おじさんの雑記帳 

「20世紀少年」の感想文そのほか 寺本匡俊 1960年生 東京在住

憲法と社会 (2016年~2022年の過去記事の再掲)

心の自由  (第1341回)

私の愛読書の一つに、今は亡き神谷美恵子さん著「こころの旅」がある。神谷さんは精神科医であり、大学教授でもあったお方で、かつて皇后陛下が一時期ご不調の折(報道では確か失語症)、御相談役として任命されたほか、哲学書の翻訳などもなさった碩学であ…

自由なんて、本当の自由でないのなら、何も失うものがないのと同じこと  (第1340回)

懸案の「改正草案」の第18条は、本当に同草案が現行の憲法を「改正」する意図があるのかどうか、疑わしく思えてしまうような内容だと感じる。まずは、久しぶりに改正草案のサイトを再掲しよう。お変わりなく、恙無きや云々。最後に関係者一同(推進本部や起…

公僕  (第1339回)

頼まれもせずブログを書きながら、「疲れて来た」とぼやいている間抜けな私である。憲法の初歩的な勉強をしようという初心、および、そのために選んだ、現在の憲法と、たまたま見つけた自民党の最新改正案を比較検討するという手法は、適切なものであったと…

国会議員は公務員か  (第1338回)

という疑問をふと持ったので、取りあえずインターネットで検索してみたら、現時点でこういう記事が出てくる。「憲法上は、国会議員も「公務員」であるといっても間違いないでしょう。しかし、常にそのように解釈されるというわけではありません。」と書いて…

法の下なら平等  (第1337回)

お盆の季節に余力があったこともあり、本サイトはぶっ続けに更新し続けて来たのだが、だんだん忙しくなってきたので少しペースダウンしてきました。やる気が失せたわけではない。ここで、ちょっとここまでの検討を振り返ってみる。 いま憲法を改正しなくては…

人として?  (第1336回)

中学三年生のとき、休み時間に同級生から、海援隊の「人として」という歌は良いぞと言われた。変なタイトルだなと思ったのを、はっきり覚えている。それに当時はレンタルCDがなく、一曲ずつダウンロードするなどという芸当もできず、結局、知らぬまま今日に…

おおやけ  (第1335回)

第12条で筆の運びが停滞しています。改正草案が不気味だし、良く分からないところも少なくない。第9条でも同じようなことを書いていたが、少なくとも軍隊を作るという本音ははっきりしている。だが第12条やそれに続く幾つかの条文案は、なぜこういう変更をし…

公共ノ福祉  (第1334回)

今日は、少し堅苦しい話になりそうですが、でも折角の機会。もう二度と「公共の福祉」なるものを、こうまで話題にすることはないと思うので、調べ事の結果や感想を書き残します。前回において、憲法第12条と、民法第1条がけっこう似ているという話題に触れま…

民法について  (第1333回)

第12条は話題が多いので、複数回に分けて考えます。先ずは例によって、現行憲法と改正草案を並べてみる。 【現行憲法】第十二条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用…

基本的人権の享有  (第1332回)

憲法第三章の「国民の権利及び義務」は、その前の天皇や戦争の放棄の章と比べ、われわれの暮らしに直接かかわる度合いが大きいと書いた。勿論そうなのだが、ではスラスラ読めるかというと、知っているつもりでよく知らない言葉が出てくるし、改正草案が書き…

第三章は一難去ってまた一難  (第1331回)

先ずは今の知識だけで憲法を読んでみようと始めたものの、ずいぶん時間と労力をかけたのに、まだ二章九条。早くも弱音が出ております。想像以上に長引いているのは、外的な要因もある。第1章を終えた途端に、天皇陛下の譲位のお話しが出た。 そして第2章はち…

アイゼンハワーの大統領退任演説  (第1330回)

しばらく前に話題にしたケネディ大統領就任演説の三日前、前任者のアイセンハワー大統領が退任演説を行っている。彼はノルマンディ大作戦の英雄で、つまり日本を攻めたメンバーには入っていなかったからか、うちの田舎程度だとニミッツやマッカーサーは駄目…

忙しくならないか、国防軍  (第1329回)

改正草案の第9条の二(国防軍)は、5項まである。草案の全部をチェックはしていないが、項の数が一番、多いかもしれない。日本国憲法は百以上も条があって、条項が多すぎるという意見を耳にしたことがあるが、改正草案は更に新設の条項を積み重ねている。で…

その名は国防軍  (第1328回)

小欄も時には無駄話でも挟まないと、息が詰まって続けられない。現時点では、憲法を精いっぱい解釈しても、自衛権は「必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと」になっている。これは、先日、防衛省・自衛隊のサイトから引用したが、申すまでもなく「必要…

第2項を放棄しますか  (第1327回)

今次改憲の議論において、おそらく緊急事態条項と並んで最大の論点となるのが、第9条第2項だろう。最新の改正草案における同項は、修正とか調整とかいうレベルではない。全文「総とっかえ」なのだ。 現行憲法の平和主義をそのまま死守する立場の方々からすれ…

第9条第1項の改正案は本当にこの理解で良いか(第1326回)

