おじさんの雑記帳 

「20世紀少年」の感想文そのほか 寺本匡俊 1960年生 東京在住

2013-01-01から1年間の記事一覧

常盤荘にて (20世紀少年 第769回)

第22集の194ページ目にアパート「常盤荘」が再登場する。”ともだち”歴以降、東京は昔の木造建築群に建て替えられてしまったのだが、常盤荘は古すぎてそのままになっている様子。マライアさんは疲労で倒れたカンナを運び込んで着替えさせてやったらしい。物音…

はずれ (20世紀少年 第768回)

第22集の第1話「正義を守る男」は第10話と同様、ジジババの店先で始まる。前回の続きであろう。黙って当たりくじと景品を引き換えた少年が走り去ったのち、今度は物陰で見ていた少年が店に誰もいないのを知って近づいてきた。彼の手には、はずれの紙が一枚。…

あたり (20世紀少年 第767回)

第22集第10話のタイトルは「正義の始まり」。主な登場人物が円盤とロボットに向かって、吸い寄せられるように集まっていく。最初のページは過去のシーンで、懐かしのジジババの店から始まる。1969年の夏。 だがこの場面は、正義の始まりと解してよいものかど…

無血開城とは言えど (20世紀少年 第766回)

いまでも覚えているのだが、小学校の歴史の教科書だか図鑑だかに江戸城無血開城の談判の絵が載っていて、西郷隆盛と勝海舟が真面目な顔で対座しているという構図であった。数週間前の「八重の桜」にも出てきた。幕末の有名なエピソードである。フィクション…

緒戦は不戦勝 (20世紀少年 第765回)

夏風邪の熱が下がりません。第22集の160ページ目、幹事長室に来た中谷が高須に「都民が革命と称し、蜂起しました」と急報を伝えている。もう一人別の男も同行していて、この”ともだち”府も包囲されつつあるとご注進。しかし、当然スパイから経緯の報告を受け…

予定より早い革命 (20世紀少年 第764回)

万博会場に速報が届いた。第22集155ページ目。ねじり鉢巻きの男が、予定より早く革命が始まったと伝令に来たのだ。巨大ロボットも動き出したぞとなかなか情報が正確である。だが、「ねえ、カンナちゃん、どこ?」と訊いてきた質問相手に「邪魔だ、どけ」と言…

地球の上に夜が来る (20世紀少年 第763回)

第22集第9話「何もするな」というクライマックスの章は、「ここで弾いてたんだ...」という主人公ケンヂのセリフで始まる。場所は一番街商店街。同行者は漫画家の氏木氏。関東軍攻城戦の仲間は東京に入って解散したらしい。蝶野刑事はヤマちゃんおじさんを探…

蝶野刑事復活の日 (20世紀少年 第762回)

第22集の141ページ目。すでに夜の東京には火の手が上がっている。山崎という表札がかけられた家の中で、「やれやれ、何かおっ始まったな」と独り言をいっているのはヤマさんだ。そして、どっちにしろ早く逃げたほうがと言いかけたところで、「待ってください…

しきしま (20世紀少年 第761回)

早いもので7月に入りました。今日も天気が好くない。第22集は第8話の「続伝説の刑事」に入る。ユキジが24時間後の蜂起を宣言した直後、ロボットが勝手に動き出した。先手を取られたのである。最初にロボットを追いかけたのは生みの親、敷島教授であった。教…

善いも悪いも (20世紀少年 第760回)

第22集の119ページ、大泣きして話せなくなった指導者に代わって、「そういうこと。みんなわかった。」とユキジは言った。何が「そういうこと」なのか明確でないような気がするが、追及するのは野暮であろう。男たちの目付きが鋭くなっている。真意は伝わった…

テニスコートの誓い (20世紀少年 第759回)

第22集の第7話にはヨシツネによる革命の宣言らしきものが出てまいります。革命というのは辞書類によると大別して2種あり、一つは日本語の革命の元になった漢語の易姓革命で、中国では国家が変わり皇帝の姓が改まる(改易の易ですね)こと。もう一つは英単語…

大事なリモコン (20世紀少年 第758回)

第22集第7話のタイトル「敵に渡すな」は、もちろん鉄人28号の主題歌の歌詞、「敵に渡すな大事なリモコン」から採られたものです。ともだち府に登庁した高須幹事長は、もう外は暗い時間だというのに深くお辞儀をする部下たちから「おはようございます!」と挨…

かっこつけしい (20世紀少年 第757回)

第22集第6話には4ページだけ、カンナたちの活動場面が出てくる。大型トラック何台かで万博会場に乗り込んできたのだ。門前でカンナは「爆破班!!」と呼びつけている。相変わらず気の荒い娘であった。いろいろ背負っている人生だからなあ。門だけ壊して他は壊…

お面大王 (20世紀少年 第756回)

銃撃を受けたが水に飛び込んで、命だけは助かったマルオとケロヨン親子であった。息子の修一君は父親の軽はずみな行為がきっかけとなって、ワクチンを車に置いてきてしまったと嘆いている。親父のほうは最初のうち日本語が分からねえのか、あいつらはなどと…

愛の反対 (20世紀少年 第755回)

The opposite of love is not hate, it's indifference. The opposite of beauty is not ugliness, it's indifference. The opposite of faith is not heresy, it's indifference. And the opposite of life is not death, but indifference between life an…

