おじさんの雑記帳 

「20世紀少年」の感想文そのほか 寺本匡俊 1960年生 東京在住

2016-01-01から1年間の記事一覧

破壊の神  (第1015回)

感想文に戻ります。破壊の神とは、ロボット会議で万丈目が人迷惑なロボットにつけた別称であるが、神でも近代兵器でもなく、オッチョの目撃談によれば蛸のような頭部は窒素の風船に過ぎなかった。ケンヂも怒っており、こんなものは俺たちの夢見た未来ではな…

二人のロバート 【後半】  (第1014回)

承前。ハモンドさんのコンサート情報は、長い文章なので真ん中を端折り、右のとおり最後の部分だけアップします。 コンサート会場はニューヨークのカーネギー・ホール。主演はカウント・ベイシーと彼のオーケストラ。公演日は1938年12月23日(金)の夕方。ク…

二人のロバート 【前半】  (第1013回)

欧米人の名前は、キリスト教関係の聖人君子に由来するものが多い。それは別にどうということはないのだが、日ごろジョンだのポールだの「さん付け」もせずに呼び散らかして、抵抗は覚えないのだろうか。教会や聖書では、同じ名が信仰目的で使われているのだ…

BLUES BROTHERS  (第1012回)

前にルート66を話題にしたとき、その東側の終着駅シカゴに旅した思い出話を少し書いた。1987年だったと思う。当時、エンパイア・ステート・ビルに次いで世界二位の高さだったジョン・ハンコック・センターのビルにも上った。何とかと煙は高いところが好きな…

ブルース・ハープ  (第1011回)

一般にハープと言えば、ギリシャ神話やビルマの竪琴に出てくる見目麗しき弦楽器のことだ。どんな音かと問われれば、真っ先に思い浮かぶのはビゼー作曲「アルルの女」のメヌエット。近年では「千と千尋の神隠し」で木村弓さんが歌いながら奏でていた「いつも…

LOST KENJI TAPES  (第1010回)

映画では、ようやく暮れも押し迫り、ケンヂが弾き語りで歌う「ボブ・レノン」が流れてくる。もっとも最初のうちは曲だけ先につくっているところなのか、「ラリラリラ」というレレレのおじさんのような仮の歌詞のままだ。締切の21世紀末まであと数時間という…

瞳を閉じて  (第1009回)

前回のタイトルが、ウェイクアップ・コールのごとく偉そうだったので、今回は穏やかに優しく、ちなみに平井さんではなくてユーミンの曲より。彼女のファンには、少し気の毒な言い方をするので予めお伝えいたします。「ボブ・レノン」の話題は尽きたかと思っ…

目をあけろ  (第1008回)

息子の不幸で一度死んだオッチョが、死んだままで選んだ師匠が、これまた乱暴なお方で、たまに教えるが、それ以外の時間帯は弟子をイジメて遊んでいる。口も悪くて、「目をあけろ、アリンコ」などと、勝手に渾名まで付けている。 そういうわけで今回は、スペ…

友を待つ  (第1007回)

大学時代の麻雀仲間で、ときどき音楽の話もしていた男から、「おもろい奴が出て来よった。ええで。」と教えてもらったのがプリンスで、当時から訃報が届くまで、ひたすら気取った芸名だと思っていたら本名だったのですね。二つ年上。早いな。どうしたんだろ…

今日はマー坊  (第1006回)

九州で地震が続いているのだが、日々の暮らしには気晴らしも不可欠なので映画と漫画の感想文に戻ります。今回のタイトルに深い意味はなく、単に前々回で引用した歌詞の一部に、「昨日マー坊」とあったので引き継いだ。本日のお題は名前のない少年。またも、…

地震  (第1005回)

半世紀も生きてきて、結局、地震のことは何も分かっていない。私だけでなく、おそらく誰もみな。津波など滅多に来ないと勝手に決めていたら奥尻島に来た。関西は火山が無いから地震は少ないと思い込んでいたら、阪神淡路が来た。中越で終わったかと思ってい…

集合場所  (第1004回)

映画の感想文と言っておいて、結局、漫画はこうなっているという話ばかりであります。これはある程度、仕方がないと開き直れば、この映画は(三作を一本として)、後半こそ改作があるが、前半の筋は殆ど漫画と同じであり、もちろん情報量は少ない。つい、何…

警察国家  (第1003回)

しばらく前に、妙なことに気が付きました。このサイトは、右下の「ページビュー」という欄に、アクセス数の累計が表示される。あるとき、下書きをアップして、十秒ぐらいしてから何かの拍子で更新してみたら、この数字がいきなり10余り増えていた。わずか十…

愛と悲しみ  (第1002回)

柄にもないタイトルを掲げておりますが、久しぶりに真面目な感想文を書こうと思って衿をただしているのだ。この長編漫画をすべて映像化していたら、予算にきりがなくなり、映画が長くなりすぎると売上に響く。だから、これまで幾つか大事な場面が削られてい…

花見  (第1001回)

千一夜物語。今日は一休み。買い物がてらの花見の日々。 西日暮里公園 南日暮里公園 善性寺 (この稿おわり) .

