おじさんの雑記帳 

「20世紀少年」の感想文そのほか 寺本匡俊 1960年生 東京在住

2015-01-01から1年間の記事一覧

珊瑚礁の大砲  (938回)

今回は漫画と全く関係ない。ネットにも報道にも戦争という言葉があふれているので昔話を思い出し、書き留めておきたくなった。三十代から四十代にかけて海外に駐在、出張、旅行する機会が多く、その殆どがアジアとオセアニアであった。先々で遠い昔のことと…

Alone Again  (第937回)

手書きで1991年と編集した年月日まで書いてあるカセット・テープが手元に二つ残っている。サンフランシスコで暮らしていた当時に持っていたカセットやCDから、気に入りの曲を集めたもので片方がハード・ロック、もう一方がスロー・バラードで、後者の一曲目…

フォークの時代 (936回)

先日、新橋のガード下を歩いていたら、道沿いの居酒屋の入り口から、井上陽水の「傘がない」が大音響で流れてきた。いきなり冒頭のあの歌詞とは恐れ入るが、私や少し上の世代を呼び込もうという戦術であろう。曲を忘れたが、隣の店も負けじと同時代のフォー…

ロックの時代  (第935回)

60年代はロックの時代であったとケンヂおじちゃんは姪のカンナに言い残した。その根拠はあまり詳しく説明されていないが、この時代の象徴的な出来事としてウッドストック・フェスティバルが語り継がれ、再現されることになる。他方で私にとって60年代の世界…

富士山はいつの間にやら活火山  (第934回)

少し日が経ってしまったが、かつて5月27日は海軍記念日だった。日付は日本海海戦に由来するのだが、興味が湧くのは敵将ネボガドフが降伏し相手の艦隊が実質的に壊滅したのは、翌28日のことである。誰も異存がないほどに初日で決着がついたらしい。 この27日…

貧乏  (第943回)

私がここで貧乏だった子供時代のことを平気で書けるのは、その程度の貧乏で済んだからだ。もっと貧しかったら、または、今も同じくらい貧しかったら、オッチョの表現を借りると、「懐かしくも何ともないね」という心境になって話せなくなってしまうだろう。 …

地球防衛軍  (第942回)

今回は真面目に漫画の感想文に戻る。先日、心理学の本を読んでいたら、わずかながら「おたく」の話題が出て来た。語源は「御宅」で、こちらは古い映画を観ていると普通に出てくる。かつての「おたく」たちは、そう呼び合っていたらしいのでこの名が付いたと…

びんぜつふじん  (第941回)

日活が来年を目途に、ロマン・ポルノ・シリーズの制作を再開するとの報に接し、近年まれにみる快事、太平の眠りを破る朗報、まこと欣快の至りである。私も久しぶりに映画館に行きたくなってきた。あれは自宅のディスプレイにて、こそこそ観るべきものに非ず…

ヴァーチャル・リアリティー  (第940回)

最初におまけ。先日、浦沢さんと庵野さんの生年が私と同じという話題を出したときに一つ書き忘れた。こちらは作者における共通点ではなく、エヴァと20世紀少年という作品における共通点。2015年である。 これに気づいたところで、なぜ2015年なのかという頭痛…

宇宙飛行  (第939回)

本日はかつて好きだった天文に関する雑談です。先日のニュースで、わが国は3年以内に月面着陸の宇宙船を飛ばす計画であり、また、日帰りの宇宙旅行も早ければ本年内に開始するのだという。後者は弾道飛行というもので、放物線を描いて落ちてくる。これは飛行…

既視感  (938回)

既視感のことを、昔は英語でデジャヴと呼んだ。近ごろは本家フランス語読みで「デジャ・ヴュ」と書いてあることが多くなった。いま見ている光景を、かつてそっくり同じように見たという不思議な感覚である。何やら記憶や夢と関係がありそうだが、そのメカニ…

あのバンド  (第937回)

話題はケンヂたちのバンドである。名前は今もない。生放送の事故で追い出されたときは、ボーカル兼ギタリストの別名から採ったのか「バカバンド」と呼ばれていたが、まさかこれが本当のバンド名ではあるまい。宮本武蔵の漫画名と少し似ている。映画ではポス…

商店街の寄り合い  (936回)

米国の「ローリング・ストーン」誌はランキングを作るのが好きらしく、いろんなジャンルを拵えては毎年のように、ベストは何だった、この作品は何位だったと順番を付けて発表しては商品にしている。ネット時代が来て、昔のヒット作も振り返ることが出来るよ…

星の王子さまが幸せならば  (935回)

最後にもう一度、終幕の屋上のことを考えてみたい。その前に、第22集から「21世紀少年」にかけて描かれているバッヂ騒動の顛末をもういっぺん振り返る。最初にお面の少年が当たり券を持ってバッヂを持ち出し、これを少し陰のある表情で見ていたケンヂが、は…

日本の一番長い夏の日  (第934回)

2015年はカツマタ君の世界大統領就任の年であることから、カツマタ君特集を連載中。今日は特にマニアック。彼の名は主に幽霊としてだが、何回か物語の冒頭から中盤にかけて出てくる。ドンキーの葬式が初出。次に第11集で山根がカツマタ君の幽霊と夜の理科室…

