おじさんの雑記帳 

「20世紀少年」の感想文そのほか 寺本匡俊 1960年生 東京在住

2018-01-01から1年間の記事一覧

お祖母さんの心意気  (第1190回)

今回は他のサイトに書いたものを、少し修正して再掲します。 いくさは、平和のためにせよと言ったのは、陸軍少将秋山好古。1904年、日露戦役の遼陽会戦で、秋山少将は騎兵と歩兵の混成部隊を率いることになったため、秋山支隊と命名されて、最左翼を担うこと…

ばんぱく ばんざい  (第1189回)

久しぶりに漫画の感想文の出番だ。いつまでもやってる万博なんてあるか、と遠藤ケンヂはあきれていたものだが、数十年ぶりに復活するという万博もあった。以下、大阪万博の関係者の方々におかれては、気分を害するかもしれないことを書きますので予めお断り…

女川の港  (第1188回)

ちょうど去年(2017年)の同じころ、11月下旬に、私は仙台湾の反対側にある名取川の河口付近から、牡鹿半島を遠望していた。このブログに金華山が見えたと書いた覚えがあるが、芭蕉や曾良の轍を踏んだかもしれない。ともあれ、土地鑑もないし遠かったので、…

日和山の秋  (第1187回)

11月14日は、前日無事に大川小学校方面への遠出を果たしたので、足もくたびれたし、石巻市街をゆっくり歩くことにした。地図で見ると、芭蕉と曾良が訪れたという名勝、日和山が徒歩で行けそうな範囲にあるので、午前中はその地を目指す。 まずは、前日の新北…

風にもまけず  (第1186回)

3時間の歩きで、よれよれになった。体力を消耗したというより、足が痛くなった。これでは、さらに3時間もの復路を歩けないと思い、残念だったが、滞在時間を時刻表に合わせて短縮し、またしても住民バスのお世話になることに決めた。 今回に限らず遠出すると…

大川小学校に向かう  (第1185回)

前回の続きです。私にとって天災の恐ろしさの度合いは、自然科学的な数値で表させるものと、人的被害という数量だけの問題ではない要素との組み合わせになる。例えば北極のような誰もいないところで、どれほどの大地震があったとしても、前者の学術的な関心…

北上川  (第1184回)

私は車を持っていない。バイクの免許はない。もう20年以上、レンタカーも使っていない。子供のころから近視と乱視がひどく、いまは老眼による目の疲れやすさも加わった。ドライブを楽しむ体力も落ちてきて、東京にいる限りは、公私ともに車は不要だから、も…

石巻  (第1183回)

何度かここに書いてきたように、年に一回の割合で、東日本大震災の被災地を訪れています。ボランティア活動などするでもなく、ただ歩き回り、飲み食いし、その記録を書き残している。 私は地震学者でもないし、原発関係者でもない。災害の専門家でもないし、…

ポール・マッカートニー  (第1182回)

去る10月31日の夜、東京ドームに行ってきました。息子にチケットをプレゼントさせるような歳になったか。この日、前週からの風邪が治り切っておらず、しかも当日の午後に仕事が集中したため、身体がしんどかった。 席に着いたのは、開演時刻のちょっと前。近…

またしても自己責任論か  (第1181回)

ずいぶん前にも、イラクかどこかの人質解放問題で巻き起こった自己責任論に対しここで反論したが、再びシリアでの同様の件で、賛否両論かまびすしい様子で、うんざりしている。そもそも、自己責任って何だ。自分で蒔いた種は、自分で刈り取れというような、…

秋の写真集(第1180回)

ここしばらく公私ともに忙しく、体調もすぐれなくて、なかなか更新できないというのも、寂しいものです。こういうときは、写真を飾ろう。この9月から10月にかけて、近所で撮影したものです。最初の一枚は、不忍池から上野公園をのぞき見したもの(済みません…

わたしはラーメンか  (第1179回)

本日(9月1日)は防災の日であります。以下、書き記すことの殆どは、かつてここで書いたことがある話題ですが、天災が忘れたころにやって来ないようにするためのリフレインです。 明治生まれの母方の祖父は、関東大震災のことを「こないだの地震」と呼んでお…

この世界の片隅に 【後半】  (第1178回)

今朝のニュースでやっておりましたが、戦争を語り継ぐにも、おどろおどろしい写真や映像ばかりでは、これからの世代は目を背けてしまうだけではないだろうかと、いろいろ工夫をしているお方もいるらしい。私もそう思う。戦争や公害の写真集が小学校の図書館…

この世界の片隅に 【前半】  (第1177回)

ずいぶん前に評判になった作品ですし、TVドラマも始まったらしいというので、掲題のDVDをレンタルで観ました。ここで話題にするために、ひどい誤解がないよう二回みました。ちなみに、原作の漫画は読んでいません。いつもどおり、書きたい放題に感想を書きま…

原爆投下 黙殺された極秘情報  (第1176回)

鎮魂の八月、今年は殊の外、暑い。疲弊した国民に敗戦が伝わった日は、好天のところが多かったようで、かしましい蝉の声が聞こる映画などをよくみる。 その一年前、私の伯父らは、愚劣な作戦でマリアナ諸島に送り出された。今に至るも伯父の遺骨も遺品も目撃…

奄美紀行 その6・最終(アオウミガメ) (第1175回)

