おじさんの雑記帳 

「20世紀少年」の感想文そのほか 寺本匡俊 1960年生 東京在住

2017-01-01から1年間の記事一覧

ローマ温泉  (第1111回)

また取り留めのない感想文に戻ります。映画「20世紀少年」において、ニタニ神父は、死んで生き返った人間は、史上、一人しかいませんと仰っている。神父さんのご発言であるから、これはイエス様の復活を指しているに違いない。 以下、いつものようにキリスト…

言いたいことは今のうちに  (第1110回)

先日、長いこと観よう観ようと思いながら、20年も経ってしまった映画「エネミー・オブ・アメリカ」をレンタルで観た。アメリカの外敵なんて、世界中にいるから珍しくも何ともないのだが、この映画のエネミーはそうではない。 原題は「Enemy of the State」、…

も一度やるなら7月だ  (第1109回)

戦争の話が続いたので、今回はのんびり映画鑑賞。アメリカ映画「SULLY」(2016年)、邦題は「ハドソン川の奇跡」。奇跡的であっても、奇跡ではない。監督はクリント・イーストウッド。主演はトム・ハンクスで、彼が乗るとアポロも飛行機も壊れる。 サリーち…

ながい旅  (第1108回)

先述のとおり、映画「明日への遺言」は、大岡昇平「ながい旅」(角川文庫)が原作です。エンディングのクレジットに、ちゃんとそう書いてあるし、いい場面を幾つも丁寧に拾っている。法学と仏教の難しいところは、適度に抑えている。 誰の何が「明日への遺言…

プラットホーム  (第1107回)

まだ続き。「静岡連隊物語」の柳田芙美緒さんが、岡田中将の逸話に詳しかったことの傍証みたいなものを挙げます。映画「明日への遺言」の原作「ながい旅」によれば、大岡昇平さんが、アメリカに持っていかれてしまったこの裁判記録が一般に公開されて、よう…

明日への遺言  (第1106回)

これは映画のタイトルです。筋は、原作である大岡昇平「ながい旅」をお読みいただくか、あらすじならネットにも結構、載っている。2008年公開の邦画。主人公は前回までにご紹介した岡田資元司令官。 主役が藤田まことで、妻を富司純子が演ずると聞いては、そ…

巣鴨プリズン  (第1105回)

前回の続きです。「静岡連隊物語」の一節、「帰還前後」の帰還後部分は、その前半が前回の話で、後半が今回の話題。戦争が終わってから二年〜三年後のことだ。急ぎの戦後処理が終わり、軍事裁判が始まった。東海軍もB級戦犯の容疑者を出す。 この箇所の柳田…

静岡連隊物語  (第1104回)

今回のタイトルは、新書の本の題名です。静岡新聞社編「静岡連隊物語 − 柳田芙美緒が書き残した戦争」。前回触れた別のブログのURLです。ご参考まで。 http://ameblo.jp/tinianisland/entry-12277822290.html 柳田さん(故人)は、静岡県焼津市のご出身で、…

正義の味方  (第1103回)

漫画「20世紀少年」では正義、未来、平和、自由、権利、理想といった難しい抽象概念をあらわす言葉を、子供たちが普通に使っている。これらは私たちが日常接していた漫画やアニメ、小説や映画に、ごく普通に出てきた。今もそうなのだろうか。どうも違う感じ…

不正な人間がいるように 不正な法律もある  (第1102回)

漫画「20世紀少年」コミックス第16集に、密かに慕う先輩を探し求め、サナエが「デモ」に出かけて失望する場面がある。放水車が出動しており、重装備の警官と思われる人たちは、この乱痴気騒ぎを「集会」と呼んでいる。 お若い方々は何の騒ぎかとお思いだろう…

AI  (第1101回)

人事や雇用に関連する仕事をしているので、最近「AI」や「人工知能」という言葉に接することが多くなった。何でも、人から仕事を奪う心配があるらしいぞ。ラダイト運動が、また起きるだろうなあ。うちの近所のラブホテル「愛」のローマ字表記と同じ。 この「…

凶暴法案  (第1100回)

この法案が成立する前に、言いたいことをいっておかないと我が身が危ない。共謀罪を防がないと、どうしてもオリンピックができないという、たってのお願いだったのだから、せめてオリンピックが終わったら元に戻してね。 そもそも(これは今年の流行語大賞だ…

プラモデルとミニカーの町  (第1099回)

コミックスの第12集に、少年時代のケンヂとマルオが商店街で会うシーンが出てくる。二人とも、その冬、ご親族を亡くし、「モチュー」であったためお年賀にもいけず、お年玉がもらえない。 その結果、マルオはワルサー、ケンヂはタイガー戦車のプラモデルが買…

シェルター  (第1098回)

この国でシェルターが売り切れになるとは、長生きするのも考えものだ。相応の工事が必要なもので一千万円台、エアコンの立派なものレベルで数十万円らしい。ご注文は切迫した様子らしく、されど製造販売が追いつかないそうだ。 それにしても、いまの日本にシ…

跳躍力が衰えるとき  (第1097回)

元始、私は水泳部であった。うっかり忘れていたが、先日の同級会でそれを思い出した。当時の女子水泳選手は、前にも書いたような気もするが、十代が活躍期のピークで、二十代になるとベテランのイメージだった。 いちいち数えていないが、20世紀のオリンピッ…

