おじさんの雑記帳 

「20世紀少年」の感想文そのほか 寺本匡俊 1960年生 東京在住

2013-03-01から1ヶ月間の記事一覧

あなた、誰? (20世紀少年 第669回)

これは良く知られたジョークであるが、歴史の流れの中に消えていくのは勿体ないのでここにも書き残す。訪米が決まった森首相(血のおおみそかの日の首相のモデルです)は英語が苦手なので、クリントン大統領に会った時の挨拶だけでも教えてほしいと周囲に頼…

みんなのいちばん長い日 (20世紀少年 第668回)

第20集はユキジの道場から始まり、そのころ東村山に向かったマルオが間もなくキリコに会って、それから24時間経過するまで劇的な一泊二日の物語だ。第12集から第13集までの長さと内容に匹敵する。人体実験室の内外で会話が始まったころ、カンナとユキジとオ…

会いたかったよ キリコさん (20世紀少年 第667回)

マルオとキリコの質疑応答が始まる。第20集の104ページ目。マルオは「訊きにくい話なんですが」と遠慮気味であるが、キリコのほうは何でも話すっていたでしょと、そっけない。 Q1: カンナの父親は本当に”ともだち”なんですか? A1: ええ。 Q2: ”と…

進化型 (20世紀少年 第665回)

寄り道もほどほどにして「20世紀少年」に戻ります。第20集の94ページ目。ケロヨンとマルオの目前で、キリコは防御服を脱いだ。ヘルメットを外すだけでも十分ではないかとも思うが、Tシャツ姿になったのは多分、締切った部屋が暑いのでしょう。ソバの花は夏か…

雨のリバプール (20世紀少年 第664回)

前にも一泊二日でリバプールに滞在したことについて書きました。同市に着いたときはもう午後遅くで、町の手前のマクドナルドで遅い昼食をとった。このとき4歳だった息子のイギリス旅行の思い出は、このハンバーガーとストーン・ヘンジだけだそうで、ロンドン…

いちご畑 (20世紀少年 第663回)

今回と次回は大脱線。なぜかビートルズのことを無性に書きたくなった。このバンドに興味のないかたは、今日と明日は跳ばしてください。ロック・バンドでも小説家でも、別に人ではなくで作品でも何でも構わないのだが、私は自分が誰それの、あるいは何かのフ…

防御服 (20世紀少年 第662回)

第20集の70ページ。工場を爆破されて、床に倒れこんで咳き込むキリコをケロヨンが救いに来た。彼はバケツで水を浴びただけだから、ソバ屋の服装のままである。キリコも実験用の白衣で二人とも薄着だ。キリコはワクチンを守ってと頼み、ケロヨンは一緒に逃げ…

告発の行方 (20世紀少年 第661回)

前回、ニコール・キッドマンの話題を出したので、もう一人の気に入りの女優、ジョディ・フォスターの話にも触れたくなった。彼女を初めて観たのは学祭で上映された映画「タクシードライバー」である。こういう作品、こういう役で有名になったせいなのか、そ…

メルセデス・ベンツ (20世紀少年 第660回)

私はニコール・キッドマンの大ファンで、特に彼女のB級映画が気に入っている。子供が観てはいけないものも少なくない。その一つに故チャイポンの元縄張り、バンコクを舞台にした「囚われの女」という作品がある。彼女とともに冤罪で囚われていた女がよく歌っ…

666 (20世紀少年 第666回)

今日で666回目である。この数字は新約聖書「ヨハネの黙示録」に登場し、「獣の数字」と書かれている。黙示録は全体に難解というか不可解で、666の章もさっぱり意味が分からないが、雰囲気的にあまり縁起の良い数字ではないようだ。それに一方で獣の数字と言…

サークル活動 (20世紀少年 第659回)

ケロヨンの次はキリコの昔話だ。第20集の第5話は「人類の勝負」。心ならずも人類の代表になってしまったキリコが、夫だか元夫だか偽物だかよく分からない相手との勝負に出る章です。最初の絵は2000年12月31日の夜。ケロヨンが熱海行きの急行に乗るべく急いで…

空飛ぶ円盤 (20世紀少年 第658回)

第20集の70ページ目は、久々に描かれる巨大ロボットの禍々しい姿と、その下にざるそばと薬味のネギの絵がある。通常はラーメンを食べる係のマルオが、ここではケロヨンが打ったソバをすすっており、「んまい」とカンナのようなことを言っている。昔そば屋を…

福寿庵 (20世紀少年 第657回)

スナック「ちえこ」に続く場面の舞台は、そば処「福寿庵」。いかにもお目出度い名前です。親父さん譲りの商号か。ケロヨンが営む蕎麦屋のお店。赤ん坊が泣いている。抱いているのは「残り物には福がある」のを体現したケロヨンの奥さんで、幸い生まれた子は…

アケミ命 (20世紀少年 第656回)

第19集では自称最悪の男の長話を散々と聞かされたのだが、第20集の第2話はタイトルが「最低の男」とあるように、自称最低の男すなわちケロヨンの昔話で始まる。時は2000年、場所はスナック「ちえこ」。サントリーを飲ますお店である。壁には幾つか額などが飾…

そばの畑でつかまえて (20世紀少年 第655回)

第20集の第3話「カエル鳴く時」は、意外なところで蛙帝国の国旗を見て驚くマルオの姿から始まる。ところが驚くのはまだ早くて、彼はいきなり発砲され、近くの地面に跳弾した。見れば蛙ヘルメットの面長の男が小銃をこちらに向けて構えている。マルオは撃つな…

