おじさんの雑記帳 

「20世紀少年」の感想文そのほか 寺本匡俊 1960年生 東京在住

東日本大震災

北の鉄人  (第971回)

去年はラグビーを知らない私でも(知っているのはバックパスしか駄目というルールだけ)、ラグビーのことを書いたとて怒られそうもないことが起きた。競技の説明や試合の解説は書きたくても知識がないので、昔話から始めます。 モンちゃんが就職したのは酒造…

2014年 クウェートの返礼 (釜石〜陸前高田〜気仙沼)

湾岸戦争が始まったとき、私はアメリカ合衆国のサンフランシスコにあるオフィスで働いていました。1990年のことである。いつもは朗らかで強気な米国人の若い同僚たちが、「テラモト、俺は兵隊にとられるかもしれない」と真っ青な顔をしていたのを今でも覚え…

三陸海岸を歩く (山田〜大槌〜釜石)

前回引用した近所の作家、吉村昭「三陸海岸大津波」の最後の辺りに、「私は、津波の歴史を知ったことによって、一層三陸海岸に対する愛着を深めている。」という箇所が出てくる。そして「私は、今年も三陸海岸を歩いてみたいと思っている。」という一文で終…

岩手行 (盛岡〜田老〜宮古)

東日本大震災が発生してから、年に一度、被災地に行くと決めて4年目に入った。初回は宮城、2回目は栃木と茨城、3回目は福島、そして今回は5月の半ばに岩手に行ってきた。行先と季節がこうなった理由は、その初日に同窓会の先輩のツアーに便乗させてもらった…

3月11日 火曜日 天気〇     (号外)  

2011年の夏、東日本大震災の発生から数か月経った或る日、仙台で診療所を営んでみえる医師の講演を聴く機会があった。彼はその当時に自らのクリニックで働いていた看護師を津波で失った。 その看護師さんは当日、非番だったそうだ。このため地震が起きたとき…

前回の続き (今日も読まない)

今回のブログ記事は、白河の関で書いている。傍らに夕暮れを迎えた公園があり、あの日の13番のようにベンチに腰掛けて、くつろぎながら最終バスを待っています。 昨日は勿来の旅館で一泊。勿来から白河へ、すなわち浜通りから中通りに抜けるには小生得意の鉄…

本日は一休み (20世紀少年を読まない)

今のところブログはこれだけなので、漫画と関係ないことを書きたいときも、ここを使うほかない。これを書いている今(2013年12月12日)、旅先の旅館では外の道を流していく「石焼き芋、焼き立て」という不滅の言い回しが聞こえてくる。 荷物抱えてあちこち歩…

吉田所長 (号外・後半)

前回の続きです。もう一つの今次の報道ぶりに関する不満は、確か昨日のNHKも言っていたと思うのだが、所長は奮闘したものの「結果的にメルトダウンを防げなかった」という表現である。ネットのニュース等でも幾つか見かけた。 炉心溶融については当初から疑…

吉田所長 (号外・前半)

今回は漫画の内容と無関係です。書きながら考えるたちなので紙面を使うだけ。ブログはこれしかないのです。原発推進派の皆さんにおかれては、読んでも気分が悪くなるだけだろうからご遠慮下さい。 私自身の考えは半年ほど前に原発を話題にしてから何の進展も…

犠牲 (20世紀少年 第650回)

前回の続きです。昨日、引用した「日本から学ぶべき十の事柄」のうち、私は7番目の項目、「THE SACRIFICE」すなわち「犠牲」に対してちょっとした違和感を持っている。念のため、東電原発の被災現場で働き続けている人たちの艱難辛苦を、否定したり疑ったり…

10 things to learn from Japan (20世紀少年 第649回)

今回と次回は物語の感想文から逸れる。今日はあの日だから。ご存じの方も多いと思うが、表題は東日本大震災が発生したあとで被災地に入った人々が目撃した現地の様子を、どこかの誰かが書き纏めてネットに拡げたものだ。原文は英語で後に掲げるが、まずは拙…

白の追跡者 (20世紀少年 第632回)

この下書きを書いている今日は、茨城県の大洗町にいる。昨夕、海岸沿いを散歩していたら、復旧工事の看板が立っていて、警備の人に危ないから立ち入らないで下さいと止められた。別の市か町で似たような場所において、事故があったと言ってみえた。東電の原…

一日三善 (20世紀少年 第631回)

