おじさんの雑記帳 

「20世紀少年」の感想文そのほか 寺本匡俊 1960年生 東京在住

4月30日 赤木さん  (第1259回)

有権者になってから、自由民主党が野党になった時代を二度、経験している。いずれも、記憶ではウォーターゲート事件のような、政権が一撃で吹っ飛ぶような出来事があったというよりも、積もり積もった有権者の鬱憤が、表面張力の限界まできたような事態だったように思います。これは政党を問わず、与党はしっかりしていないと、こういう目に遭う。

本年のCOVID-19の感染拡大と軌を一にして、幾つかの疑惑や醜聞や暴言などが与党から世間に流れ出し、現政権はかつての下野を思い出させるほどに、崖っぷちに立たされている観がある。トラブルは多すぎて数えきれないほどだが、その一つに「モリカケ」という、計ったように蕎麦屋スタイルの名が付いた汚職疑惑が二つ。


今年4月30日の大阪日日新聞のサイトに、「本名で昭恵夫人に手紙 自殺職員の妻・赤木雅子さん」という記事が載った。新聞雑誌の記事はリンクが早々に切れることが多いが、後に興味を持った人は新聞社に問い合わせもできようし、紙媒体になっていれば国立国会図書館に残るだろうと思い記録に残しています。

近畿財務局の上席国有財産管理官、赤木俊夫氏が自ら命を絶ったのは、2018年3月7日のことであった由。ご遺族の妻でそれまで似た仮名を用いていた赤木雅子氏が、最近のネットでワースト・レディとまで叩かれてしまっている総理夫人に、森友疑惑の再調査に協力を要望したという趣旨の記事です。コロナ禍ほか別件続きで何かと騒々しいが、本件もまだ終わっていない。


この大阪日日新聞は、本年3月26日号の週刊文春がスクープした赤木氏の遺書全文公開という記事を書いた相澤冬樹記者の所属先でもある。支援の署名活動が始まったときの文春の記事も今のところネットに残っています。無断転載禁止とある。ここに謝意とともに、お断り申し上げます。

いきなり私事ですが、大学時代から週刊文春をずっと読んできて、海外にいたときでさえ高額の輸送費まで払いながら購読しておりました(当時はインターネットも、衛星放送もなかった)。しかし同誌は、数年前に嫌中嫌韓の記事を売りにするようになり、買うのをやめました。


久しぶりに近くのコンビニで週刊文春を買ったのが、この2020年3月26日号です。実際に発売されたのは、同18日(水)。赤木氏が残した「手記」も転載されています。まもなく本件では損害賠償請求の民事訴訟が始まる。

ところで、私の不興とは裏腹に、週刊文春は「文春砲」とやらの敬称までつけられて、不調の雑誌業界にあってひとり気を吐いているらしい。同社の記者諸兄の活躍・努力を貶めるつもりは全くないが、こういう話も前に聞いた覚えがあるので、参考資料はないが話半分のご参考まで。


新聞記者が折角つかんだネタや書き上げた記事も、社の都合やら何やらでボツにされることがある。そのままでは惜しいなんていう場合、雑誌に売る。雑誌は裏どりなどして「取材班」などという名で記事にする。

新聞記者としては、なるべく高値で売りたいから、販売数の多い雑誌社に持ち込むことが多い。これが当たれば当たるほど、その雑誌に特ダネが集中する。これは新聞記者の匿名座談会の概要で、当の週刊文春に、もう十年ぐらい前に載ったものだ。まあ、ありそうな話だと感じます。


かつて、どこかの検事さんの談話で、「ひと一人死んだら、クロだ」というのを聞いたことがある。なのに上記の赤木さんの手記は、ワープロでタイプアップしたものとあって、贋作だと主張する者がいるが、私は相手にしていません。文春には「手記」のほかにも、「直筆のメモ」の一部の写真が載っている。

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赤木俊夫氏は書道が趣味で、篆刻の美術展の前で撮影したスナップをご覧になった方も多いと思います。下の写真は上記のメモの最後の部分で、「命 大切な命 終止符」のうち、「止」の字を「指」と誤記して書き直し、「符」は誤字「府」のままだ。書の道に親しむ方が、人生の終止符になるのを覚悟で書いた字がこうなるとは、どういうことなのか。




(おわり)







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近所のあやめ  (2020年4月30日撮影)























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