本匡俊 1960年生 東京在住

2012-01-01から1ヶ月間の記事一覧

中間報告は49位     (20世紀少年 第241回)

第8巻の126ページに、ヨシツネが「死んだことになっている」理由を、本人がコイズミに説明している場面がある。細菌兵器により瀕死の状態のサラリーマン風の冴えない男に「末期の烏龍茶」を飲ませ、相手が亡くなると逃げたが免許証入りの財布を置き忘れたと…

隊長としての資質    (20世紀少年 第240回)

私は第8巻の105ページ目の下段に出てくる、両腕を挙げたままで走って逃げるコイズミの絵が好きなのだが、今どきこういう風に走る娘さんというのは、まだいるのだろうか。さて、逃げた先で出くわしたヨシツネのことを、彼女は最初のうち、盗撮ジジイとかエロ…

ヨシツネ隊長の秘密基地    (20世紀少年 第239回)

第8巻の113ページ目、レレレのおじさん風にホウキで掃除をしながら、ヨシツネが歩き去るのをコイズミが追いかけているのは、盗撮されたデジカメ写真のメモリーを取り返すためだ。考えたな、ヨシツネ。初対面の女子高生を秘密基地に連れて行くなどそう簡単に…

コイズミ逃げる    (20世紀少年 第238回)

第8巻の第6話「逃亡」は、コイズミが「ともだちランド」に耐えきれず逃げ出す物語。何せ、気色の悪い研修にはついていけないし、風呂場で変態らしき男に覗かれるし、せめて部屋で「エロイム・エッサイムズ」を聴こうとしたところ、隠し持っていた再生装置は…

シューティング・アトラクション    (20世紀少年 第237回)

ケンヂ一派のメンバー紹介に続いて、コイズミたちはディズニーランド風の機械座席に座らされ、「”2000年血の大みそか”の世界にひとっとび」することになる。多分それからバーチャル・リアリティー用のアイマスクを付け、コイズミは地下の下水道に迷いこんだ…

ケンヂ一派のご紹介    (20世紀少年 第236回)

第8巻第5話のタイトルは「ともだちランド」。コイズミが連れて来られた施設の名前であり、彼女の担任教師は「研修会」と言っていたが、ゲームや観覧車があるから、施設の体裁は遊園地だろう。ところで、「Land」という英単語には、手元に2冊ある辞書で調べて…

お迎えでごんす    (20世紀少年 第235 回)

第8巻第4話のタイトルは「お迎え」。62ページ目の見開きに、これまでの主要登場人物が勢ぞろいしている。これは、前話まで続いた2000年末の描写が終わり、2014年に戻るに当たっての一区切りだろうか。血の大みそかに来なかったケロヨンとコンチは描いてもら…

包帯巻きの”ともだち” (20世紀少年 第234回)

前回に引き続き、幹部の出世物語。長髪の優男の功績は、まず何と言っても諸星さんを殺して、”ともだち”がキリコに接近するにあたっての邪魔ものを消し、続いて敷島教授の娘を誘惑、さらに、”ともだち”がキリコを口説くマニュアルを提供している。万丈目にも…

21世紀!! の国連    (20世紀少年 第233回)

第8巻、カンナと蝶野刑事が新宿でご来光を拝んだ場面の次は、第4話の「お迎え」なのだが、コイズミにお迎えが来るエピソードの前に、国連の表彰式のシーンが出てくる。これと同じものをすでに第1巻の冒頭で見た。そして、「21世紀少年」の下巻にも、そっくり…

ボブ・ディランのコンサート【脱線】   (20世紀少年 第232回)

自慢できそうなことなど殆ど思い当たらない人生だが、私はボブ・ディランのコンサートを生で観たことがある男だ。 数年前、アテネに旅行した際、アクロポリスのそばに「ディオニュソス劇場」なるものがあることを知って見物してきた。人影まばらだったが、こ…

新曲の感想 その1  (20世紀少年 第231回)

表題の新曲とは「ボブ・レノン」のことだが、今回のタイトルの「感想その1」という歯切れの悪さは、この曲が大事な役割を果たすのが後半なので、その時にもっときちんとした感想を書けたらいいなと思うから(つまり、また先延ばしにしたいから)である。 第4…

新曲を録音した日  (20世紀少年 第230回)

第8巻の49ページ目の最後で、血の大みそかについてのショーグンと神様の回想が終わる。神様の持つトランシーバーに向かって、「ケンヂおじちゃん」と叫んだまま口をつぐんでしまった3歳のカンナは、次の50ページ目で17歳になっており、”ともだち”記念館の広…

話してやるよ、あのとき何があったのか (20世紀少年 第229回)

第7巻第6話「神様のサイン」は、地下の公共通路で暮らすホームレスたちの寝ぐらを舞台の中心として、ラーメンを食べ終えた神様とそのあとを追うコイズミ、ようやく普通の服に着替えたショーグンと角田氏、そしてカンナを追う鼻ホクロ巡査が交錯する場面。 冒…

ボーリングの夢    (20世紀少年 第228回)

昨年、亡くなられた柳ジョージさんが率いた「柳ジョージ&レイニーウッド」は、私が高校・大学生だった1980年前後の日本における最高のロック・バンドだったと今も信じている。解散ツアーでは、当時住んでいた京都で野外コンサートがあり、参加して楽しんだ…

神様と天才少女の邂逅     (20世紀少年 第227回)

コイズミ初登場の姿は、第7巻80ページ目の下段に描かれているのだが、これは何と形容したらよいのだろうか。「尻姿」か...。スピリッツに限らず、ビッグ・コミックのシリーズは読者層として大人を想定しているので、全作品がそうではないが、ときおり性や色…

