おじさんの雑記帳 

「20世紀少年」の感想文そのほか 寺本匡俊 1960年生 東京在住

南洋諸島の夜空  (第1084回)

 今月中旬(2017年1月半ば)、テニアン島に行ってまいりました。この旅費を捻出するのに、二年もかかった。戦没慰霊と保養および長男の就職祝いを兼ねて、当人も連れて行くという盛沢山の目的を果たすために、日程を伸ばしたので予算がかさんだ。しかし何とか予算内で済んだ。東京オリンピックより偉い。

 テニアンマリアナ諸島にある。主な島は日本から近い順に、サイパンテニアン、ロタ、グアムと並んでいる。これで、この四島は全部、行った。南洋諸島という地名は、今は無い。かつて、スペイン、ドイツ、日本、アメリカらが、分捕り合戦をやらかした島々の一部を、日本軍がそう呼んでいただけだ。上記の戦没慰霊というのは、そこで戦死した父方の伯父も含む方々のためのもの。


 戦争の真面目な話は、特に伯父や家族の個人的な話題も含めることになり、この雑記帳ブログとは合わないので、別のブログに書くことにした。
http://ameblo.jp/tinianisland/entry-12240895566.html

 二度と、こんなことが起きないように。とはいえ、前回までの続きで、一言書き残したことがある。前回まで、去年の真珠湾の式典の話題を取り上げたのだが、日本の首相もアメリカの元大統領も、戦争で死に、苦しんだのは軍人だけではないと強調している。

 ところが、この共同声明の翌日わざわざ帰国して、戦死した軍人だけを「顕彰」するところに出かけて行ったのが、我が国の防衛大臣さまだ。ハワイでは隣に居ながら、安倍さんとオバマさんの話を聴いていなかったらしい。南洋諸島でも、民間人が(現地の人も日本人も朝鮮人も)大勢、巻き込まれて亡くなっているのだが、今の日本の平和と関係ないというのだろうか。


 テニアンは、この島で昔から住んでいた人たちの命名で、死の島という意味があるらしいという説を耳にしたことがあるのだが(ここでは「玉砕」とは関係ない)、今回の渡航では確かめられなかった。ここで詳しくは述べないが、貪欲な好戦国のせいで散々な目に遭っていることだけは間違いないらしい。

 そのテニアンも、ずいぶん変わってしまいましたと、地元で三十年余り暮らしているお方が語ってみえた。何年か前、中国資本が建てたという大きなホテルは廃業し、このままでは廃墟になるだろうという姿を見た。アメリカ軍が沖縄同様、珊瑚を壊して作った軍港は、その後は今に至るまで放置され、現在カジノが作られようとしている。似た人は似たことを考える。植生もずいぶん人為的に、変えられてしまったらしい。


 結局、そもそも期待していたわけではないが、伯父がどこで、いつ、どのように死んだのか、全く手がかりもないまま帰国した。それでも、これまで自分を含め親族が行ったことがない戦没地に出かけた意味はあるし、何より耳学問だけだった現地に肌で触れ、その地を歩いてきた手応えは大きい。
 
 変わってしまったというテニアン島だが、まさか空まで変わるまい。幸い、空気を汚すようなものは殆ど無く(火力発電の煙突一本ぐらいか)、晴れた空はひたすらに青く、雲の輪郭も鮮やかで、天文少年だった東京在住の私には信じられないほどに、夜空が美しい。北半球の冬だから、なおさらだ。ちょうど満月前後の時期と重なり、ぜいたくを言えば月明かりが眩しくて星の観測時期としては生憎の月齢だったが、また行くさ。






(おわり)







到着日のお月様 
(2017年1月11日撮影)



冬空とくればオリオン 
(同上、長男撮影)



上の赤いのが火星、下の明るいのが金星。
(2017年1月14日撮影)



初めて見た。全天二位、月明のカノープス
(2017年11月11日撮影)


















 When you wish upon a star,
 Your dreams come true.

       「星に願いを」 よげんの歌





ご参考(上記「私の別のブログ」)
http://ameblo.jp/tinianisland/entry-12240895566.html




















































.