おじさんの雑記帳 

「20世紀少年」の感想文そのほか 寺本匡俊 1960年生 東京在住

歌舞伎町の自警団 (20世紀少年 第458回)

 余談を一つ。私にウルトラQを教えてくれた親戚の子の一家は、当時、横浜に住んでいた。木造の大きな家だったのだが、その家の自慢は「関東大震災のとき、このあたりで、この家だけは倒れなかった」というものだった。一体、どういう被害状況だったのだろう。想像もつきません。今日は防災の日


 第15巻の第7話。どうやら、ヨシツネとユキジと市原弁護士は本部に詰めて、一方、オッチョとカンナが現場担当という役割分担になったらしい。本部は、ヨシツネがマフィアを秘密基地に招くとも思えないので、歌舞伎町内のどこかの建物であろう。ヨシツネらは、経路は不明だが、13番の顔写真の鮮明なコピーを入手した。

 隊長は「間違いなく、この男が法王を狙っている」と断言している。根拠を訊きたい。まあ、新宿歌舞伎町教会で警察官を狙撃した前科があるから、最有力候補であることは間違いないか。ユキジに「変装している可能性もある」と鋭く補足されて、ヨシツネは「その通り、変装しているぞ、変装」と顔を赤らめて言い添えているが、こちらの断言は外れた。

 顔写真のコピーは多数用意されていて、普段は自分たちがそういう写真で指名手配されているような連中に配られている。中国とタイのマフィアたちは、「見つけ次第、バラすぞ」と言う。できるだけ生かしてと隊長は頼んでいるのだが、そんなの俺達には無理な相談だと却下されてしまった。さすがの市原弁護士も「とんでもない自警団ね」と呆れ顔だ。


 続いては、「中華街の倉庫に不審者発見」という場面。やはり、雨の夜にユキジが”ともだち”を見たという中華街は、歌舞伎町にあるのだろう。プロレスのマスクのようなものをかぶった不審者は、早速マフィアに捕まってボコボコにされている。オッチョが顔検分をし、「こいつじゃない」と言いおいて去ろうとしたところ、そいつは何かを噛んで死んでしまった。

 自発的なのか命令なのか知らないが、恐ろしい組織である。聴くところによれば宗教の原理主義等のテロリズムにおいて、自爆テロを決行する連中は、そうすれば天国に行けると説得され納得しているらしいが、人殺しが集まる天国がどういう場所なのか考えたことがあるのだろうか。


 カンナも別の場所でマフィア兼自警団と「法王のおネリ」(いい表現だなあ。漢字では御練です)を見下ろしていたのだが、そこでも怪しいヤツが見つかった。屋上に追い詰めた男は、カンナいわく「すごいの持っているのね」という武器持参。これは何だろう。ロケット・ランチャーかな?

 彼女は「あなたが心から慕っている人は、ただの嘘つきなんだから」と語りかけて説得しようとしたが、この男も何かを噛んで死んでしまった。このカンナのセリフは現在形である。彼女は父親がまだ生きていると思っているのだろうか...。


 死んでいった二人は、ただの囮だったのか。昔からこの組織は、仲間を殺しても平気なのだ。そのころ、肝心の13番は公園のベンチで腰かけて、コンビニの梅干しおにぎりを手順通りに開封して食べながら、ニセモノの「この素晴らしき世界」をCDで聴いている。1997年の大学生当時も、彼は癒しの音楽が好きであった。癒される必要がある性格には見えないが。

 この公園の場所は分からない。素顔でこれだけ余裕をかましているということは、歌舞伎町近辺ではないのだろう。釣り道具のような細長いバッグを携行しているが、獲物は魚ではあるまい。彼の初犯はナイフが凶器だったが、いつの間にライフルの射撃を覚えたのだろう。

 彼の囚人番号が13ということは、おそらく2001年には海ほたる刑務所に入っていたはず。その前に外国にでも逃げていたか。昔、パキスタンの山村で、ライフル、撃ってみるかいと誘われたことがある。バズーカ砲もあると言っていた。レンタル制度まであるというのには驚きました。さて、そろそろ法王が歌舞伎町教会にご到着する時間なのに、13番は見つからない。焦りに焦るオッチョとカンナであった。



(この稿おわり)






我が家でも毎年、梅の実を干します。(2012年8月2日撮影)




新潟で食べた冷し山菜そうめん(2012年8月10日撮影)

















































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