おじさんの雑記帳 

「20世紀少年」の感想文そのほか 寺本匡俊 1960年生 東京在住

証人喚問  (第1253回)

【現行憲法

第六十二条 両議院は、各々国政に関する調査を行ひ、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる。


 改正草案は、変更なしなので省略。先日、久しぶりに、この第62条に基づく証人喚問があり、世間を騒がせた。テレビで聴いていて、とにかく気に障ったのが「刑事訴追を受ける恐れがありますので、証言は控えさせていただきます」の連呼。

 憲法は自白を強要してはいけないとか、強制して吐かせた発言は証言とすることはできないなどという規定があるから、強制できないので拒否できる。それも程を弁えたたほうが身のためで、あれでは誰でも「危ない橋を渡っていなさるのか」と思うだろう。

 ともあれ、おかげで何も知らずに幼い我が子を刑事訴追のおそれのある人に預けるおそれを避けることができるようになってきたので、さすが国会、役に立つ。しかし、呼び出した以上は、このあとどうするのだろう。


 それにしても、すでに多くの人がネットで書き込んでいるように、あくまで「証人」なのであって、「容疑者」ではなく、ましてや「被告」ではない。国会の場ではあくまで、善人か悪人かなど関係なく、本当のことを言ってもらう場にすぎない。むしろ感謝すべきなのだ、一般論としては。

 それなのに、当初、刑事犯の疑いがない人は喚問しないとか、そのうち逆に、総理を侮辱したから喚問するなどと公言するというのは、どういう発想か。どうして、こんなに「偉そう」なのか。政治の話はしないと書いたばかりなのに、勉強の邪魔になるようなニュースばかり、耳に目に入って来る。

 先日の「そもそも」は「基本的に」という意味があるという閣議決定もすごい。もうすぐ国会の章が終わり、内閣に進むのだが、行政府に国語辞典の編纂機能があるとは知らなかった。しかも、間違っている。


 以下は、内閣の条項も勉強しつつ、考えてみたいことで、問題意識まで忘れてしまわないうちに、書き留めておきます。首相は憲法9条の第1項と第2項を「維持したまま」で、それに加え自衛隊の規定を入れたいというようなことを仰ったらしい。

 私としては、この材料だけでは何も言えません。二つ疑問がある。現行の第1項と第2項(特に後者)の削除を求める右翼の論客が多い中、とりあえず全文削除はしないということなのだろうが、そのまま残すとも聞いていない。第2項は「武力の不保持」と「国の交戦権の否認」です。これは、このままですか。

 もう一つ。章の名前。第9条は、ただ一か条をもって、現在、憲法の第2章「戦争の放棄」を構成する。改正草案は、第2章のタイトルを「安全保障」に変えている。この章題は、どうするつもりなのか。少なくとも、この二つが明らかにされない限り、検討のしようもないし、もちろん賛成しない。当然でしょう。


 さらに、現時点で、自衛隊防衛省という行政府の一組織に属し、内閣総理大臣防衛大臣の部下の集まりであり、自衛官は国家公務員である。私の理解に間違いがなければ、自衛隊は行政に属するものであり、その意味において警察・消防・海上保安庁などと同等だ。

 したがって、どうしても自衛隊の名前や機能・限界を、憲法に明記したいのであれば、内閣の章に加筆すればよい。第9条が「戦争の放棄」のままなら、そして、第2項も今のままなら、特にそうだ。追加情報を楽しみに待ちつつ、この点は追い追い考えます。今日は問題提起だけです。



(おわり)




春たけなわでございます。
(2017年5月4日撮影)












































.