おじさんの雑記帳 

「20世紀少年」の感想文そのほか 寺本匡俊 1960年生 東京在住

2013-01-01から1年間の記事一覧

寒いともだち (20世紀少年 第739回)

書き忘れた。うっかりしているうちにコンチとマサオが北海道から撤退してしまった。あとで出てくるが仲畑先生も引っ越してしまっている。コンチ最後の北海道の回想が始まる前に、私最後の北海道の回想を書こう。 子供のころ、輝く日本レコード大賞は「歌手」…

面倒なもん (20世紀少年 第738回)

第22集の11ページ目は「なんとかしなくちゃ」というヨシツネ隊長の言葉で場面が切り替わり、格子に布張りの四角い建築物みたいなものが出てくる。その中でゴウンゴウンと音を立てているのは、後ほど善いも悪いもリモコン次第という鉄人28号の伝統を引き継ぐ…

リネカー (20世紀少年 第737回)

今日は脱線。最近、まじめな感想ばかり書いていたので少し息抜きをしたくなりました。雑談のテーマはサッカー。あえて、きっかけを挙げれば第21集の終わりでサッカー・ボールを抱えた少年が、”ともだち”の流したギターの音を不審そうに聴いていたのと、モン…

第21巻の終わり (20世紀少年 第736回)

「”よげん”なんてウソだよ」という”ともだち”の上目づかいが気に入らない。続いて彼は「全部僕がやったことだ」と言ったが、多分これもウソだろう。ウソではないとしたら、血の大みそかの一連の騒動も彼の仕業ということになるのだが、少なくとも彼だけがや…

僕の才能 (20世紀少年 第735回)

前回に引き続き、次の三つの発言の内容を検討します。今回のメイン・テーマは「僕の才能」。 1) 世界はずっと僕の才能を認めなかった。 2) 僕は必要だけど、世界は必要じゃない。 3) ”よげん”なんてウソだよ。全部、僕がやったことだ。 3)で”よげん”…

世界 (20世紀少年 第734回)

”よげん”の自慢話を終えた”ともだち”は、急に話の展開を変えて、立て続けに一方的な主張をしている。まず次の三つ。 1) 世界はずっと僕の才能を認めなかった。 2) 僕は必要だけど、世界は必要じゃない。 3) ”よげん”なんてウソだよ。全部、僕がやった…

よげん (20世紀少年 第733回)

いよいよ”ともだち”がその本性を現そうとしている。その言い分を聴きながら”ともだち”とは何かを分析するというか、イチャモンを付けるのが今回以降の趣向です。「変な放送」はテレビの映像だけではないらしい。道端でサッカーをしている子供たちや商店街を…

点目 (20世紀少年 第732回)

第21集の199ページ目、どうやって東京都民を万博会場に集めるか悩むカンナに、コイズミは「メガホンで”万博会場に集まってくださーい”って言えば? ヤキイモ屋みたいに。」と提案するが、理由を言ったらみんなパニックになると即刻、却下されて目が点になっ…

天気予報 (20世紀少年 第731回)

山路を登りながら、こう考えた。 智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。 住みにくさが高じると、安い所へ引き越したくなる。どこへ越しても住みにくいと悟った時、詩が生れて、画が出来る。 人の世を…

今日がその日 (20世紀少年 第730回)

第21集の第11話は、廊下を歩く少年の「また、同じような一日だ...」という独白から始まっている。誰でも大抵そんなもんだと思うが、どうやら彼にはそれが辛いらしい。英語ではポリスの「King of Pain」の歌詞に、「The same old things as yesterday」という…

お面 (20世紀少年 第729回)

第21集の第11話は「仮面の告白」というタイトルで、言わずと知れた三島由紀夫の代表作から借用されている。この小説は遠い昔に読んだ記憶があるが、どんな筋だったか全く覚えていない。三島は何冊か読んだが、私はついに彼の良さが分からず、もうお金と時間…

ユキジの記憶 (20世紀少年 第728回)

木造りの塀が並ぶ道を一人歩くは少女時代のユキジ。第21集の185ページ目。背後に物音を聞いた彼女が振り返ると、血相かえてドンキーが走って来る。どうしたのと尋ねるユキジに、ドンキーはおっとり刀で引っさげてきたきた旗竿を預け、「これ、原っぱに持って…

ヤン坊マー坊の記憶 (20世紀少年 第727回)

第21集の178ページ目、鉄くずに囲まれた道をユキジとヨシツネが歩いている。「それで何? うまく言えなかったわけ?」とユキジ。ヨシツネは、おまえが道場を解散したみたいには上手くできないわと言い訳気味に話す。しかし解散の重さが違う。ユキジの道場は…

ヨシツネの記憶 (20世紀少年 第726回)

第21集173ページ目に出てくるヨシツネの秘密基地(ここまで堂々と建っているのに秘密かどうか...)は、第19集の最後にカンナとオッチョが訪問した小屋と同じであるが一か所違う。その時なかった白い旗が、今や高々と掲げてあるのだ。どうやら隊長は遠足隊を…

ケロヨンの記憶 (20世紀少年 第725回)

「過去と他人は変えられない。未来と自分は変えられる。」という自己啓発セミナーのうたい文句のようなフレーズで検索すると無数のサイトが出てくる。その多くに精神科医エリック・バーンの言葉と書いてある。私は産業カウンセラーという資格を持っていて、…