今回の下書きは栃木県の益子を訪ねた帰りの電車内で書いている。間もなく二年目を迎える東日本大震災のあと、私は一つの計画を立てた。年に一回、被災地に行くことにした。初年度は以前ここでも書いた南三陸町に滞在し、津波の被害の凄まじさに圧倒されて帰…

大晦日 (20世紀少年 第580 回)

大晦日である。のんびり雑談で過ごそう。「大晦日」と書いて、ずっと昔は「おおつごもり」とも読んだらしい。樋口一葉の短編小説にも「大つごもり」という題のものがある。当時の彼女は今の台東区から文京区に引っ越した頃で、どちらの家の跡も拙宅から歩い…

原発 【後半】 (20世紀少年 第555回)

つづき。原発の問題を考えるときに、科学的知識(特に物理学)の素養が不可欠だが、文系の私は元々、これに弱い。さらに、東日本大震災以降の学界の様子をながめていると、どうやら放射能分野の物理学も地震学も諸説紛々で、誰が正しいのかさっぱり見当がつ…

原発 【前半】 (20世紀少年 第554回)

去年の夏、震災が発生して数か月後、私は原発をテーマにしたシンポジウムに参加しました。当日の論者は岡本行夫、中沢新一、田原総一朗の各氏。それぞれの主張には詳しく触れないが、この会場でスクリーンに映し出された資料の一つが、なかなか興味深いもの…

エスタブリッシュメント (20世紀少年 第553回)

昨日のブログを読み返してみて、重要な政策を並べた部分において、沖縄の基地問題が抜けているのに気が付いて驚きました。恥ずかしながら、うっかり忘れたのではなく、思い出さなかったのだ。沖縄には十回近く旅行に行っていて、釣りやビーチや料理で散々楽…

選挙 (20世紀少年 第552回)

今回から4日間は「20世紀少年」と関係がありません。いま考えあぐねていることが二つどほあるので、この場を借りて少しでも頭の中を整理したい。人に読まれるかもしれない場を使えば、その緊張感で多少はこの頭も働くかもしれないと儚い望みをいだきつつ。 …

貞観  (20世紀少年 第372回)

第13巻の第5話は「2003年の告白」。開幕のページに富士山が描かれている。その裾野に大福堂製薬の大きな建物がある。どの方角から見たものだろうか。私が生まれた静岡市からは、間に山があるので、こんなに大きく見えない。 東海道線でいうと新富士駅あたり…

津波てんでんこ (20世紀少年 第307回)

大震災と漫画を関連付けてブログを書くなどけしからんと思われる方々は、どうぞお読みにならないでください。そういう考えがあっても否定しません。されど、私は恥ずかしいとも不謹慎だとも思わない。東日本大震災も、「20世紀少年」の読書も、私にとっては…

ラグビーといえば   (20世紀少年 第306回)

第11巻第5話の「全身全霊」は、左ウィングの子門が激走し、逆転トライを決めるシーンで幕を開ける。日本の大学のラガーシャツは、モンちゃんが来ているような横縞模様が多い。スポーツウェアの中で、この種のラガーシャツほどカッコいいものは他にないと思う…

巨大地震から一年 

東日本大震災が発生してから1年が経ちました。昨年は南三陸町に行った。これからも年に一度ぐらいは、被災した地域を訪れようと考えている。 私は「がんばろう東北」というスローガンは、東北にいるときだけ言ってほしいと思っている。被災したのは東北だけ…

誠実と正直     (20世紀少年 第199回)

今回は、私にとっては大切な記事ですが、「20世紀少年」の筋とは全く関係が無い内容です。したがって、私をご存じない方々が小欄をお読みになっても、時間の無駄になるだろうことを予めお断りいたします。 一番好きな日本語のことばを挙げよと言われたら、私…

遠藤さん      (20世紀少年 第180回)

これまでに何度か触れたように、ケンヂは自宅の庭に埋められていた「よげんの書」に書いているとおりに、細菌や爆発物による無差別殺人テロが続発したことに、強い自責の念があった。実際には、オッチョほか秘密基地の仲間も知恵を出し合っているのだが、自…

一目散に、逃げてくれ     (20世紀少年 第160回)

第5巻の106ページ目、ケンヂたち7人がトラックにダイナマイトを積み込んで、拳銃を手にして沈黙しているシーンが出てくる。ケンヂが 「まさか”ともだち”がここまでやるとはな」と呟く先、東京の夜空を巨大な炎が焦がしている。 ケンヂはここで再び、「抜けた…