おじさんの雑記帳 

「20世紀少年」の感想文そのほか 寺本匡俊 1960年生 東京在住

6月9日 11年前の教訓  (第1273回)

老化で体力が衰えつつあるとはいえ、現役の社会人である以上、「お客さんが知っている出来事なのに、起きたことさえ私が知らない」という事態だけは避けたい。唯一の事業方針です。このため、毎朝、インターネットでヤフーとグーグルのニュース、新聞とNHKのニュース、あと幾つか、その時々で気になるサイトは、休日であっても必ず目を通します。

今年の6月9日の日本経済新聞のネット版に載ったのが、「コロナ対応、11年前の教訓放置 組織防衛優先で遅れ」という記事で、これも朝っぱらから精神衛生上、好ましくない内容を含んでいる。11年前というのは、新型インフルエンザが収束をみた2009年のことです。図表だけスクリーンを貼ります。


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内容は後から補足します。少し日時を経て、6月22日に、東京新聞のウェブ版にも似たような記事が出た。これはもうリンクが切れているので、スクリーンだけです。

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要するに、新型インフルエンザが流行したときの反省点を医学界がとりまとめ、政府に報告書という形で提言した。それにも拘らず、ここに抜粋してあげられている項目は、果たして真剣に受け止められ、対処がなされたのだろうか。医学の専門的なことや、予算の限界といったことには口をはさめないが、11年という年月は、忘却するには十分な時間であることは分かる。

PCR検査という言葉を覚えたのは、どんなに記憶をさかのぼっても今年(2020年)の2月か3月です。てっきり、最新技術かと思いきや、少なくとも名称はもう十年以上前から、医学界では常識であったらしい。

今なお「たらい回し」の訴えが、ネットにもTVにも出てくるが、PCR検査に如何ほどの効果があるかは知らないけれども、検査体制が整わなかったのは間違いあるまい。現在は少し落ち着いているらしいが、これで終息しないと医療従事者の苦闘は続くだろう。


もう一つ目立つのは、「臨時休校のありかた」という事項です。この時すでに問題視されていたのだ。それなのに周知のとおり、現政権は(というより総理は、と言った方が正しいという説もあるが)、専門家会議に打診することもなく、いきなり全国的に閉校を決めた。これで多くの子供たちの人生が変わった。良い方に変わったかどうかは問題ではない。民主主義政治は、プロセスが極めて重要である。

この提言の前後に政権交代があったが、中央行政が放置してよい問題ではない。「新型コロナウイルス」は数年ごとに種類が増え続けてきたのだから。この新聞記事にある教訓を取りまとめた報告書は、今でもネットに載っている。平成22年(2010年)6月10日付の「新型インフルエンザ(A/H1N1)対策総括会議報告書 」というものです。厚生労働省のサイトにある。


日経や東京の記事が、これを反映しているものであることは、題目だけ見ても明らかです。喉元過ぎれば何とやらの典型と片づけたいところですが、冒頭にある「第1波が終息した現段階において、我が国の死亡率は他の国と比較して低い水準にとどまっており」というのは、今とそっくり同じ状況であり不気味そのものです。

この報告書を取りまとめたのは日本医師会で、今でも同会のサイトに関連記事があります。かなり手厳しい。報告書の提出が翌年にずれ込むほどの検討がなされている。最近トップが代わりましたので、日本医師会もどう変わるのか、期待します。


11年前の会議にも、今回の専門家会議にもメンバーとして参加した岡部信彦川崎市健康安全研究所長は、今年3月10日の記者会見で、過去の教訓が活かされておらず、「極めて残念だ」という総合評価を伝えている。時期的には全国一斉閉校の直後です。

もう政府・与党には、前例や教訓に鑑みる意思も能力もないのですか。今回のCOVID-19は、新型インフルエンザとはまた違う特徴を備えているうえに、いくつもの大国で感染拡大中である以上、どんな経路と変異を経て、第二波が日本に来るか、知れたものではない。

昨日、再選された都知事殿は「自粛から自衛へ」と仰っていたが、なるほど、平民にはそれしか手が無いよと言いたいのかもしれない。厳しすぎますか? 今日のお題は「聞く耳を持たない人たち」です。これで増税したら、私は怒る。



(つづく)


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毎年ご近所に花咲くタチアオイ  (2020年6月9日

















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