おじさんの雑記帳 

「20世紀少年」の感想文そのほか 寺本匡俊 1960年生 東京在住

2017-01-01から1年間の記事一覧

大みそかの墓参り  (第1141回)

今回は私事です。本年もあと半日足らずという今日の午後、墓参りを済ませてまいりました。先祖代々の墓ということになっておりますが、祖父が分家なので私でまだ三代目。 この祖父に加え祖母や父と、同じ墓に眠る伯父のことは前にも書いたかもしれません。戦…

大相撲  (第1140回)

物心ついて初めに覚えたスポーツが大相撲だ。あれをスポーツと呼ぶならば。同居していた父方の祖父が大相撲とプロ野球のファンで、よく一緒にテレビで観ていたものです。野球と比べて、相撲はルールがシンプルだから子供でも楽しめる。 どういうふうに楽しん…

シン・レッド・ライン  (第1139回)

前回に続き、映画の感想文です。この原作の本は、まだ読んでいない。読めばわかるかもしれないが、タイトルの意味が分からない。レッド・ラインをネットで調べたら、浜崎あゆみさんの楽曲が出てきた。英和辞典では、越えてはならない一線。芸能人や政治家の…

我等の生涯の最良の年  (第1138回)

2017年も残りあと僅かとなりました。本年は、その前の年に亡き伯父の戸籍や軍隊の記録が見つかったのを機に、結婚したばかりの彼が戦死したマリアナのテニアン島に旅行に行ったり、関連の調べ事をしたりで、戦争のことを考えることが多かった年です。与党と…

1970年代  (第1137回)

漫画「20世紀少年」は、主人公が大阪万博に行けず、祭りのあとが来てから悲劇が始まる。私の実感も、個人的なことを含め、70年代の特に前半は世相が暗かったという印象がある。 祖父が他界し1971年に自宅が引っ越したため、それまで近所に十人以上いた幼馴染…

バス停が小学生を待っている  (第1136回)

前回の続きです。宮城行の二日目、仙台から名取に移動した。右手の車窓から冠雪した山々が見える。ろくに地図も見ずに来たものだから、どこの何山か知らなかったのだが、名取駅前から乗ったバスの運転手さんは、「今朝初めて蔵王が真っ白になった」と言って…

青葉城  (第1135回)

前回の続きです。浪分神社からの復路は順調で、バスと地下鉄を効率よく乗り告げたので、日暮れまでの時間帯に仙台城址に行くことにした。見たいものが二つある。お馴染み伊達政宗像と、正岡子規が随筆「病床六尺」に書いた鵄(鳥のトビ)の像。 後者のトビ像…

浪分神社  (第1134回)

毎年一回、東日本大震災の被災地を訪問し、その記録や感想をここに残している。2011年の3月下旬、気を取り直して生活を立て直すため、気分転換にまず温泉に行き、そこで初めて漫画「20世紀少年」をみた。いわば、お導きのようなものです。 大人になってから…

浦川君  (第1133回)

前回の続きです。いじめとは、難しい問題に手を出したなあと実感しているところ。余談から始めると、私のPCでGoogleの検索をしようとしたとき、「君たちはどう生きるか」の著者名を入れたところ、例の押しつけがましい検索候補の一つに、「吉野源三郎 共産主…

君たちはどう生きるか  (第1132回)

この作品が漫画化されるという話を知ったのは、いじめに関する書籍をネットで渉猟していた数か月ほど前に、何かの記事で読んだ。更に追報で、宮崎駿監督が最後のアニメーション映画の題材にすると聞いた。楽しみではないか。娯楽は待つのも楽しい。 私はまだ…

人工知能の慰霊  (第1131回)

変なタイトル。そもそもが、何回か前にAIについての雑文を書いたところ、そのあとでAI関連の変な報道が二つ続いたからだ。ご覧になった方も多いと思う。一つは中国発のニュースで、AIの知能指数はニ三歳ぐらい、せいぜい6歳児程度だというもの。 もう一つは…

明かりの下の燭台  (第1130回)

いじめの問題を考えるのは難しい。ここしばらく幾つか試してみたが、まとまりがつかない。ともかく今回も思いついたことを書きます。本日(2017年10月22日)は、日本の政治社会が大きく変わるかもしれない衆議院選挙が行われた。投票に行ってきました。大型…

私を離さないで  (第1129回)

先月(2019年9月)、お彼岸の墓参を兼ね所用で帰省したとき、母親が「日の名残り」を読んでいて、「あんた、カズオ・イシグロって、どう思う?」と訊かれた。私は映画で「日の名残り」と「私を離さないで」を観ただけで、翻訳を読んだことが無い。 その映画…

弱い者たちが夕暮れ さらに弱い者をたたく  (第1128回)

THE BLUE HEARTS の代表曲の一つ、 「TRAIN-TRAIN」の一節。いじめの問題も含め、人間関係における暴力沙汰の重要な側面を鋭く衝いている。 ハラスメント対策の専門家に聞いた話では、いわゆる「パワハラ上司」は、自身の上司やその上の経営者との間に、何等…

香香  (第1127回)

上野公園は、拙宅からゆっくり歩いて20分ぐらいなので、格好の散歩コースになっている。先週末も歩いてきました。早朝だったから人通りは少なかったが、日曜日なので後から混んだはずだ。パンダの赤ん坊がいる。 先月だったか、名前が「シャンシャン」(香香…

