2012-09-01から1ヶ月間の記事一覧
第16集の前半には、私にとって厄介な課題が二つ出てくる。一つは、訳が分からない「のっぺらぼう」の問題。もう一つは、できれば避けて通りたいイジメの問題。だが、いじめは「20世紀少年」の重要なテーマの一つである。「21世紀少年」にも再び出てくるが、…
第16集の31ページ目から6ページにわたり、万博を巡るサダキヨとフクベエの会話が描かれている。この間のサダキヨは、前半は座っているだけ、後半は立ちすくんでいるだけだが、表情が微妙に変わり続ける。彼の眉と目元と口だけのわずかな描線で、少年の心の動…
第16集の30ページ目に、大阪万博のパビリオンなどが幾つか描かれている。私の記憶に残っているのは、右上の「太陽の塔」と左下の「ソ連館」、そして、開会式典の映像で見たような気がするだけだが、左上の風船の群れ。それ以外が何なのかについては、幸い、…
第15集を話題にしていたころ、EXPO2015のテーマが相変わらず「進歩と調和」であることに対して、それこそ進歩がないと批判した私ですが、考えてみれば”しんよげんの書”に「じんるいのしんぽとちょうわ」が出てくるのだから、仕方がなかったのだ。また、「そ…
「ぼくのゆめは、ゆめではありません。ほんとうにおきることだから、ゆめではないのです」。こういうふうに第16集の第2話「本当の友達」は始まる。前半はどうみても論理矛盾だが、小学生なんだから、まあ、このくらいは良かろう。 しかし、その後半には、す…
第16集の19ページ目、サダキヨは基地の中に入ろうとしたところ、先客がいるのに気付いて慌てて逃げようとしている。しかし、頭隠して尻隠さず、フクベエに「なんだ、あいつか」と気づかれてしまう。だが先客は、”よげんの書”を見つけて機嫌が良かったらしく…
第16集第1話の後半。俺達だけの秘密基地に、二人の部外者が吸い寄せられるかのように侵入しようとしている。このときの様子は、すでに両当事者の回想として出て来ている。第3集のクラス会で、フクベエがケンヂに話しており、第10集ではサダキヨがコイズミに…
1か月ほど前に「仲間と友達」についての雑文を書き、長くなったので途中でやめて先に進みました。 http://d.hatena.ne.jp/TeramotoM/20120814 今ちょうど、その際に言及した場面に差しかかっているので、続きを書いてみたくなりました。フクベエは仲間外れ…
第16集の9ページ。ケンヂとマルオは服部家へのご招待を受けた。釣り餌はフクベエの「ぼくら」と「冒険王」で、あっさり釣れた。二人にとって、垂涎の的だったらしい。 私はどちらも名前は知っているが、一度も読んだことはないと思う。当時マンガは親戚近所…
少年サンデーは、てっきりその名のとおり毎週日曜日発売だと固く信じて疑うことなく四十年以上を過ごしてきたのだが、何と驚くべきことに水曜日発売なのだという。先日、2012年9月12日(水曜日)に近くのファミリー・マートで調査したところ、確かに本日発売…
いよいよ私の好きな第16集に入ります。かつて物語全体の構成を確認するために、最初の3巻と最後の3巻を何回も読み返したのものだが、それ以外に最もよく読んだのが、この第16集の前半である。おかげで製本が崩れてしまい、はずれ落ちた数ページは、セロテー…
私の手元にある単行本の第15集の最後は、ちょっと風変わりな構成になっている。「そして地球は滅亡した」というページの次に、真っ黒なだけのページがあって第15集が「完」となった後に、わずか3ページだけの第13話「虹の向こう側」が収録されている。その最…
脱線します。第14集の最後から2ページ目に、防毒マスクのセールスマンがウィルスをばらまいている絵があるが、そのうちの一枚に「RADIO CITY」というビルが見える。私はこの会場で、生涯最高のコンサートを観た。この場所を同時多発テロの現場に選ぶとは、絶…
もう30年も前のことになるが、北海道の旭川のあたりで、何人かのアイヌの人たちに会ったことがある。眉太くして眼光鋭く、その独特の衣装とあいまって、日本にも違う民族が住んでいるということを実感して嬉しくなった。日本は単一民族国家だとよく聞いてい…
今回は感想文というよりも理屈文です。自分の疑問に、自分で答えようと頑張るつもり。死んだはずのフクベエと、生身の男はいかにして、すり替わったのかという前からの宿題について考える。仮に納得がいく答えが出ても、読書の楽しみが増すわけでもないだろ…
