おじさんの雑記帳 

「20世紀少年」の感想文そのほか 寺本匡俊 1960年生 東京在住

大統領令 バカの壁  (第1085回)

 そんなに国民の安全を守りたいなら、世界中で通せんぼなんぞしとらんで、アメリカ国民の海外渡航を禁じればよい。実際に在外の米国民は危険にさらされているし、そもそもテロリストがここまで増殖した原因が、奈辺にありと思いきや。今回は申し訳ないが、いい話題が一かけらもない。

 先日、アメリ自治領の北マリアナ連邦に行ったら、両手の指紋、10本分を全部、取られた。10年前は親指だけだったのに、酷いもんだ。さらに申せば、確かにテロの被害は多いが、近年のアメリカは、自国民の自国民による銃乱射の大量殺人事件が連発しているではないか。早くやりなさいよ、刀狩り。


 本気で壁を作るらしい。新手のニュー・ディール政策であろうか。壁を作る政権といえば、”ともだち”とか、大唐国の時代以外は常に閉鎖的な中国の万里の長城とか、戦争ばっかりやっていた昔のヨーロッパの都市城壁とか、およそ録なものがない。

 わが日本は海岸線が長いので壁を造ろうにも造れないため、内規で鎖国した。鎖国といっても、徳川の幕府はちゃっかり自分たちだけ、平戸で独占貿易をやっている。かくのごとく、敵さんだけ遮断し、中で自分たちだけ楽をしようという蚊帳のようなアイデアは、ともだち、とくがわ、とらんぷ、とのさまに共通した、外から丸見えの秘密基地、子供の発想である。


 そういえば、安保条約の対象に尖閣が含まれると約束していただいて、我が国の政府も報道も大はしゃぎだが、本当にあの辺で有事の沙汰が起きたとき、アメリカが加勢にきてくれると信じているのだろうか。安全保障条約は、どう読んでも必ず助太刀に来るなどという、ウルトラマンのような義理堅さを感じる箇所はない。

 当たり前のことで、アメリカは(日本以外のどの国も)、最優先するのは国益に国防だろう。最大級の貿易相手国である中国と日本が、仮に戦争して双方、疲弊したら自分たちがものすごく困る。アメリカは仲裁にしか来るまい。ポーツマス条約をお忘れか。日本が強くなっては困るから、賠償金すら認めてもらえなかった。


 奥様と手をつないでタラップを降りてくる首脳にも目をそむけたくなるが、トランプ家も女系が強いようで、ずいぶんと頼りにしているらしい。古来、亡国の殿様と輝く女性というのは、組み合わせが良くない。アントニウス項羽玄宗ムッソリーニヒトラー大坂夏の陣もそうでした。

 アメリカに話を戻すと、これまで散々、グローバリゼーションとやらの強欲投機と下手な戦争で、世界中の社会経済を混乱に陥れておきながら、急に引きこもりとは奇怪である。


 さらに新聞報道によれば、大人しく冬ごもりをするのではなく、前政権が「リーマン・ショック」以降、厳しくした金融関連の規制を緩和する方針であるらしい。なりふり構わないのだろうか。

 現代の世界で大半の揉め事には、米中露という国土と態度のでかい国が関わっているのは歴然としている。どうして、うちの国はその真ん中に位置しているのだ。ひょうたん島のごとく、引っ越せんものか。





(とっとと、おわり)






道に枯れ葉が舞っていた 時は流れた
(2017年2月3日、丸の内にて撮影)








この壁の上には 謝罪も寛容も 全くない

  ”The Wall”   Bruce Springsteen
 

















































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