じっと我慢の子であった  (第1126回)

昨日の続きです。前々回、いじめの問題には即効性のある万能薬などないと、いきなり身もふたもないことを雑に書いたので、少し気になっておりました。とはいえ、やはり無いものは無い。いじめは人間関係の中で起きる。完璧な予防方法があるなら苦労はない。 …

できる子  (第1125回)

勉強ができる子の意味だろう。コミックス第12集に出てくる小学校4年生時代、山根君が落合君をそう呼んでいる。オッチョはケンヂの悪口を言われて不機嫌だが、できる子発言の否定はしていない。何となく二人とも、孤独の影がある。 オッチョは実際、ヤン坊マ…

ガラスの地球を救え  (第1124回)

久しぶりに、漫画の感想文を書く。テーマが重いので、大真面目に書きます。いじめの問題。5年間ほど連載で感想文を書いていたころ、難しくて先送りにすると逃げ続けたままになっている。ずっと気になっていたのだ。 主人公のケンヂは、逃げるのをやめて帰っ…

続きの雑談  (第1123回)

前回少し書きもらしたことがあるので、タイトルどおり、前回の続きの雑談です。千尋はきっと多摩川に落ちたのだと勝手な推測を述べた。私の多摩方面での暮らしは、けっこう長く、引越しも多い。 千尋たちがアウディの後部座席に乗せていた紙らしきバッグに店…

千と千尋の神隠し  (第1122回)

千尋という名の少女が、神隠しにあう物語である。普通は子供が戻ってこないときに「神隠し」というのだが、幸い彼女は生還した。なぜ、「千と千尋」なのか私には分からないが(キーワードが、名前であるのは確かだ)、七五調に収まったので覚えやすく、口に…

永遠の0 【後半】  (第1121回)

前回の続き。これから好き勝手なことを書きますが、判断材料のほとんどは小説に書かれている事柄。また、神風特攻隊が一人残らず志願制だったのかどうか知らないが、物語ではそういう設定になっているので、その建前に従う。実際、上官の無理を断って、激戦…

永遠の0 【前半】  (第1120回)

この小説を買ったときのことは覚えている。講談社文庫の奥付が2013年となっている。作者の百田尚樹氏というお方が、本屋大賞というものを受賞したというので好奇心を持ち、そのころちょうど、出張か旅行で厚めの文庫本を買いたいなと思ったときに、駅の売店…

あたし賭けには強いの  (第1119回)

コミックス第18集に出てくる遠藤カンナのセリフを借用しております。語った相手のオッチョおじさんは、その実績を知っているため黙ってうなずいたが、直後に別件の大騒ぎが起きて、ギャンブルは延期になった。 その実績とは、第9集に出てくる「JUMBO」という…

終戦記念日  (第1118回)

戦争の話題を続け過ぎて、正直なところ疲労して参りました。今回で一区切りの予定です。本日8月15日は終戦記念日。別のブログかSNSだったかもしれませんが、かつて私は終戦記念日ではなくて、「敗戦記念日」だろうと書きました。 これは別に自虐ではございま…

風立ちぬ  (第1117回)

確かスタジオジブリのアニメ映画を、リアル・タイムで観たのは「カリオストロの城」が最初で最後。今回もレンタルでDVDを借り、宮崎駿監督の「風立ちぬ」を今更ながら初めて観ました。 堀辰雄の小説「風立ちぬ」は遠い昔の高校時代、図書館で借りて読んだ覚…

平和に出番を  (第1116回)

ジョン・レノンの生没年は、私の生まれ年と20年ずつ違うので覚えやすい。彼は1940年に生まれ、1980年にこの世を去った。私はその中間点の1960年生まれ。中学生になってビートルズを聴き始めたころ、彼らはすでに解散してソロ活動に移っていた。 あのころのジ…

長崎の雨  (第1115回)

前回の続きです。広島で友人と合流して山陽新幹線に乗り、博多で降りて最初に見物に出かけたのが大宰府の天満宮。今週の台風も含め、今年の九州や四国は集中豪雨で大変な被害にお遭いですが、この1982年7月の四国九州旅行も雨が多かった。 四国で野宿した夜…

近鉄と広島  (第1114回)

近鉄バファロウズのファンだった。田舎の野球小僧のころは、ご多聞に漏れず巨人ファンだったのだが、思春期にグレて近鉄に鞍替えした。いま覚えている理由らしい理由といえば、万年最下位クラスだったチームが、西本監督を迎えて、強くなり始めたころだった…

白雪姫の保護者  (第1113回)

この思わせぶりのタイトルは、先日レンタルで観た映画「スノーデン」に出てくる言葉を借りたものです。白雪姫は主人公のあだ名で、英語では「スノー・ホワイト」だから、たぶん本名に掛けている。保護者はガーディアン紙のこじつけでございます。 ガーディア…

アンダーグラウンド  (第1112回)

前回の続きのようなものから始めます。月に一回程度のことだが、築地近辺に行く。巨大な聖路加国際病院を見上げて歩く。ここまで大きな建物を必要とする理由の一つは、日野原重明元院長がチーム医療、人間ドック、救命医療などの概念と体制を導入してきたか…