第15集第12話の題名は、「虹のこちら側」となっている。虹にこちら側と向こう側があるのかどうか私は知らないが、ともあれ、この第12話の最後に出てくる虹、そして、次の第16集第1話のタイトルである「虹のつけ根」を意識しての命名なのだろうな。 「虹の向…
星新一や小松左京や筒井康隆が活躍し始めたころの日本のSFは、なかなか文学として認知されず、キワ物扱いされていたらしい。筒井氏の表現を借りれば、「士農工商SF作家」という社会的身分に甘んじていたとのことである。 小松左京の代表作といえば、「日本沈…
ようやく猛暑が和らいできた。この季節、近所にはツクツクボウシの声が響き渡る。うちの近くに住んでいた正岡子規の句にこんなのがあります。おそらく子規に鳴き声を聴かせた法師蝉の子孫の声を私は聴いている。 つくつくぼーしつくつくぼーしばかりなり 先…
もしも仮に「20世紀少年」の構想が、いずれかの映画作品の影響を受けているのだとしたら、それは「12 モンキーズ」を措いて他にあるまい。1995年公開のアメリカ映画。ちなみに、「20世紀少年」の連載開始は1999年である。ブルース・ウィルスの映画は、ジジバ…
ダニー少年の町を出て、ケロヨンの営業用車両はルート66を北上したらしい。何故この道とこの方向を選んだのかは不明であるが、蛙ならではの野生の嗅覚であろうか。そして、行く先々でケロヨン親子とダニーは、同じような被害に遭った町を見たようだ。 第15集…
第15集177ページ中段のケロヨンの台詞に出てくる「ルート66」は、英語では「U.S. Route 66」と書き、かつての国道66号線のことである。かつてあったと言っても道が消滅したわけではなく、新しい道路網に編入されて、土地土地で別の道路名が付いている。「Rou…
この秋どこかの映画館で、山田洋次監督の実写フィルムを一挙に公開するというニュースを聞きました。もう技師も機械も減りつつあって、間もなくデジタルだけになってしまうであろうその前にやろうということらしい。 昔の映画のフィルムは、オープンリールの…
前回のように、なぜ万博の開催地などにこだわったりするのかというと、「20世紀少年」がそもそも読み応えのある漫画であるのに加えて、私にとって幸運なことに、ケンヂやオッチョら主要登場人物が同世代であり、また主な舞台が東京とあって馴染みが深いので…
通常、万国博覧会には開催地の地名が付きます。大阪や愛知、沖縄や筑波、海外でもパリや上海など。ところが、2015年の「ばんぱくばんざい」は、2014年の工事中のシーンから、ともだち暦3年に至るまで、何か所かに描かれている大会名によると、「EXPO 2015」…
ロンドン・オリンピックが終わって、早くも1か月が経とうとしている。先日のメダリストの官製パレードは、酷暑の平日というのに、見物客が50万人とは恐れ入りました。ここ荒川区と隣の台東区の人口を足しても届かない人数だ。今の日本は、政治経済も軍事外交…
第15集第8話の「史上最大のショー」は、万丈目の驚きと、オッチョの驚きが同時進行で描かれる構成となっている。驚きのきっかけは同じ事柄であったが、では、二人は果たして同じ推測なり結論なりに至ったのだろうか...。 法王が無事、教会を去った後も、オッ…
ロジャー・クレメンスが50歳にして現役復帰し話題になっている。日本でアメリカの野球をテレビで普通に観られるようになったのは、フロンティアの野茂英雄がドジャーズに渡って以降のこと。その前の時代のピート・ローズやハンク・アーロンのプレイを、私た…
驚いた。これまで私は、例えば表紙に「15」と書いてある15冊目の単行本を「第15巻」と書いてきた。普通、「巻」と呼びますよね。ね? でも、ふと最後のほうのページを見たら、「20世紀少年」第15集−完−、と印刷してある。「巻」ではなくて、「集」だったのだ…
第4巻の136ページで、帰国早々のオッチョがケンヂに会うために渋谷の横断歩道を歩いて渡ったとき、彼とすれ違った男は、信号が変わりそうなのに、ゆっくりとしか歩けない老婆を見かねて腕をとってあげた。 おかげで無事、渡りきったおばあさんは、「こんな世…
余談を一つ。私にウルトラQを教えてくれた親戚の子の一家は、当時、横浜に住んでいた。木造の大きな家だったのだが、その家の自慢は「関東大震災のとき、このあたりで、この家だけは倒れなかった」というものだった。一体、どういう被害状況だったのだろう。…