幼なじみの思い出は (20世紀少年 第654回)

第20集の40ページ目。ユキジ達がいる部屋は瓦葺の木造家屋だ。それまで市原弁護士の報告を中腰で聴いていたカンナは、立ち上がってキリコとの面談を勧めるユキジたちに反論を始めた。万丈目は、いつ何が起きてもおかしくないと言ったのだと語る。時間の問題…

一度はおいでよ三丁目 (20世紀少年 第653回)

私見によると全員集合時代のドリフターズは、前半のカトちゃん時代と、後半の志村時代に大別される。ネット情報によれば、荒井注と志村けんが交代したのは1974年のこととある。私は中学2年生。中学に進学して以降、部活やロックや麻雀で忙しくなり、ほとんど…

火星移住計画課 (20世紀少年 第652回)

さて、市原弁護士の話の続きである。彼女は入国管理局に赴いた。目的はキリコの所在地を突き止めるためで、おそらくユキジの要請によるものだろう。まずは離散家族連絡課の窓口で探してもらうことになった。カウンターの担当者がアクビをしている。それを見…

市原報告 (20世紀少年 第651回)

第20集の30ページ。ユキジの道場の一室にたどり着いた市原弁護士は両手に大量の荷物を抱えている。到着した途端にそのうちの紙袋のほうは底が抜けてしまい資料が床に散乱した。この弁護士もまた逞しく、ともだち暦を生きている。これから始まる話を聴く限り…

犠牲 (20世紀少年 第650回)

前回の続きです。昨日、引用した「日本から学ぶべき十の事柄」のうち、私は7番目の項目、「THE SACRIFICE」すなわち「犠牲」に対してちょっとした違和感を持っている。念のため、東電原発の被災現場で働き続けている人たちの艱難辛苦を、否定したり疑ったり…

10 things to learn from Japan (20世紀少年 第649回)

今回と次回は物語の感想文から逸れる。今日はあの日だから。ご存じの方も多いと思うが、表題は東日本大震災が発生したあとで被災地に入った人々が目撃した現地の様子を、どこかの誰かが書き纏めてネットに拡げたものだ。原文は英語で後に掲げるが、まずは拙…

ユキジちゃんこそ女 (20世紀少年 第648回)

第20集の26ページ。ケンカの元はケンヂ達なんでしょと訊くキリコに、ユキジは「別に」と答えている。その前の「ひどいわね、女の子相手に」という発言に対してもユキジは「別に」とエリカ様の先祖のような反応をしているから、彼女の主観においては、キリコ…

オキシフル (20世紀少年 第647回)

第20集の第2話は「いて、あたた」と腰をさすりながら歩く少女ユキジのおかっぱ頭姿で始まる。うしろから「どうしたの、ユキジちゃん」と声をかけたのがキリコだった。二人はご近所のはずだし、共通の知り合いに暴れん坊が多い。キリコはユキジが怪我をしてい…

解散 (20世紀少年 第646回)

祖父は私の英雄でした。でも、もう一人、心の英雄がいます。彼はこう言いました。自分の命が危ないと思ったら、一目散に逃げてくれ。頼むからみんな死なないでくれ。この言葉を最後にみんなに伝えます。みんな、ありがとう。これで解散です。 ユキジはそう言…

柔の道の極意 (20世紀少年 第645回)

厳道館道場で合同練習が始まった。第20集の12ページ目、稽古は激しい。ところが彼らもなぜなのか知らないが合同なので人数が多く、隣の組とぶつかって謝り合っている。そんなとき、久しぶりに館長の試技が始まった。みんなの目が輝いている。しかも、相手は…

そのころ東京では (20世紀少年 第644回)

関東軍は落城して滅び、グータララ節を歌い続ける攻城軍は、この勢いで東京まで進むかなどと快哉を叫んでいる。一方で、そのうちの一人は、今、東京はどうなっているのだろうと不安げである。彼らが見つめる東京方面は間もなく朝を迎えるのだろう。ようよう…

よっぽど楽 (20世紀少年 第643回)

第19集の195ページ目でケンヂは、「ウィルスがばらまかれて世界中が死滅」というニュースを知り、「記憶が戻った。いや、逃げ切れなくなった。」と長髪に向けて語っている。こういうふうに、即座に「いや」などと言って別の表現に切り替えるときは往々にして…

泣いて泣いて一人泣いて (20世紀少年 第642回)

先日、DVDを借りて「復活の日」を観ました。小松左京の小説は読んだのだが、映画のほうは初めてだ。ウィルスの猛威の描写に限れば、こちらの方が「20世紀少年」よりもリアリティがある。それに何たって脚本・監督が深作欣二だから、モブ・シーンの切れ味が違…

落城 (20世紀少年 第641回)

第19集の180ページ目。拳銃をケンヂに向けたままで立ち尽くす長髪に、「総統!!」と部下からの報告があった。暴徒が城をと言いかけたところで、総統は殺せと命じた。部下は暴徒があまりに多くと言いかけたところで、総統はみんな殺せと命じた。 これに対して…

far from reality (20世紀少年 第640回)

どういう経緯だったか忘れたが、イギリス人女性と一緒に映画「摩天楼はバラ色に」を観たことがある。主演はマイケル・J・フォックス。バック・トゥー・ザ・フューチャーの兄ちゃんだ。映画はなかなか面白かったが、筋立ては荒唐無稽であった。「面白かった…