おじさんの雑記帳 

「20世紀少年」の感想文そのほか 寺本匡俊 1960年生 東京在住

万丈目胤舟 対 市原弁護士     (20世紀少年 第50回)

 せっかくの本ブログの第50回記念なのに、テーマが万丈目関連とはめぐり合わせが良くないが、話の展開上、この順番になるのが避けられなかったのは、私の力不足である。

 これまで、ともだち関係者と、ケンヂら20世紀少年関係者は、別々の動きをしていて直接対決の機会がなかった。両者の唯一の接点は、ドンキー関連の調査をしていたケンヂが、田村マサオの存在を知り、彼を自宅に訪ねたときであるが、あいにくマサオは人殺しに出かけるところで興奮状態だし、ケンヂはまだ情報不足で会話にならずにすれ違っている。


 両者の最初の正面衝突は、ともだちに近い重要人物であるらしい万丈目という、見るからに怪しい男と、ユキジの親友で、ともだち被害者の支援活動に乗り出そうとしている市原弁護士の会見であった。場所は喫茶店「Blondy」。Call me. 弁護士が万丈目を電話で呼び出した様子である。

 市原弁護士の差し出した名刺によると、彼女は中津川法律事務所の所属となっている。住所は千代田区一ツ橋で、小学館の本社ビルのご近所か。同行者として新倉という若い男性の弁護士も一緒である。

 市原弁護士の面談目的は、ともだちに関する情報収集、および、それに協力的でない場合に法律家らしく「それなりの措置をとる」ことを伝えることらしい。


 万丈目が差し出した名刺は表側が描かれていないが、下の名は「胤舟」であり、「いんしゅう」と読むと本人が語っている。彼の本名は、第18巻181ページの新聞記事によれば「淳一郎」という極めてまともなものなのに、では何故このような「読みにくくて申し訳ない」仮の名を使っているのだろうか。

 最大の動機は、過去の本人(興行師チャック万丈目時代)の不始末を隠したいからというところだろうが、それにしても「胤舟」とは、音読みの「いんしゅう」、訓読みの「たねふね」とも、あれこれ調べてみたものの、中高年の貴重な時間の無駄遣いに終わってしまった。


 両者の会話において、”ともだちの団体のスポークスマン的役割の万丈目から、表向きの説明を聞くことができる。まず、団体名は無く、あえていえば、ともだちマークが名前であるという。”ともだち”は”ともだち”であって、個人名は出さないつもりであるらしい。これを突き止めた刑事は悲惨な最期を遂げた。

 そして”ともだち”とは「友力」を持つものであり、マークを使うことを許された唯一の存在であり、マークを考え出した最初の存在であると万丈目は語る。嘘つき。考え出したのはオッチョであり、使うことを許されているのは、秘密基地の解散式に参加した11人であって、少なくとも誰かが独占して正義以外の目的で使ってはならない。


 万丈目が一方的に立ち去ったあとで、新倉弁護士は「どこかで見たような気が...」といぶかしんでいるのだが、昔、テレビで興行師としての万丈目を見た記憶を辿っているのであろうか。

 そして、市原弁護士が発した「ゆうりき?」という質問に対して、万丈目は直接何も答えていないが、返事かもしれないものが残された。曲げられたスプーンである。



(この稿おわり)



沖縄の県魚、グルクン(下)と、オジサン(上)の焼き魚。
これで泡盛を美味しくいただく。 
(2011年7月14日)















































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