Boys Don't Cry  (第1000回)

今回タイトルの映画の感想文は、映画「20世紀少年」にマライアさんとブリトニーさんが出てくるときまで待とうと考えていたのだが、せっかく編年体にはこだわらないことにしたのだから、映画の印象が新鮮であるうちに書いておくことにする。千回記念。「ボー…

銀河鉄道  (第999回)

999回目とくれば、スリーナインだ。あいにくコミックスは実家に置きっぱなしとあって、これを機に何年かぶりで宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」を読んだ。毎回、読後感が異なるのだが、今回は正直いって、読むんじゃなかったと思った。そういう訳で、本稿の感想文…

ご近所探訪  (第998回)

いったん映画から漫画に戻る。ご近所というのは、ケンヂたちの商店街とその周辺のことです。かつて一とおり漫画の感想文を書き終えた時点で、分からないことは後回しにしたまま、その後も放置しているので、これでも気になっているのだ。このため、ときどき…

暁の寺  (第997回)

自他ともにショーグンと呼ぶバンコクの男の登場場面は、漫画の場合いきなり乱暴狼藉が始まるのだが、映画は少し洒落ている。大きな川をモーターボートが進む。前方に仏教建築が見える。バンコクで大河といえばチャオプラヤ。 私が子供のころは、メナム川と世…

久之浜  (第996回)

早朝に食事を済ませて、小名浜の宿を出る。学生時代、寝台特急に乗って旅したレールの上を、地元の皆さんとともに各駅停車でカタコト揺られ、いわきを経て久之浜に向かう。久ノ浜駅には電子改札がなくて、SUICAに入場記録だけ残し外に出た。小さい写真を貼り…

小名浜  (第995回)

前回の続きで、今日と次回は福島訪問記です。年に一度は被災地に行く計画を立てており、つい先日、5回目の九段に出かけたばかりだった。6回目は経緯があって、6年目に入ったばかりの3月12日(土)と13日(日)の週末を利用し、一泊二日で福島県いわき市まで…

5年前  (第994回)

このブログは、5年前の2011年6月に書き始めた。この時期からとなった理由は二つある。いずれも、きっかけはこの年の3月の出来事。一つは、新潟の温泉を再訪し、まだ雪が残っていたので昼間は近くを歩く程度という休養の日々を過ごしていた折、宿の本棚に「20…

昔の名前で出ています  (第993回)

この原稿を書いているのは3月3日の夜。本日は、先週末が仕事で休めず久々の代休にした。そして、前から楽しみにしていた世田谷文学館で開催されている浦沢直樹さんの個展を観て来た。天気も好く気分も良かったから、近くの芦花公園の周辺も歩いてきた。蘆花…

Get back to where you once belonged.   (第992回)

主人公ケンヂが、近所迷惑にも真夜中のギターを奏でるシーンは、漫画にも映画にも出てくるが、両者やや設定が異なる。とはいえ、いずれも大筋では景気づけというか、進軍ラッパの征露丸というか法螺貝というか、勇を鼓すための音楽である。 映画では、焼け跡…

冒険者たち  (第991回)

前回は、もう一つボクシングの話題を出そうと思っていたのですが、長くなったので今回に持ち越しです。映画「ミリオンダラー・ベイビー」において、ミリオンダラーは、たくさん金を稼ごうという程度の意味合いで出てくるのだが、原作の小説はもう少し詳しい…

忍者ハットリ君  (第990回)

映画のコンサート会場の外壁に、「BLITZ」という表示がある。このライブ・ハウスがあった横浜みなとみらいの映画館で、何回かロード・ショウを観たものだが、諸施設も今はもうほどんど営業していないらしい。ライブ会場も映画館も、信じがたいことだが私より…

壁  (第989回)

今回はひたすら雑談です。おそらく初めて日本語に翻訳されたドナルド・トランプの半生記を1980年代に読んだ。当時まだ四十代の若さで不動産王になったという、アメリカン金持ちドリーム達成記念の本で、表紙が金色だったのを覚えている。ニューヨークに行っ…

バック・ビート  (第988回)

ロックに定義はない。漫画のケンヂはそう言った。でも、そういう名の音楽のジャンルは確かに、少なくとも昔はあった。定義がないのにジャンルがあるということは、それなりの法則性や傾向というものがあるのだろう。それに沿って、最後は主観で決めてよいら…

燃え上がるキングマートの午後  (第987回)

事実は漫画より奇なり。去年の出来事なのでご記憶の方も多いと思いますが、コンビニ店が放火された。ガソリンを撒いて火をつけたらしい。お客さんはおらず、店員二人にも幸いケガはなく、ただし犯人は逃走。 でも捕まった。当然、防犯カメラに映っており、し…

Dog Day Afternoon  (第986回)

よげんの書には書いていないはずなのだが、映画のケンヂは、飛行場の爆破は大阪の三日後であると、常にない記憶力を見せて喫茶店を飛び出している。二三年前に漫画の感想文では、成田空港に付いたケンヂがタクシーの運転手さんに早く逃げろと叫んでいるが、…