おじさんの雑記帳 

「20世紀少年」の感想文そのほか 寺本匡俊 1960年生 東京在住

2016-01-01から1年間の記事一覧

国事行為のみを行ふ  (第1046回)

改正草案は新設の条項が多いこともあり、これ以降、同じ又は類似の条文であっても、通し番号が異なるものが増える。このため、逐一「現行の」とか、「改正草案の」と形容する。また、現行憲法は青字で表示する。 今回以降はしばらく、第一章「天皇」の中でも…

皇位の継承と元号  (第1045回)

こうして、頭の中を整理しながら勉強しているつもりなのだが、全くの徒労に終わるかもしれない。もしくは、役に立つのもずっと先のことになるかもしれない。総理総裁が、憲法改正の議論はゆっくりやると言ってみえる。それどころか、安保法案のときの騒ぎを…

千代に八千代に  (第1044回)

今回は雑談や、好き嫌いの話も交える。いつも堅苦しい文章ばかり書いていると、頭が疲れる。岐阜県の美濃地方に、揖斐川町という町があり、その西部にかつて春日村と呼ばれた山村がある。うちの親戚一同が暮らしている。山あり谷あり緑あり。ときどき山菜や…

元首とは何だ  (第1043回)

前文に長居したので、そろそろ本文に入ります。その前に一言だけ。改正草案には、さりげなく現行憲法にはない「目次」も新設されている。正確に言うと目次は、約10年前の改正案(前回の②)の段階で、既に差し入れがあった。ただし、十年前にはなかった「緊急…

日本国民  (第1042回)

疲れが出た。憲法という大物相手に、下準備もせず挑むとこういうことになる。しかも、参院選の結果は改憲勢力とやら(変な名前)が、3分の2を超えたそうで、次はどう出るかと思ったら天皇陛下の「譲位」「生前退位」などという報道。たぶん観測気球のための…

前文のはじまり  (第1041回)

日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し…

憲法は法律なのか  (第1040回)

素朴な好奇心であります。憲法も他の法律も、法であることに異論はありません。それなのに、このような疑問を抱いたのは、前回引用した平成24年の自民党の改正草案を斜め読みしていたときのことです。第73条に内閣の職務が規定されている。 その中身に入る前…

憲法の改正について  (第1039回)

しばらく前に、憲法を話題にしたとき、一生に一度は憲法改正の議論に加わりたいと書いた。そのときは願望のような気分だったのだが、段々と現実的な話題になってきた。そういうことを書いておいてみっともないが、私は憲法に詳しくない。中学生のときに習っ…

バングラデシュ  (第1038回)

バングラデシュには出張で三回、行ったことがある。もう20年ほど前だ。現地の滞在日数は合計で4週間ほどだったろうか。いずれも首都ダッカが主な宿泊地で、ときどき地方に行くような行程だった。当時アジアの最貧国の一つで、文化も気候も食べ物も日本とは大…

Farewell, My Lovely  (第1037回)

今回は雑談です。本日は胃が痛くて寝ていました。やれやれ。数日前にチャンドラーや、エルロイの名を出したときに、ずっと前、ここでハードボイルドの話題を出したのを思い出した。もちろんオッチョの出番に際してだ。角川映画のキャッチコピーもうろ覚えで…

Stand By Me  (第1036回)

寄り道続きで、映画の感想文です。先日、ロサンゼルスのフリーウェイ10号で、夜景を観ながらドライブをするのが好きだったと書いた。ある晩、カー・ラジオから、ジョン・レノンが唄う「スタンド・バイ・ミー」が流れて来たときのことを覚えている。少し感傷…

プリンセスの信頼  (第1035回)

この下書きを書いている前日に、イギリスで国民投票があって、EUからの離脱を支持する票が、残留を希望する側を上回った。負けた首相らはがっかりだろうが、それにしても民意がこうも真っ二つになるとは、しかも、雇用不安や難民といった深刻な事態が背景と…

IT  (第1034回)

私にとっては初めて見るシステムの不具合があったので記録します。今月の19日(日)と20日(月)に、いつも使っているPCで下書きをアップし、この「はてなダイアリー」のブログを更新した。前回と前々回の「ドンパチ禁止」の件です。きっかけは、フロリダ州…

昨日から世界はドンパチ禁止  (第1033回)

昨日の続きです。子供のころは庶民の会話に、仏教用語があふれていたように思うのだが、最近はすっかり廃れて来たような観がある。例えば、「縁起でもない」。悪い冗談や、要らぬ心配や、面白い予言などを言い続けていると実現してしまうおそれがあるのだ。 …

今日から世界はドンパチ禁止  (第1032回)

忌まわしい事件報道ばかりで、気が荒んでいる。文章もそうなる。ここは私のストレス発散の場でもあるのだ。不機嫌は伝染します。おっさんのブログなんぞ読んで嫌な気分になりなくないという方は、早期に避難願います。特に今月は酷い。 今回のタイトルにある…

「マンガ道」論争  (第1031回)

