おじさんの雑記帳 

「20世紀少年」の感想文そのほか 寺本匡俊 1960年生 東京在住

その日まで    (20世紀少年 第150回)

 大みそかまで、あと10日しかない。ケンヂたちは、ともだち本人の所在を突き止める作戦を断念して、標的を万丈目に切り替えた。この「ナンバー2」を人質にして、ともだちの行方を吐かせるしかないとの結論に至ったものである。

 しかし、21日の国会議事堂の爆破以来、万丈目の警備は尋常ではないと、ユキジの報告は悲観的だし、襲撃グループの一人、ヨシツネは、拳銃を扱いながら「ガキのころの銀玉鉄砲じゃないんだからな」と自信がなさそうだ。ヨシツネも、カエル帝国との戦いに参加したのだろうか。


 ラジオのニュースによると、国会議事堂の爆破事件は、21日深夜、内閣不信任案で紛糾する国会開催中に起きた。そのとき、連立与党の友民党は、意見調整のためホテルで会議中だったため、難を逃れたという。被害はすさまじく、国会議員の死者32名、負傷者91名。残った議員による「国家危機管理委員会」が組織された由。

 ミステリの世界では、殺人が起きて犯人が分からないとき、真っ先に疑うべきは、その殺人により最も大きな利益を受けることになる者と相場が決まっている。連立相手の与党第一党は、当然、不信任案決議の論争に臨席しており大きな被害を受けた。友民党の勢力は伸張したのである。


 それに、与党のくせにこんな大事な国会に出席せず、別の場所に雁首そろえていたというのは、いかにも疑わしい。しかし、この当然、提起されるべき疑惑は、入念に準備されたテロリスト集団「ケンヂ一派」による犯行という宣伝に惑わされ、ついに真相を究明する方向に進むことなく、大みそかを迎えてしまうことになった。

 この冗長ブログは、全24巻のうち第5巻の途中、最初のクライマックスである血の大みそかまでたどり着くまでに、150回もの更新を要した。約5か月である。この先いつまでかかることやら。


(この稿おわり)



秋と言えばススキ。銀色に輝く。 (2011年10月5日撮影)