マルオの記憶 (20世紀少年 第724回)

第21集の後半は、男の記憶力ってどうしてこういい加減なのというユキジの溜息が聞こえてきそうなエピソードが続く。なんせオッチョでさえ「よくおぼえてないな」という有様だ。その記憶の対象とは唯一つの昔のケンカ騒動なのだが、これがなかなか面白いので…

ケンヂの記憶 (20世紀少年 第723回)

今回は少し前の場面に戻りたい。せっかくの感想文だから、できるだけ丁寧に読もうと思っており、それはもちろん悪いことではないのだけれど、時おり視野が狭すぎて、まさに「木を見て森を見ず」(ご参考まで、これは英語の諺です)の状態に陥ったまま気づか…

1969年の旗 (20世紀少年 第722回)

第1集第6話の「月に立つ旗」によると、1969年7月21日、アポロ11号の月面着陸成功に感激したドンキーは、神社の階段で胸を張り「俺達も月面に月を立てよう」と勇ましい計画を発表した。第6話の終わりのページで満月を眺めるカンナを背負いながらドンキーの通…

昭和文化会館 (20世紀少年 第721回)

昭和文化月間のボウリング大会から神様とコイズミがガッツボウルに戻ってきた。コイズミ優勝の報告を神様から聞いたカンナは「すごいじゃない」と喜んでいる。カンナのこんな晴れ晴れとした笑顔はしばらく見たことがなかったし、これからもそんな場合ではな…

バカ円盤 (20世紀少年 第720回)

第21集の141ページ目、カンナたちが円盤の動向を調査・分析する場面が始まる。氷の女王一派は自由に野外活動ができるようになっている。カンナが投降したときの約束が守られているのか? 約束を守るような連中か。そもそも”ともだち”とカンナは友好裏に別れ…

神様の倒産 (20世紀少年 第719回)

第21集第8話は「あれだけが残る」という題名。ボウリング場でブツブツ文句を言っているコイズミと、なんとなく弱々しい神様のコンビが久々の登場である。今は「昭和文化月間」だそうで、ボウリングもどうやら昭和時代の文化とされているらしい。試合は「第3…

最後のページ (20世紀少年 第718回)

一般に予防接種というのは、ウィルスや細菌など危ない病原体の毒性を弱くしたものをワクチンと称して注射や経口で体内にねじこみ、人工的に抗体すなわちその病気に対する免疫力をこしらえて、本物の病原体に感染しても発病しないようにするという寸法である…

理論上 (20世紀少年 第717回)

第21集の120ページでフクベエは火星移住計画が予言されたページを破り捨て、その次のページでは科学者らしき男二人に加えて、事情に通じていない男一人が道化役として登場する。道化は大きなスクリーンに映し出された「第一次調査船のクルー」が送ってきたと…

Capricorn One (20世紀少年 第716回)

カプリコンというのは英語でやぎ座を意味するが、「Capricorn One」は昔の米英共作映画の題名であるとともに、このSF映画に出てくる有人火星ロケットの名でもある。今回は脱線ですが、一応、火星ネタです。若いころこの映画を見たときはコメディだと思って楽…

国連公認 (20世紀少年 第715回)

第21集の第7話は「つづきのよげんしょ」というタイトル。かつて病床のモンちゃんはユキジに「よげんの書」に続きがあったと述べたが、「しんよげんの書」にも、続きがあったのである。そしてこの第7話は「しんよげんの書」やその続きに書かれた予言と、関係…

走馬灯 (20世紀少年 第714回)

第21集第6話の最後のあたり、高須が中谷に「ちゃんと理解しなきゃダメよ」と偉そうに語った後で、気持ち悪いシーンが出てくる。舞台は東京万博会場で、ニセモノ太陽の塔の内部。”ともだち”が一人で遊んでいる。彼の周囲には2015年に蝶野刑事が見たものと同様…

理解 (20世紀少年 第713回)

第21集の109ページ目。”ともだち”は「誰でもいいのよ」という暴論を披露した高須は、押し黙った万丈目に「あなたは理解できなかった。信じ切れなかったあなたの負け。」と言った。これが死刑の罪状であるが、わかりにくい。クーデターの罰ではないのか? い…

誰でもいいのよ (20世紀少年 第712回)

かつてフロイト派の心理学者の講演を聴いていたとき、戦争や飢餓のような極限状態である場合を除き、人が本心から殺そうと思う相手は家族だけだという話を聴いた。会場がどよめいたのを今でも覚えている。まさか、みなさんお心当たりがあったのではないでし…

血統と法統 (20世紀少年 第711回)

第21集第6話の後半は、高須が口論のあげく万丈目を射殺する場面。人殺しのシーンは嫌いなのだが、権力がどういうふうに移行するのかというのは一時期、興味があったので、そういう観点から感想文を書こう。「一時期」と過去形で書く理由は、この国では何度、…

永遠に生きる方法 (20世紀少年 第710回)

こんなこと書くと女の人たちに総スカンを食らうかもしれないけれど、実際問題としてお腹の子の父親が誰なのかを知っているのは母親だけである。大阪万博の前の年、種子島に宇宙センターが作られたとき、島にはまだ夜這いの風習が残っていて、当初の駐在員た…