21世紀に再登場するのは、オッチョに続いてユキジ。やはり、強い人たちから順番に出てくる。このあとのユキジはもっぱら、柔道の使い手またはカンナとヨシツネの庇護者として活躍することになるだけに、このトキワ荘でのクール・ジャパン批判は、ひときわ異…

ラーメン外交  (第1030回)

ストーリーの設定の話です。すでに三十年前、私が新宿で働いていたころ、歌舞伎町には中国マフィアとやらが進出していて治安当局が問題にしているという報道があったのを覚えている。だから、この作品にも中国マフィアが出てきて何ら不思議ではない。でも、…

So long great one.  (第1028回)

遠い昔の微かな記憶だが、テレビでジョー・フレ―ジャーの記者会見を観た覚えがある。当方は、まだ小学生だったか。アリに勝ったフレージャーは、背広姿だったから試合直後ではない。うろ覚えだが、こんなことを言っていた。私が勝手に、べらんめえ調で意訳し…

いま歌舞伎町の王者に燦然と  (第1027回)

今年の春、新宿で起きた気の毒な出来事についてのニュースが二つあった。一つはゴールデン街の火災で、お店が何軒か焼けた。たまたま首都圏のTVニュースで火事の報道を観たのだが、焼失した店の店長さんが「立ち直れるかどうか」と悄然と話してみえた。その…

パンドラの箱  (第1026回)

二十代の前半だったか、仲間内で「さかさパンドラ」という造語が使われたことがある。希望だけが出て行ってしまったという我が身の悲惨な境遇を嘆きつつ、笑いを取るという難易度の高い技であった。それが通用するほどに、パンドラの箱は知られていた。子供…

何が最後の希望よ  (第1025回)

映画の第2章には、「最後の希望」というタイトルが付けられている。どうやらこの映画では、最後の希望をカンナ一人に絞ったようだが、漫画ではユキジとセットで二人である。オッチョがそう云っているのだから間違いない。 時は世紀末の大みそかで、場所は友…

待つこと、そして希望を持つこと  (第1024回)

映画の感想文は、時系列にこだわらずに書きたいと述べた覚えがあるが、結局、時系列になっている。当たり前だが、筋を追っていく方が楽だ。最初の映画「第1章 終わりの始まり」の終わりまで来ました。主人公が驚いたり怒ったりしている間に爆発してしまう。 …

I, Robot   (第1023回)

第8集において大みそかのケンヂは「こんなもの俺は、ロボットとは呼ばない」と、巨大物体の正体を見て叫んでいる。3年前には「こんなものは俺は、ロックとは呼ばない」とも言っていた。今般は趣味嗜好の問題どころではないのにレトリックが同じである。奴は…

最初の発見者  (第1022回)

繰り返しになりますが、三部作の映画のうち、第一作は漫画と比べても、それほど大きな内容の変更はない。敢えて言えばクラス会の設定が学年の同窓会になっているのだが、スト―リーに大きく影響するほどのものではないと思う。 あの会のポイントは、まず40歳…

1968: A Space Odyssey  (第1021回)

前回、SF古典のタイトル群から知名度ナンバーワンの「2001年宇宙の旅」を外したのは、今回、駄洒落で使いたかったからです。1968年を選んだ訳は、これから述べます。ちなみに1968年は、このキューブリックの映画が公開された年でもあります。彼は2001年を見…

The Left Hand of Darkness  (第1020回)

SF小説の古典には、シンプルで詩的な印象を与える題名が多い。原題がすでにそうであり、翻訳者も下手にいじらず、そして出版社も含め、そのまま片仮名にするような芸のない人たちではなかった。「幼年期の終わり」、「われはロボット」、「火星年代記」、「…

遊び  (第1019回)

長いこと映画の感想文から離れてしまった。今回は、まじめに映画を語ろうと思う。この作品は、特に2000年において、何月何日の出来事であったのかを字幕で教えてくれる。のろしが上がったのが12月28日で、そのあとは大みそかだ。それまでどおり、ずっと時系…

コウモリだけが知っている  (第1018回)

脱線します。去年、マンガ好きの息子に「20世紀少年」を知っているかと尋ねたところ、「名前だけは」という生意気な返答があった。これだから若い者は困る。さらに返す刀で、ビリーバットは面白いが知っているかと逆に質問してきた。同じ返事をしました。い…

家にたどりつけるかな  (第1017回)

日本語の「家」も、英語の「ホーム」も多義で、家屋(ハウスと同じ)という意味もあるし、家庭(ファミリーと暮らすところ)という意味もある。これを区別する必要がないからでもあるが、最近そうでもなくて東京都の世帯ごとの平均人数が二人を切った。全国…

どれだけ歩いたら  (第1016回)

どうにも私の文章は長い。長すぎて、なかなか自分でも読み返す気になれず、そのせいで恥ずかしながら誤字脱字が無闇に多い。ということで短くするよう頑張ることにした。話題は性懲りもなく「ボブ・レノン」のどこがボブ・ディランに似ているかである。幸い…