おじさんの雑記帳 

「20世紀少年」の感想文そのほか 寺本匡俊 1960年生 東京在住

定数削減のこと (第1242回)

 本日はできるだけ、穏やかに、あっさりと。国会関係の条項は、まだまだ第64条まである。先はものすごく長い。今回は第48条と第49条。改正草案に変更点はない。

第四十八条 何人も、同時に両議院の議員たることはできない。

第四十九条 両議院の議員は、法律の定めるところにより、国庫から相当額の歳費を受ける。


 第48条も、「こういう決まりが憲法にあったのか」と、改めて感心している私です。そうか。これは二院制下では不可欠の規定なのだろう。同じようなメンバーで両院が構成されていたら、同じ議論を経て、同じ結果が出る。これでは二院制を敷く意味が無かろう。

 また、納税者としては、同じ議員が場所を変えて同じ話をして、倍の議員報酬をもらうとしたら、何となく気分が良くない。これは次の第49条にも関わる話で、どれくらいの収入があるのだろうね。調べたくないので調べないが。


 でも、例によって「法律の定めるところにより」が出てくるので、これは確かめておこう。これまで、公職選挙法を引き合いに出すことが多かったが、ここでは選挙は関係ないので、別の法律の出番。国会法の第35条。参考まで第36条も転載します。

第三十五条  議員は、一般職の国家公務員の最高の給与額(地域手当等の手当を除く。)より少なくない歳費を受ける。

第三十六条  議員は、別に定めるところにより、退職金を受けることができる。


 この「より少なくない」という英語的だが、日本語的ではない表現は、もう少し何とかならないものだろうか。ようするに霞ヶ関の官僚よりも多い。事務次官や大使は相当の高給だと思うのだが、それより高いのか。おまけに諸手当もある。地域手当って何だろう。民間では、遠い地域に常駐する場合である。

 しかも、単純比較はできないはずで、一般職の国家公務員は土日祝以外は働いているはずだが(そろそろ会期中の深夜業は、お止めになってはいかがだろう)、国会は臨時・延長などの残業がなければ、半年のお勤めである。しかも、法案の約7割は官僚が書いているというではないかい。


 なお、次条の退職金については、国会法にその定めは無い。従って、法律ではないもので、こっそり作っている可能性がある。どうも精神衛生上、良くない条項が多いな、この辺は。

 財政・公金という観点からすれば、こういう個人攻撃的なことはいい加減にして、それより総額はどうかということも、私たちは考えなければならない。定数削減の議論である。
 

 これも遠い昔から問題提起はあるが、およそ先に進まない議題である。なんせ与党も野党も、大政党も小政党も、定数は多いほうが、仲間が議員になれる確率が高まるので、全会一致的に運命共同体なのでしょう。

 これについては、地方公共団体がもっと怒ってもらいたいのだ。あれだけ無理な平成の大合併を全国でやり、貴重な由緒ある地名を撲滅し続けてまで自治体を減らして生き残りの方策を模索し、財政の立て直しを実現してきたのではなかったのですか。


 それとも、私のあずかり知らないメリットが別途あったとか? 国を怒らせると、やはり怖いのだろうか。裏事情はともあれ、今後の日本は残念ながら、急速に人口が減る。根本原因が長期的な少子化なのだから、移民の大量受け入れ以外、手はない。

 そういう時代になっても、「むかし人口増の時代には席を増やさなかったから」という理由だけでは、この財政難の時代(それが本当ならばだが)、いつまでもこの規模を維持するというのは筋が通らない。当面、一票の格差是正という金科玉条を優先させているが、時間の問題でしょう。今日も皮肉っぽくなってしまった。




(おわり)



ちょいと口直しに、上野の花壇。
(2017年4月6日撮影)


 

こちらは日暮里の花、有明の月。
(2017年4月4日撮影)