しんゴジラ 【後半】 スクラップ・アンド・ビルド  (第1096回)

前回からの続きです。最初に、巨大不明生物らしきものが見えたのは、東京湾海上の山水画のようなお背中であったが、はっきりとゲテモノであることが分かったのは、その尻尾であった。 新ゴジラの新兵器は、何と言っても、この長大な尻尾であろう。あの動きで…

しんゴジラ 【前半】 20世紀少年と比べてみる  (第1095回)

最初に、前回の続きですが、上野公園で撮った写真を掲げる。このポスターの絵が、バベルの塔の想像図の一つらしい。さすが東京都美術館、いい勘してるぜ。 映画「シン・ゴジラ」は、きっと音響が凄いだろうなと思い、映画館に観に行きたかったのだが、そのた…

ポセイドンは海を行け  (第1094回)

今の世の中、ろくなニュースがないので、漫画の感想文に逃避する。先日、映画「ポセイドン・アドベンチャー」をDVDで観た。前回みたときは小学生、親と一緒に映画館でだったから、四十数年ぶり2回目。 こっちが年取った分、役者が若い。ジーン・ハックマンも…

さよならチャック・ベリー (第1093回)

去秋ちょうど映画「バック・トゥー・ザ・フューチャー」の感想文など書いていたころに、御年90になったチャック・ベリーが新譜を出したというニュースが届き、それを印刷して持っている。ジジイになっても、ロックをやってるすごい奴らというのがケンヂの目…

桐  (第1092回)

二代前までの先祖が木工業だったので、その手の話題は勿論、漫画で筋に関係なくても樹木だの木材だのが出てくると気になる。最近、桐の紋を見る機会が多かったので、今回はそれに引きずられて桐。 最近よく見かける理由は、近ごろ全国にある瑞穂というきれい…

妻と二人で 沖行く船の  (第1091回)

古い映画を観た。同名の主題歌なら子供のころから知っていた「喜びも悲しみも幾歳月」のDVDを借りた。そのリメイク版はロードショーのとき映画館で観ているのだが、肝心の本作はまだだったのだ。昭和三十二年、1957年の作品。初代ゴジラの3年後。 リメイクで…

春だったね  (第1090回)

前回の続きのようなもの。半年ぐらい前だったと思う。仕事の関係で参加したセミナーの会場で、隣席に私より一回りぐらい年下の女性が座った。講師がお隣同士で自己紹介してくれというので、お互い名前や仕事や住所地を伝えた。お相手は福島から、わざわざ東…

卒業式のシーズン  (第1089回)

今年の東京は、3月だというのに厳しい寒さに(私にとっては)見舞われております。風邪を引きました。それでも、拙宅の梅も花をつけたし、もうすぐ春が来るはずです。穏やかな春になりますように。 写真は今年(2017年)の1月にマリアナ諸島テニアンで撮影し…

FENCEの向こうのアメリカ  (第1088回)

古来、バカと煙は高いところが好きだと言われている。例えば、漫画ではVX風の外装をもつタワーを建てて喜んでいる世界大統領とか、旧約聖書ではバベルの塔とか、マンハッタンではトランプ・タワーとか、いずれそのうち天に滅ぼされるのだが邪魔である。 最近…

オリンピックを俺たちのもとにとりもどそう  (第1087回)

本日の私は少し気が荒れております。せっかくの週末に、後味の悪い文章を読みたくないというお方はご遠慮ください。今回のタイトルは、漫画でケンヂがケロヨンに送ったFAXから一部を拝借した。ここ数か月、わが東京都におかれては、オリンピック・パラリンピ…

コイズミ劇場  (第1086回)

真面目なことを書き過ぎて疲れて来たので、おバカなテーマに戻る。漫画でも映画でも、せっかくの初登場場面において、小泉響子はなぜ後ずさりながら教室に尻から入るのか。コソコソする事情は分かる。悪魔系バンドの追っかけで、本日も遅刻。 しかし、前向き…

大統領令 バカの壁  (第1085回)

そんなに国民の安全を守りたいなら、世界中で通せんぼなんぞしとらんで、アメリカ国民の海外渡航を禁じればよい。実際に在外の米国民は危険にさらされているし、そもそもテロリストがここまで増殖した原因が、奈辺にありと思いきや。今回は申し訳ないが、い…

南洋諸島の夜空  (第1084回)

今月中旬(2017年1月半ば)、テニアン島に行ってまいりました。この旅費を捻出するのに、二年もかかった。戦没慰霊と保養および長男の就職祝いを兼ねて、当人も連れて行くという盛沢山の目的を果たすために、日程を伸ばしたので予算がかさんだ。しかし何とか…

太平洋  (第1083回)

しばらくの間、すっかり「20世紀少年」から離れて、昨年12月27日の日米両首脳ステートメントの話題を続けてきた。それも今回で一段落です。本日、アメリカの大統領が交代しました。世界はどうなるのか。 ずっと前に、ロサンゼルスで高齢の日系人男性お二人か…

Lida (第1082回)

こういうことを知らなかったというのもお粗末な話だが、このところ私が真珠湾攻撃と書いている一連の作戦行動において、攻撃した敵地は真珠湾だけではないそうだ。 同じ島内だが、距離にしてホノルルから20キロぐらいあるのだろうか、カネオヘという地名があ…