2011-10-01から1ヶ月間の記事一覧
2000年12月21日、第5巻の67ページ。地下水道で、「よげんの書」を読んでいるケンヂのもとに、外で情報収集活動を行っている仲間が順次、帰ってくる。最初はモンちゃんで、友民党大会と万丈目の周囲を見張っていたのだが、ともだちとの接触はなかった。 外出…
第5巻第4話「のろし」は、地下水道のほとりで「よげんの書」を読んで首をかしげているケンヂの姿で始まる。彼はもともと指名手配されているうえに、ヤン坊マー坊の情報漏えいにより、地下鉄ホームの秘密基地を機動隊に急襲されてしまい、神様の真夢のおかげ…
子供のころ、私の実家では磯野家のような丸いテーブルで食事をしていた。祖父母と両親、長男(私)と長女(妹)の三世代6人家族で、朝7時のNHKのニュースを見ながら朝飯を、夜7時のNHKのニュースを見ながら晩飯をいただく。 この食習慣は1970年、私が小学校5…
前回からの続き。スケッチブックの「よげんの書」から破り取られた絵は、何が書いてあって、どこに消えたのであろうか。肝心の作者ケンヂは、例によって記憶がない。紙の表裏に描かれていたなら、絵は3枚か4枚、紛失したことになる。 傍証がある。第16巻の21…
前回からの続き。ケンヂは4年生のわりに漢字を知らないようだが、どうやら地名だけは調べて書いている様子。 そして悪のそしきの次のねらいは 羽田空港でした!!東京は、にげ場のない きょうふをあじわうこととなりました。 第3巻128ページ、すでに見たよう…
第5巻の第4話は「のろし」。61ページ目に「よげんの書」が初めて、まとまった形で出てくる。ケンヂが焼土と化した自宅兼コンビニ店の庭から掘り出して、地下まで持ってきたものだ。 よげんの書は、スケッチ・ブックに書かれているのであろう(第3巻の100ペー…
第5巻の56ページ目に、拳銃が4丁、出てくる。「パイナップル・アーミー」では、原作こそ別のお方だが、それにしても多種多様な武器を丁寧に書いておられた作者であるから、ピストルの写実などお手のものであろう。いよいよ、本格的な戦闘開始である。 オッチ…
私が1983年に社会人となって東京で働き始めたころ、北日本と東京を結ぶ電車の大半は、上野駅で発着していた。上野発の夜行列車は、旅立つ者、帰る者を載せて雪国に向かう。当時、勤めていた職場に東北出身の先輩がいらした。上野駅に行くと故郷を思い出して…
第5巻第3話のタイトルは「ケンヂおじちゃん」。舞台はラーメン屋で、3歳か、あるいは4歳になったばかりのカンナが、にんにくラーメンを二つ、注文している場面から始まる。ラーメンは、この物語の特に前半において、重要な小道具としての役割を果たしている…
ともだちや万丈目の所業は、もちろん決して許すべからざる極悪非道ではあるものの、この私には、かすかに彼らからも心の痛みのようなものが伝わってくるところがあり、それがこの物語に陰影のある味わいを与えているように思う。 しかしながら、ヤン坊マー坊…
第5巻の20ページ目、ケンヂの招集した仲間が、地下の秘密基地に結集している。残念なのは、オッチョが子供のころ以来、会っていないはずのヨシツネやマルオやモンちゃん、そして特にフクベエとの間で、どんな再会の挨拶を交わしたのかが描かれていないことだ…
サラリーマンなどが登場人物であるドラマにおいて、上司の机の上に辞表を叩きつけるというのは、一種の爽快な風景として描かれることが多いだろう。私事であるが、これを2回、やったことがある。1回目は人事まで届いてから戻され、2回目は人事に届く前に戻…
第1巻のところでも触れたが、「20世紀少年」の単行本のカバーは、登場人物たちのカラフルな肖像画の背景に、正体不明の不気味な何かが、おどろおどろしく描かれている。第5巻の表紙は例の巨大ロボットだと思っていたのだが、改めて見ると明らかに違う。 どう…
第5巻の第1話のタイトルは「招集」。11ページから12ページ目にかけて、ケンヂからの「招集令状」が、それぞれFAXと封書により、誰かの手元に届いている。そのすぐあとにマルオが奥さんと、ケンヂからの招集に応ずる件について口論しているので、一見、そのう…
第5巻は、法師蝉の鳴く夏も終わりの草っ原で、ヤン坊マー坊に痛めつけられているケンヂの姿で始まる。「20世紀少年」は、かなり細部まで構成が出来上がってから書き始められたものと思う。最初のころと終わりのころに、同じ場面が分割されて出てくる。今回と…