ようやく9条関係の下準備が一段落したので、自民党の憲法改正草案の第9条第1項と、現行憲法の条文を比べてみます。ブログのタイトルどおり、自信が無いので、今回は全体的に自問自答になっている。まずは、そのまま並べてみます。 【現行憲法】第二章 戦争の…

戦後レジームとポツダム宣言 【後半】  (第1325回)

前回の続きです。ポツダム宣言の第10条は、前半に日本国民を奴隷にしたり、国民国家を破滅させたりはしないと書いており、亡国だけは避けられそうであった。国体は護持されたとしても、後半で戦争犯罪人は容赦しないと書いてある。意地悪く勘ぐれば、ポツダ…

戦後レジームとポツダム宣言 【前半】  (第1324回)

現総理(2016年8月現在)の主張する「戦後レジームからの脱却」がどれほど重要なのか、そもそも戦後レジームという聞きなれない言葉の意味するところは何なのか。こういう総論的なことは、もう少し早めに考えを整理しておいたほうが良かったのだろうが、今さ…

自衛権とは何でしょう  (第1323回)

自分の身を自分で守る権利があるのは、個人でも組織でも変わらない。されど、実際に揉め事があったときは、それが自衛に当たるのかどうかについて、時間の余裕と必要性があれば事前に判断しなければならないし、事後には裁判等で問題になる。個人で言えば刑…

安全保障のために  (第1322回)

改正草案の第9条に進む。ここで政治的な議論はしないと申し上げて始めたものの、自分がどう思おうが、第9条に関連する何らかの意見を述べれば、この国では自動的に必然的に、政治的言動とみなされるだろう。 私はいわゆる無党派層に分類される人間であるはず…

世襲で男系で生涯現役  (第1321回)

世襲で男系で生涯現役というのが、憲法と皇室典範に定められた現時点での天皇および皇室の「制度」である。皇族といえど家族であることに変わりは無く、制度という言葉も使いにくいのだが、みんながそう言うので、法制度という側面だけをみるときには、これ…

象徴としての務め  (第1320回)

本日(2016年8月8日)、天皇陛下のお言葉がビデオで放映されました。もっと、しっかり考えてから記事を書くべきかとも思いましたが、直後の感想というものも記録に残しておけば、いつか何かの役に立つかもしれないと、儚い望みなど託して書きます。資料は宮…

新憲法のプリンシプル  (第1319回)

拙宅にある「白洲次郎 占領を背負った男」(北康利著、講談社)という書籍を読むと、白洲さんは「プリンシプル」という英単語が好きだったようだ。私は中等教育でこの単語を習ったが、なかなかカタカナ英語として定着しないようである。 原理原則、主義信条…

現行の第9条第2項  (第1318回)

第9条は、これをこのまま永久保存したいという立場の方々からすれば、至ってシンプルに読めるだろう。細かいこと抜きで重要な点を拾えば、章名が[「戦争の放棄」、第一項には戦争も武力行使も永遠に放棄すると念押しがあり、第二項に戦力は持たず、国の交戦…

現行の第9条第1項  (第1317回)

昨日(2016年8月3日)、我が国で軍事志向の強い政権が新内閣を発足させた途端、軍事行動が好きな北朝鮮が、ミサイルを飛ばしてきた。よもや偶然ではあるまい。あの方向音痴のミサイル、どこを狙ったか分かりはしない。これでもまだ自衛権の発動に至らないと…

インディアナポリス  (第1316回)

映画「ジョーズ」の一場面に、サメ漁が専門の漁師ロバート・ショウの船長と、鮫の生態研究者であるリチャード・ドレイファスの海洋学者が、夜を迎えた船の中で、お互いが鮫に噛まれた傷跡を見せあうシーンがある。それまで反目し合っていた二人が、これを機…

ケネディの大統領就任演説  (第1315回)

本日は趣向を変えて、昔の人が言ったことを聴いてみる。幸い、ネットにはその画像も英文も載っている。1961年1月。私はその数か月前に生まれた。田舎者ぞろいの我が実家が長男の誕生を他愛なくよろこんでいたころ、前年の大統領選に勝利したジョン・F・ケネ…

英語の第9条  (第1314回)

これまで私が「英語版の憲法」などと称して利用してきた資料は、首相官邸のインターネット・サイトに掲載されている。ご覧になりたい方は、こちらをどうぞ。日本国政府の紋章である五七桐の紋があしらってあるので本物でございましょう。公布の日付は11月3日…

その責任を負ふ  (第1313回)

前回で「小寺文書」のブログの引越しが終わりました。本日以降は、「憲法と社会」の引っ越しです。今回は第1047回の続きで、第一章の「天皇」の最終回。次に「戦争の放棄」へと移ります。天皇の章は、最後に現行憲法の第3条と第7条を対象にします。先に問題…

お詫びとお知らせ  (第1048回)

先日お伝えしたとおり、憲法関係の記事は別のサイトに移しましたが、わたしのブログを一本化する目的で、再びこの「おじさんの雑記帳」に再掲します。今回は第1313回に続きます。 (おわり) .