ありがとうな先生 (20世紀少年 第754回)

小欄は基本的に漫画の感想と昔話だけにしている。できるだけ時事には触れない。気が滅入るからだ。でも昨日の都議選で改めて考えたことを書き残します。私はノンポリで投票のたびに政党が違うことなど珍しくないのだが、一つだけ自らのルールを持っている。…

おまえの店 (20世紀少年 第753回)

中島みゆきに「おまえの家」という佳曲がある。私が一番好きな彼女の4番目のアルバム「愛していると云ってくれ」の収録曲。大雨と落雷の効果音から始まり、その雨が止んだところで歌い手の「私」は、昔からのギター仲間らしい「おまえ」の家に行ってみたくな…

リズム・セクション (20世紀少年 第752回)

静岡県の生まれであるが、同県の大企業はほとんどが私の実家がある県庁所在地の静岡市ではなく、大工業都市の浜松市に集中している。ヤマハもその一つで、ピアノもバイクもこの地の企業である。音楽のほうのヤマハのサイト情報によると、リズム・セクション…

ポスター (20世紀少年 第751回)

煙突がたくさん立っている。第22集の63ページ目。かつて話題に出した千住の「お化け煙突」の実物(と言っても古い映画だが)を観てみたい方は、昭和二十八年(1953年)の邦画「煙突の見える場所」をご覧になるといいです。今の都心には煙突などいくら探して…

子供時代のイヤな思い出 (20世紀少年 第750回)

第22週第4話「あんたの勝負」には、まず久しぶりに”ともだちタワー”内の円卓会議場が出てくる。一人の幹部が先日の”ともだち”の放送について、何処までが真実で何処までが嘘なのか、ジョークなのか本気なのかと怒鳴り散らし、誰か説明できないのかと混乱して…

俺ら東京さ行ぐだ (20世紀少年 第749回)

今朝の東京は荒天なり。ピンク・フロイドの「One of These Days」を思い出します。 コンチはカンナの肩を軽くたたいてねぎらい、親指一本を立てている。この印、日本では昔から「OK」の意味だが、これも含めて指を使う合図というのは国や文化によって意味が…

フェスティバル (20世紀少年 第748回)

ウッドストックを取り上げているサイトはたくさんある。それらによるとクリーデンス・クリアウォーター・リバイバルがウッドストックで「スージーQ]を歌ったのは1969年8月16日。ケンヂがフクベエを誘って首吊り坂にでかけた12日前のことである。この日の夜、…

DJをかます (20世紀少年第747回)

以前ヘミングウェイが苦手と書いたが、なぜか彼のみならずアメリカの小説が肌に合わず「白鯨」も挫折。ちゃんと最後までしっかり読めたのは「怒りの葡萄」ぐらいか。主人公一家はケロヨンと逆方向にルート66を走る。さらに、和洋を問わず女流文学も不得手。…

風と共に去りぬ (20世紀少年 第746回)

第22集の47ページ、引き続き舞台はコンチのスタジオ内。コンチは職業柄、先ほどから気になっていることがある。行き倒れになるほど貧窮している男が、なぜか後生大事にアコースティック・ギターを持ち歩いているのだ。身の上話が一段落して、コンチはようや…

Centerfield (20世紀少年 第745回)

前回の続きです。このブログも早、2年。ちょうど2年くらいで終わるかと思っていたのだが、あと半年ぐらいかかりそうだ。早くしないと西暦が終わってしまう。さて。 1980年代の終わりごろ、サンフランシスコでアパートを借りて住んだとき、数十ドルで30チャン…

ディマジオ (20世紀少年 第744回)

先日サッカーの話題で脱線したばかりだが、今回と次回は野球の雑談。次回の最後で漫画に戻る予定。今年の野球シーズンが始まる直前に松井秀喜が現役引退を表明した。現地の夕方、日本では朝のニュースで引退の記者会見があり実況中継を観た。 そのとき彼は、…

水分補給 (20世紀少年 第743回)

泥人形に向かってコンチが銃を向け、「誰だ」と叫んでいる。ともだち歴3年、氷の女王一派はもちろん、ヨシツネやカエル帝国まで銃器を所持している。銃規制などなくなっているのか。この下書きを書いている今日、アメリカで銃規制派のニューヨーク市長に猛毒…

泥人形 (20世紀少年 第742回)

第22集の第3話「東京都民の皆さん」は、母親の制止も聞かずサナエが外に飛び出して、自分が配ったカセットの曲が近所の家々から聴こえてくるのを喜んでいる場面から始まる。ところが母ちゃんが驚いたことにカツオまで家から飛び出してきた。弟は姉にラジオが…

音楽祭  (20世紀少年 第741回)

第21集の21ページ目。ここでは先に放送局を占拠し、ラジオ・アンテナを立てた田村マサオに、取りあえずの指揮命令権がある。彼は「今から武装蜂起を呼びかける」と後続参加のカンナたちに作戦を告げた。ところが意外にも娘は「だめよ」と言下に否定した。そ…

どの家からも聴こえる歌 (20世紀少年 第740回)

第22集の第2話は「最後の歌」というタイトルが付いている。なぜ最後なのか。これを最後に音楽が終わるわけでもないだろうに。最後の手段みたいな意味かな。ラスト・ワルツなら知っています。ザ・バンドの解散コンサートの記録映画だ。写真を見るとボブ・ディ…