おじさんの雑記帳 

「20世紀少年」の感想文そのほか 寺本匡俊 1960年生 東京在住

甲州街道のダイヤモンド (20世紀少年 号外)

 久しぶりに脱線したくなりました。政治の話が含まれます。私は中村のお兄ちゃんのようにノンポリなので、相手構わず言いたい放題ですが、特定の政党を支持なさっているかたは御気分を悪くするおそれがありますのでご遠慮ください。まずはTPP。やっぱりアメリカは関税の全面的な撤廃を要求してきたらしい。

 先方にしてみれば当たり前です。そもそも自由貿易協定なのだから。やいのやいのと個別品目の議論をしたければWTOがあるのだから、それが嫌で米国が始めた議論に乗っかって、聖域なんて言っているとはお人好し。私は当面、TPPが自分や家族親戚の仕事や家庭に直接の大影響がなさそうだったので前回の総選挙では判断材料にしなかったが次は考える。


 小学校でのことだったと思うが歴史の授業で、幕末の不平等条約のため井伊大老の首が飛び、維新後に修正するのが大変だったと習った覚えがある。不平等とは具体的にいうと、治外法権関税自主権がないことであると聞いた。

 今の日本は沖縄をはじめとする米軍基地において、実質的な治外法権があるらしい。それに加えて今度は関税自主権を取り上げられたら江戸の昔に逆戻り。政官財のみなさんは、もう一度、義務教育をやりなおしてはいかが。飛んだ首を蹴飛ばされて、平成何年のフットボールにならないように。

 
 次。天皇陛下にお手紙を渡した廉で、ある議員さんが与党や右寄りのマスコミに「政治利用」と叩かれ、ご本人はどうやら「そっちこそ政治利用」と反論しているらしい。お互い様でしょう。そもそも長年にわたり、政治家のみならず宮内庁も外務省も散々、皇族を政治利用してきているのに。

 皇室外交然り、被災地の慰問然り、オリンピック招致然り、政府がやるより効果があるのだから、お国のためにこうなっても仕方がない。批判者が怒っている理由は、政治利用に対する批判という天に向かって唾するような論点ではなくて、彼らの好きな言葉を借りれば「政局利用」されたからに過ぎない。うそばっかり。


 他方で、今上に直訴するとは、もしも私が同じことをしようとしたら、(1)陛下よりも自分のほうが福島の惨状に詳しい、かつ、(2)陛下よりも自分のほうが、そのことに深く胸を痛めている、という二点について確信が持てない限り、恥ずかしくて到底できないご相談である。

 かくして山本の行動は全く評価しないが、その問題意識については別の話である。せっかく日本国籍に変えたドナルド・キーンさんをガッカリさせた日本政府は、TPPだ政治利用だと騒いでいる閑があったら、他に優先してすべきことがあるだろう。流浪の民は二十万人を超えると聞く。オリンピックまでに何とかするように。


 最後は食べ物の話題で穏やかに終わります。過日、所用で渋谷区の笹塚に行った際に、時間が空いたし小雨も降っていたので夕食にラーメンを食べた。チェーン店ではなくて独立系のお店らしい。「ネギ塩ラーメン」の食券を買おうとしたとき、小銭入れから百円玉が落ちてしまい、転がって大きな食券販売機の下に消えてしまった。

 若い店長さんと店員さんと私の三人で、貴重な夕飯代の一部を回収しようとしたのだが無理であった。あまり時間の余裕もないので「諦めます」と伝える。これに応じて「見つかったら私がいただきます」という店長さんの申し出にお任せした。


 「近頃の若いやつらは」というのが、初老になってすっかり口癖になってしまったが、近頃の若いやつらのほうが立派かもしれない。お店からは「チャーシューを1枚おまけします」という優待があり、さらに「卵は食べられますか」と訊かれて「はい」と答えたら、ゆで卵のおまけまでついてきた。

 かくてネギ大盛り、チャーシューおまけつきというケンヂ・カンナ風ラーメンをいただく。ただし断る理由もなかったので、メンマも入っている。ニンニクたっぷりだったかどうかは不明です。

 一仕事おえた店長さんは背中を丸めてラーメンを食べている他の若い客にも、しきりに声を掛けている。お礼を述べて店を出る。雨上がりの夜空に流れるジンライムのようなお月さま。雲の切れ間にちりばめたダイアモンド。甲州街道はもう秋なのさ。




(この稿おわり)








友民党のモニュメントは国道20号線甲州街道)を新宿に向かった。
壁は環状七号線沿いに張り巡らされている。
近くには気の利いたラーメン屋もある。
(2013年11月16日撮影)










 うそばっかり
 うそばっかり
 うそばっかり
 うそばっかり

        「甲州街道はもう秋なのさ」   RCサクセション































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