おじさんの雑記帳 

「20世紀少年」の感想文そのほか 寺本匡俊 1960年生 東京在住

4月11日 感染拡大  (第1252回)

この下書きは2020年5月15日(金)に書いています。以下のデータは、みな本日付けのものです。この時点で、全国の日々の新規感染者数は4月と比べて減っています。これから、緊急事態宣言の解除が段階的に始まりますから予断を許しませんが、何とかこれで少なくとも「第一波」は収まったとなってほしいものです。

感染者数といっても、言うまでもなく検査した結果、陽性だった人の数だけであり、検査を受けていない人や、感染の有無不明のまま亡くなった方は含まれていませんが、それは数えようがありませんので、今回は頭数そのものより、検査結果の推移という観点からデータを見ます。これも今後に向けた勉強。


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上図は5月15日時点でのNHK特設サイトから拝借したものです。掲題が「日本国内の感染者数(NHKまとめ)」となっていることからすると、NHKさんが取りまとめないと全国の感染者数は把握できないらしい。後に東京都のみの数値を見ます。

縦の棒グラフが「一日ごとの発表数」で、これまでのところ、ピークは4月11日の720人です。時期的には、4月7日に7都道府県に対して緊急事態宣言が発令された直後で、かつ、宣言が全国に拡大された4月16日よりも前です。全体に4月中旬が山です。


ここで確認しておきたいのは、潜伏期間です。国立保健医療科学院のサイトを拝見すると、「問5 潜伏期間はどのくらいありますか(その期間も感染しますか)?」に対し、回答は「世界保健機関(WHO)のQ&Aによれば、現時点の潜伏期間は1-12.5日(多くは5-6日)とされており、また、他のコロナウイルスの情報などから、感染者は14日間の健康状態の観察が推奨されています」とあります。

感染してから症状が出るまで短くて1日、長くて12.5日、多くの人は5~6日。長くて12日半ですから、世界的に入国管理や隔離などは二週間を使っています。さて、大半の人が5~6日後に発症するとなると、4月中旬に検査を受けた人たちが感染したのは、この潜伏期間と検査の待ち時間を併せた日数分をさかのぼりますので、感染したのはおおよそ3月の終盤から4月の上旬ごろでしょうか。


これは繰り返すと自粛疲れなどと言われた春分の日の三連休よりも、むしろその後の週末や、例年4月初めの年度当初に活発化する社会経済活動(たとえば入社式とか転勤とか)の影響かもしれません(あくまで私個人の想像です)。

高齢者が悪化しやすいというのは初期段階から知られていましたが、感染者数はやはり現役社会人が多いことが、この東京新聞の記事でも分かります。東京都内だけのデータですが、年代別では二十代から五十代が多い。十代以下は学校閉鎖があったからか、家族内の感染も報告があったものの割合としては小さい。


さて、この先は上記の続きでローカルなデータで、私が長らく住んでいる東京という町の統計を、東京都のサイトでみます。その前に、4月中旬に感染が拡大しているという情報とこれを受けた世間の雰囲気のようなものは、住んでいて肌で感じました。

八重桜が散って新緑の候をむかえるころだったので、植物の匂い、緑の香りが、初めてだと思いますが二十三区内でも感じ取れるほど、空気が清浄になった。主に自動車の数が減ったからだと考えます。武漢の空やベネチアの運河も澄んだらしい。こうして我らは大型連休、自宅に閉じこもった。


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これは、東京都のウェブ・サイトにある「新規患者に関する報告件数の推移」の図です。ここ東京では、4月12日に五日間連続で150人を超えたとニュースになりました。12日は日曜日でした。通常、報告数がいったん減る傾向にある週末でも減りませんでしたから、区民も、これから東京に行こうかという人も、警戒したと思います。

サイトには上掲の報告件数の棒グラフ以外にも、その下の方に、なかなか報道されない検査の実施件数などが出ています。一見して驚くのは「検査実施人数(陰性確認を除く)と陽性率の推移」の図で、5月7日から検査実施人数が劇的に増えていることです。


しかしこれは、注意書きにあるように、5月6日までは含めていなかった民間の医療機関を、集計対象に加えたという統計手法の変更によるものです。それなのに色も同じで、グラフを見ただけでは分からないというのは不親切であり、都に代わってお詫びします。

検査に至るルートは、保健所から「東京都健康安全研究センター及びPCRセンター」に受検者が送られる公的な経路と、かかりつけのクリニックや病院を通じて民間の検査会社が検査するという手順の二通りがあります。5月6日までは前者だけでした。感染症法に報告義務がないからだそうです。よって都道府県により、統計の手段と結果は異なります。


さてこの時点では、あまり喜べないデータだったはずです。一般国民にしてみれば(特に緊急事態宣言が出た地域では)、感染者が増える一方で、これではピークアウトというより、高どまりです。おそらく政府や医学界にも不安感があったはずです。上記のNHKのサイトにもあるように、感染経路不明の割合が増加する一途でした。

これでは、クラスター対策だけでは不足だとなりましょう。しかも政治家や高級官僚など偉い人がいる東京は、感染者の総数ばかりか、単位人口当たりの感染者数割合でもトップクラス。このため、追加措置が必要と判断したようです。緊急事態宣言の全国拡大と、「最大42万人死亡説」。次回以降の話題と致します。



(おわり)


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すずめ  (2020年4月11日撮影)









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