第4巻の199ページに戻ろう。物語における「現在」、つまり2000年。巨大ロボットを「ぶち壊しにいく」ため、ケンヂとオッチョが地下道を歩いている。怪しいドアなどを見分けながら探し歩くケンヂを見て、オッチョが感心している。すっかり地下に慣れた様子で…
オッチョに、発見者になったら英雄だとそそのかされたケンヂは、早くも逃げ腰のヨシツネとマルオに、3分たって出て来なかったら人を呼んでくれと言い残して冒険の旅に出た。 ウルトラマンとて3分たったら死んじまうぞというマルオのコメントが良い。あっしに…
第4巻の152ページに、これから巨大ロボットを見つけて壊すべく、地下道を歩いているケンヂが、連れのオッチョに「あれ以来、俺はこういうところが大っ嫌いなんだ。何が地下の帝王”ケンヂだ」とぼやいているシーンがある。地下の帝王という称号は、ありがたく…
レナちゃんに正体を知られた以上、ケンヂはパパイヤ天国の職を失うことになるだろう。しかし、もうこの店で働く必要はなくなったし、そんな暇もなくなってきた。外で待っていたオッチョに、これから霞が関にある巨大ロボットを壊しに行くと告げると、さすが…
まことに意外なことに、敷島教授の娘は、2000年の夏時点でケンヂの同僚であった。二人が働くお店の名前は、すでに出てきたが「パパイア天国」という。パパイアは言うまでもなく熱帯産の美味しい果物であり、私の好物である。 カンボジアで聞いた話では、最初…
ここ3年間のケンヂの苦労話を聞いて、オッチョは「”よげんの書”にしたがって、行動してみたってわけか」と応じてケンヂも同意しているが、正確にいえば「よげんの書」が実現しないように行動してみたってわけだ。 ケンヂは2000年の大みそかまで時間が無いと…
ケンヂが待ち合わせ場所を渋谷に指定した理由は、ウサギ姿で出歩けるからという他にも一つ、これからオッチョを連れていくべきところに、こっそりとマンホールの蓋を開けて入りこむことができる場所に近かったからだ。 そこまで歩きながら、二人はこれから何…
「W3」(ワンダースリー)は手塚治虫が少年誌に連載した漫画で、後にテレビ・アニメにもなった。私は漫画を覚えておらず(漫画は有料だったので滅多に買えなかったのだ)、テレビのアニメ−ションで見た。もっとも、小学校中学年の同級生と話題にした記憶があ…
初めて単行本で「20世紀少年」を読んだとき、第4巻の表紙を見るとピンクのウサギのかぶり物(ただし首から下)を身にまとったケンヂがVサインなどしているので、「何じゃい、これは」と思ったのだが、中身を読めば彼の気の毒な事情が分かる。 待ち合わせ相手…
第4巻の132ページ、オッチョが新東京国際空港に降り立って、顔のバンソウコウをはがしている。ムエタイの使い手と戦ったときの傷が癒えたらしい。このわずかの間に彼の人生は激変してしまった。 この空港では3年前、ユキジが税関で犬と共に働いていたのだが…
オッチョと弟子が辿り着いた七色キッドの工場は、入口にマシンガンを持った警備が立ち、鉄条網が張り巡らされているという物々しさだが、オッチョは一撃で警備員を殴り倒して乱入している。元工場長の放火犯によれば、ここは一度入ったら二度と出ていけない…
タクシーの象から降りて散々歩いたオッチョは、密林の中の寺院に辿りついた。石造りの寺院といえば、古代クメールのアンコール遺跡群が名高く、タイにもカンボジア国境方面には幾つかの遺跡があると聞く。もっとも、アンコール遺跡は多くがヒンドゥー教のも…
第4巻の85ページ目に、まだネクタイ姿のオッチョが、師の指導を受けているシーンがある。師は「目をあけて、恐怖の正体を見極めよ」という教えの言葉(だと思うが)を垂れてから、弟子の背中をうわっと押して滝壺に落してしまう。これから行く先々で、オッチ…
第4巻第3話のタイトル「つながり」とは、一つには、儚かったメイとショーグンの心のつながりと思えなくもないが、やはり、ここでは二三十年振りに言葉を交わしたケンヂとオッチョの運命の結びつきのことを指すのであろう。即物的に言えば、タイと日本の間の…
オッチョとケンヂの会話については次回にまわして、今しばらく中村の兄ちゃんの部屋に滞在しよう。なんせ「20世紀少年」のバック・グラウンド・ミュージックはロックなのだ。見過ごすわけにはいかないものが兄ちゃんの部屋にはある。 第4巻70ページ、壁の大…