衆議院(下院)は解散の制度があるので、任期が短いから民意に近いので、参議院(上院)より優越するというウィキペディア等の説明ぶりは、これまで述べてきた理由により、本質論と結果論をごちゃまぜにしただけのもので信用に値しない。
そんなに最新の民意を確かめ続ける必要が高いのであれば、スイスのように頻繁に、あるいは極論だがドイツ第三帝国がポーランドに侵攻するときなどに、この日本でも都度、民意を問えばいい。万が一、北のミサイルが落ちた直後に、或る種の国民投票をやったらどうなるだろう。
国民も暴走することがある。冷静に抑え役にまわるのも最高機関の役目だろう(今これが危ない)。上院は特権階級だから(昔の参議は上位の貴族だろうに)、普通選挙制では格下なだけだと子供のことから知っている。さて、衆院の優先に関する諸条項です。改正草案は、改訂がないので省略。
【現行憲法】
第五十九条 法律案は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、両議院で可決したとき法律となる。
2 衆議院で可決し、参議院でこれと異なつた議決をした法律案は、衆議院で出席議員の三分の二以上の多数で再び可決したときは、法律となる。
3 前項の規定は、法律の定めるところにより、衆議院が、両議院の協議会を開くことを求めることを妨げない。
4 参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて六十日以内に、議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができる。
第六十条 予算は、さきに衆議院に提出しなければならない。
2 予算について、参議院で衆議院と異なつた議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は参議院が、衆議院の可決した予算を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて三十日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。
第六十一条 条約の締結に必要な国会の承認については、前条第二項の規定を準用する。
第59条は、国会が唯一の立法機関であることを再度述べたうえで、衆参の決議結果が相反するとき、衆院の三分の二以上で再可決ができるという、一方的な延長戦のルール。この第二項と第三項は、勉強不足で実例を思い浮かべることができない。
第60条について、実は二年ほど前まで、予算案以外も参議院が先に審議することは、決して珍しくないということすら知らなかった。「先議」というらしい。業務で待っていた法案が先議されて知った。確かに、衆議院で重要法案が交通渋滞を起こしたとき、参議院がじっと待っているだけでは困る。
予算案は「先議不可」と言っているから、つまり最優先なのだ。予算案および第61条の条約には、三分の二ルールすらない。法案にも、階級があるのだ。私も国家予算が成立しなくて、仕事上、大変困ったことがある。だから急いでもらうに越したことはないが、それにしても不便だった。
報道やネット情報によれば、国の資産・負債はそれなりに会計処理はしているものの、予算・決算は単式簿記のままであるという。拙宅の事情と比ぶれば、預金残高と住宅ローン残額なら動けば見ているが、残りは家計簿のみということだろう。白色申告なのだな。どうやって会計検査しているのだろう。
(おわり)
出先の中華料理屋さんにて
(2017年5月4日撮影)
.