おじさんの雑記帳 

「20世紀少年」の感想文そのほか 寺本匡俊 1960年生 東京在住

海兵隊  (第1923回)

 このブログの更新が滞っております。主な理由は、珍しく仕事が忙しいのと、別のブログでも忙しいのと、しかし最大の理由は、憲法改正の話題に窮しているからです。総裁選が終わり、さあ改憲だと威勢が良いが、どういうふうに変えたいのか、さっぱり分からない。最近まで題材にしてきた3月の党大会ごろの資料から、一歩も前進していません。それとも改正草案のままなのか。

 党の規定まで総裁三選可に変更して権力の座に固執なさった以上、そして、声高に憲法を改正すると繰り返している以上、実質的に、最大の政治目標であることは間違いないと考えますが、その内容が全く以て不明とは奇怪です。反論批判すらできない。


 すでに多くの方々が指摘しているように、また、多くのマスコミが見事に黙っているように、憲法改正の発議は国会のみが、なし得るものであり、一内閣総理大臣が公の場でしてはならない。事務手続き的に、国会議員の誰かが言い出さなければ、発議に至らないのは確かだろうが、行政府の長(もう覚えたかな)が、その立場で言い出すものではない。お馴染みの改正条項です。

第九十六条
この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。

 それも選りによって、自衛隊の観閲式における公式のご挨拶で声明したらしい。観閲式というのは、聞くところ、自衛隊にとって最も重要なセレモニーである由。その場を内閣の所信表明演説に使われて、自衛隊はどう思っているのだろう? 憲法に明記されると強くなるという裏事情でもありますか。

 憲法上、日本は武力を持たない。軍隊が武力であることを否定する人は、よもやおるまい。したがって、自衛隊の位置づけは何度でも繰り返すが、軍隊ではなく行政の一組織であり、極めて特異な存在だが、平たく言えばお役所だ。だからそのトップの総理が大事な式典に呼ばれているだけであって、軍事パレードの閲兵式ではないのだが、大丈夫ですか。


 大丈夫かと申しますのは、各種世論調査において、私の知る限り、憲法改正は賛成より反対のほうが多い。その調子では、ますます一部支持者の熱狂を得られても、非支持者はもちろん、国政選挙で政権与党に投票している人たちからさえ、反感を買ってしまうと思うのですが、そういう戦術で宜しいのだろうか。

 さすがに連立与党の片割れは慎重で、今のところ、国会で議論が始まるまでは、与党間での協議はしないという趣旨のことを仰っているが、是非その方針を貫いていただきたい。私は護憲で凝り固まっているわけではなく、良い変化だと思う方向の改正案が出てくるのなら、喜んで議論に前向きに参加する。だが、プロセスを尊重しない民主主義というものはないと思うから、今の政権は失格だと考えています。


 さて。今年の春、自衛隊内に「水陸機動団」という部隊が新設された。報道では、海兵隊に比されることもある。動画を見たが(確か最近のNHKニュース)、あれは上陸用舟艇であろうか。極めて攻撃的だ。私の伯父が戦死したマリアナ諸島テニアンサイパンは、あれでアメリカの海兵隊が上陸してきたのだ。

 ただし、いきなりビーチに乗り付けると、敵の水際作戦で攻め手の損害が大きくなるから、マリアナ諸島はまず何か月かにわたる空爆で、日本軍の航空隊が壊滅し、その頃合いを見計らって、次は海軍の艦砲射撃で島を廃墟同然にしてから、上陸してきた。それを、やるつもりか。それに、どこで? 水陸両用車は、その名のとおり岩肌がそそりたつ尖閣諸島で使えるのだろうかなあ。


 米軍に言わせれば、マリアナパラオもフィリピンも国防だ自衛だということなのだろうが、民間人や現地人がおおぜい亡くなっているのだから(両陛下はこのため慰安されたのです。分かっているのか蘘國は)、私のような現代日本の一般人からすれば、侵略性が皆無などという主張に付き合っている暇はない。

 兵種としては、海兵隊はその名の印象とは異なり海軍ではなく、陸軍だそうだ。船に乗って海から来るが、陸上の敵を陸上で攻撃するためにある。このため、上記の「水陸起動団」も、陸上自衛隊の所属部隊。私が子供のころは、ソ連が北海道に攻め入って来るはずだったので、専守防衛の主力は、陸自の戦車というイメージであった。時代は変わりました。


 軍事はその性質上、なかなか情報公開されないし、公開されたとて素人には専門用語を出されても、さっぱり分からないものばかりだ。そんなわけで、これまでは「GNPの1%」というような物差しで制御してきた。その範囲において有効性があるが、予算がどう使われているのかという一番重要な事柄が、全く分からない。

 そして、気が付けば海兵隊や沖縄のミサイル基地ができている。これからも何度でも繰り返すが、プロセスを軽視する政治は支持しない。「白書やウェブサイトで、ちゃんと公表している」などという説明だけでは、私は済まない。専門家のいうことが当てにならないのは、原発事故ではっきりしている(全員が嘘つきという意味ではなくて、誰を信じていいのか全く分からんということです)。今日は行き詰まりのまま終わります。





(おわり)




琉球朝顔  (2018年10月13日撮影)



































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