東京行きの物語  (第933回)

前回の続き。後半の21世紀ケンヂは口数の少ない偏屈なおっさんとなって再登場する。その彼が北海道から東京への旅の途中で、珍しく過去を語るシーンが三回ほどある。相手の一人は、諸星さんの仇で、関東軍の総統に落ちぶれている長髪男であった。第19集。訊…

ずっと  (第932回)

これから4回に分けて、以前、先送りにした諸問題をもう一回、考える。連休中に下書きしました。いつもどおりの言い訳で始まるが、現時点で回答を出せる自信はないし、出しても正解かどうかは分からない。でも再考すると宣言した以上は守る。とはいえ一度に何…

ノストラダムス  (第931回)

連続して真面目なことを書いたので疲れた。せっかくの連休。休まなくては。今日から元のグータラ・ブログに戻る。お題は「よげん」にする。先日、新聞記事を読んでいたら、以前の小欄でも触れたように、オウムの被害者と信者を取材して本を出版した村上春樹…

神様の翼  (第930回)

その昔、メール友達というのが流行った。私が使っていたサイトは怪しげなものではなく(すでに怪しげなものもあった)、大昔でいうと子供向けの雑誌などの最後のほうに、「文通しましょう」という欄があったのと似たようなものである。2000年代の初めの一時…

Constitution  (第929回)

R.E.M.が前回の曲をマンドリン演奏で歌っていたころ、私はベイエリアやSF空港を見下ろすサンフランシスコ郊外の丘の上に住んでいた。ある日、大家さんから夕食のご招待があってお邪魔すると、幼稚園児の娘さんに紹介された。共通の話題がない。やむなく、話…

Consider this.  (第928回)

そんなことは去年までは全く無かったのに、今年に入ってから稀にですが、「ブログ、読んでます」と声をかけられる事件が発生して弱っている。もちろん、実名で書いているし、これだけ各時代のキーワードや固有名詞を書き入れているから、文章量が増えればい…

不必要  (第927回)

本日も雑談です。最近あまり「不必要」という言葉を聴かなくなったような気がする。単なる気のせいだろうか。むかしは不要や不用という言葉よりも、不必要のほうが一般的だったような覚えがある。日本語はどんどん短くなっていく。話し言葉・書き言葉から、…

悪の大魔王  (第926回)

春が来た。季節の変わり目に弱いので、先週カゼを引き寝込んでいた間、久しぶりに漫画も含めて読書を楽しみました。そこで早速、感想文ですが、今回も何の結論も出ない単なる思案です。 この漫画には「悪の大魔王」と呼ばれた者が二人、出てくる。いずれも言…

ラーメン大好き小池さん  (第925回)

たまには昔のように、のんびり漫画の感想文を書いてみたくなった。この作品にはご存じのように、藤子不二雄の影響が随所にみられる。何より、ハットリ君。登場人物ではウジコウジオ氏。「せぇるすまん」もそうかもしれないと考えた。ただし、アタッシュケー…

夢  (第924回)

これからは文章を短くしようと思う。あまり老眼によくないし、時間も体力も限りが出て来た。早速、本題に入る。もう数週間前になるが、若い人たちと雑談をしていたとき、ちょうどそのころ賛否両論を呼んでいたらしいお笑い芸人か誰かの発言が話題になった。…

あれから20年  (第923回)

今日は長閑に桜の写真などで始めるのだが、春に浮かれているのではなくて、話題があまり明るくないため中和剤みたいに花を散りばめてみる。今年の東京は気候のせいか、それとも私が鈍かっただけなのか、あっという間に桜が咲いて、すぐに散り始めている感じ…

あれこれ  (20世紀少年 第922回)

どういう訳か、この二月三月は去年からの業務が長引き、さらに新しい仕事が複数始まったため、えらく忙しくなってしまった。去年までこのブログを書いていたころは、ずいぶんとこれが気分転換になっていたのだが、あまりに働きづめというのも心身の健康に良…

今日は少しだけ (20世紀少年 第921回)

本日は3月11日。何のご縁か東北での仕事を頂戴し、山形まで日帰り出張をしてまいりました。山形といえば山形のおばあちゃん。それはともあれ、今朝の東京は雲一つない快晴で春めいておりましたが、さすがは北国、当地ではサラサラの雪が降っていました。さす…

Nobody calls me "Chicken".  (20世紀少年 第920回)

このブログも映画一般の感想文みたいになってきた。ともあれ、昨日は書き切れなかったので「Back to the Future」の続き。今回のタイトルはマーティを怒らすと、相手または本人が怖い目に遭うという際の、前触れ口上である。日本でもずいぶん流行った。チキ…

Back to the Past  (20世紀少年 第919回)

今年の正月、就職活動を始める家族にネクタイを買うため、久しぶりにデパートの紳士服売り場に出かけた。そこで昔懐かしいブランド名を見ました。懐かしいといっても今はもうないという意味ではなくて、若い頃このブランドとジェフリー・ビーンズのネクタイ…