奄美大島の背が立つ海辺で、ハコフグを追いかけていて振り切られ、あきらめて振り向いたらカメがいた。水の中では、ものが大きく見えるものですが、それにしても自分と同じくらいの大きさにみえて驚いた。これなら浦島太郎でも乗れる。体長は1メートルくらい…

奄美紀行 その5(海の中) (第1174回)

竜宮城に来てみれば、絵にも描けない美しさ。赤いハイビスカスと、青のルリスズメダイを見ると、歓迎されているような気分になる。以下、2018年7月14日・15日、奄美大島の沿岸にて撮影しました。 なぜかいつもペアルックのツノダシです。今回は台風の直後で…

奄美紀行 その4(ばしゃ山村) (第1173回)

最後の宿泊だけは、この村で過ごしました。あいにく私のガラパゴス・デジカメでは殆ど星を移せませんでしたが夜空が綺麗で、月もなく金星と木星と土星、さそり座と北斗七星、夏の天の川が流れ、見事な星空でした。 海の中は次回とその次にアップします。2018…

奄美紀行 その3(国直・旧港) (第1172回)

三日目の午前中は、大島の国直海岸で海水浴。ここには、神の道(二枚目)がある。2018年7月13日撮影。沖は珊瑚が綺麗で、フグもいた。 同日午後は、名瀬の旧港の埠頭で磯釣り。釣果はオジサンとイスズミ。 (つづく) ここにいるよ あなたが迷わぬように 「…

奄美紀行 その2(加計呂麻島) (第1171回)

奄美の滞在二日目は大島の南隣にある、加計呂麻島の海で泳ぐツアー、貸し切り。まだ台風の余波で少し、うねりが残っておりましたが美しい海です。まず上の4枚はガイドさんに撮ってしていただいた写真。いずれも2018年7月12日撮影。 残りは私が写したもの。最…

奄美紀行 その1(名瀬) (第1170回)

ここ何回か、書くのもしんどい話題を続けたため、一休みして今年の夏休みの写真集を何回かに分けて残します。本年は7月中旬に奄美諸島に行って参りました。宿泊は主に奄美諸島の港町、名瀬です。いい旅でした。用心が足りなくて、いまだに火傷のような日焼け…

東京オリンピックは10月にやろう  (第1169回)

お暑うございます。高温記録の更新ラッシュだそうです。2年後のちょうど、この時期に始まる東京オリンピック・パラリンピックは、このような猛暑の中で実施して大丈夫なのかという声が、すでに海外からも寄せられているとか。特に心配なのは何と申しましても…

かえるくん  (第1168回)

村上春樹が、地下鉄サリン事件の被害者に取材したのは、その証言集である「アンダーグラウンド」の巻頭にある「はじめに」によると、事件翌年の1996年1月から12月にかけてのこと。あとがきに当たる「目印のない悪夢」の日付は、翌1997年1月になっている。こ…

1995年  (第1167回)

本日は、前回の話題に挙げた「オウム世代」の続きのようなものです。漫画「20世紀少年」の幼馴染たちは、浦沢さんの実年齢でもあり、私の一学年上。この世代も物心ついて半世紀、こういう機会でも使って、これまでの人生や、時代の流れを振り返りつつ、これ…

カルト  (第1166回)

せっかくサッカーのワールドカップを楽しんでいるのに(日本チーム敗退後も毎日観ています)、無差別集団殺人犯であるオウム幹部の集団極刑のニュースが飛び交い、せっかくの週末の気分も台無しだ。しかしながら、このサイトでさんざん、「20世紀少年」の教…

ベルギー戦を終えて  (第1165回)

トーナメント緒戦の対ベルギー戦も、ライブではごく一部しか観られなかった。当日(つまり試合後に)急な仕事で、それがまた何人かの職業人生を左右する会議だったので、睡眠不足の老いた頭で参加する訳にはいかなかったのです。それでも早めに寝付いて、明…

ベルギー戦を前に  (第1164回)

こんにちは。「ポーランド戦の最後のパス回しを批判するのは頭の悪い証拠」と、橋下徹氏に一蹴された寺本と申します。遠い昔、弁護士さんや検事さん達と何年ものプロイジェクトでご一緒させていただいたとき、彼らが笑いながら「法曹三者のうち、頭と性格が…

スポーツは結果が全てか  (第1163回)

そんな訳ないだろう。それなのに、この国では、そういう言説が堂々とまかり通っています。スポーツは勝負事だから、もちろん勝った負けたは重要です。しかし、結果が全てと言い切るとしたら、それをネタに賭博行為をやっている連中くらいだけだと思っていた…

夢をかけた試合、勝ちにゆくべし  (第1162回)

ここ三週間ほど苦しんでいた仕事が、昨日ようやく一区切りして(まだ終わっていませんが)、これで少し落ちついてサッカー・ワールドカップを観ることができるようになった。恥ずかしながら、いつ開幕したのかも気付かなかったし、日本の初戦の日時と相手も…

地下鉄の駅へと急ぐ夏  (第1161回)

【前半】 ほかの場所に書き込んだ文章を転載します。 古くからの知り合いに、定年で退職するまで、児童福祉の公的な業務をしていた人がいる。ちょうど、その離職のころに、厳しいお仕事だったでしょうという話をした。当時、子供の虐待が相次いで報道されて…