コイズミ     (20世紀少年 第226回)

待ってました。小泉響子。ようやく彼女に辿り着きました。コイズミは、この長編漫画の道化役である。だが、それだけではない。彼女はバーチャル・リアリティー場面のヒロインでもあり、謎解きの道案内でもある。それにコイズミは神様、ヨシツネ、サダキヨと…

岡本太郎    (20世紀少年 第225回)

今日は一服します。前回までの書き方でお分かりいただけるかと思うのだが、私はほとんど大阪万博に興味がなかったものの、岡本太郎には関心があるのです。残念ながら岡本太郎の作品を観たことはあまりなくて、3作のみである。川崎に美術館があるらしいが、ま…

太陽の塔     (20世紀少年 第224回)

今から10年余り前のことだったと思うが、当時在籍していた組織の業務出張で、大阪府の一都市を訪れたことがある。どこかの駅で降りて、目的地のオフィスまで歩きだした私は、目の前に立ちはだかった巨大な建築物を見て、ものすごく驚いた。「太陽の塔」が立…

はじまり    (20世紀少年 第223回)

このブログ開始早々に書いたように、「20世紀少年」は「本格科学冒険漫画」と銘打っているので(ただし、なぜか表紙カバーにそう書いてあるのは第17巻まで)、科学と冒険が主題であり、さらにミステリーとサイコ・サスペンスも加味されていると言ってよいか…

勝浦のケンヂ    (20世紀少年 第222回)

ケンヂとオッチョは、少年時代には遊び友達、冒険仲間であり、大人になって戦友になるが、二人きりで話をしているシーンというのは、ほとんどない。第7巻の70ページ目に、その貴重な例外がある。私の好きな場面のひとつ。小さな公園のブランコに座り込んでい…

箱根のドンキー  (20世紀少年 第221回)

自宅が上野に近いので、上野公園の滝廉太郎の像のそばを時々通り過ぎる。彼が作曲した代表作の一つ、「箱根八里」は、小学校2年生か3年生のときに、教師の命令で覚えさせられた。文語の歌詞の意味は当時、ほとんど分からなかったが今なら読める。箱根の山は…

夢の博覧会    (20世紀少年 第220回)

第7巻の62ページ目に、大阪万博のガイドブックらしき冊子の表紙が描かれ、続いて、秘密基地の中で、この本を真ん中に置いて万博旅行の作戦会議を開催中のオッチョ、ケンヂ、マルオ、ヨシツネが出てくる。万博は、これ以降、この物語の極めて重要なテーマにな…

リンゴ・スターの幸運    (20世紀少年 第219回)

タイトルのとおり、脱線ばかりで済みません。第7巻第4話の「夢の展覧会」は、ショーグンが角田氏に、大阪万博の説明をするところから始まる。「ジミヘンが死に、ジャニス・ジョプリンが死に、ビートルズが解散した1970年、そんな年に日本では”万博”で異様な…

これからやるんだよ    (20世紀少年 第218回)

ヤコブの梯子に導かれて、風の塔から外に出た二人。角田氏は、思わず海と空に向かって「外だ!」と叫ぶのだが、ショーグンに引きずり降ろされてしまう。さすがの漫画家も「何をするんですか」と怒っているのだが、ショーグンは、「外の光は8年ぶりなので俺は…

ヤコブの梯子    (20世紀少年 第217回)

第7巻の42ページ目、角田氏を救い出したショーグンが「あれを見ろ...光だ。」と語る。トンネルの彼方、上から光が射している。こんな感じで雲間から光が射す気象現象を、キリスト教圏では「ヤコブのはしご」と呼ぶらしい。英語では「Jacob's Ladder」と表記…

手塚先生    (20世紀少年 第216回)

第7巻の37ページ目、トンネルの崩落個所がここだけなら、外に出られるかもしれないとショーグンは云う。トンネルよりも下にある避難経路まで降りて、崩落地点の下を抜け、再度その先のトンネルに上がることができるかもしれない。ショーグンは角田氏に懐中電…

信念はすべてを克服するのか    (20世紀少年 第215回)

第7巻の第2話「空気」は、前半が小学校時代のオッチョの思い出話、後半は2014年のショーグンと角田氏の脱出行の様子である。ショーグンはああ見えて、けっこう昔話のお喋りが好きな人なので、彼の口から子供時代のエピソードをいろいろ聴けるのがありがたい…

脱獄の始まりと神様の降臨    (20世紀少年 第214回)

ようやく、その日は来た。カンナトンネルが開通したのである。見たところ、ユキジトンネルの開口部はレンガを外しているのだが、カンナトンネルのそれは、どうやらコンクリート壁である。ショーグンはこれをスプーン一本で掘り抜いたのだ。第7巻が始まる。 …

肝だめし    (20世紀少年 第213回)

第6巻第10話は「キモダメシ」というタイトル名が付いている。肝試しのことであろう。肝試しとは、今の子供はもうやらないのかもしれないが、みんなして怖いところに行って、お互いの勇気と臆病の度合いを測る遊びである。第8巻でケンヂが、また、第12巻でヨ…

13番    (20世紀少年 第212回)

第7巻での神様の再登場に先立ち、第6巻で実に嫌な男も再登場している。海ほたる刑務所の会議室で、囚人たちに”癒しの音楽”や”癒しの体操”を指導している田村マサオ。恩師ドンキー殺しの共犯者であり、本人がここで述懐しているように、東京ドームでピエール…