おじさんの雑記帳 

「20世紀少年」の感想文そのほか 寺本匡俊 1960年生 東京在住

オリンピックを俺たちのもとにとりもどそう  (第1087回)

 本日の私は少し気が荒れております。せっかくの週末に、後味の悪い文章を読みたくないというお方はご遠慮ください。今回のタイトルは、漫画でケンヂがケロヨンに送ったFAXから一部を拝借した。ここ数か月、わが東京都におかれては、オリンピック・パラリンピックの会場と、築地市場の移転で混乱が続いている。



 何が問題で、誰が悪いのか、報道をながめていても、さっぱりわからん。できそうもないなら、早いところ「ごめんなさい」したほうが良いのではないか。このままでは市場の関係者や、練習に励む選手が気の毒である。とはいえ、オリンピックについては、4年に一度という鉄則があり、時間の問題でもう選手交代は無理だろうな。


 そもそも、今朝だったかの新聞によれば、東京の次の2024年大会に立候補していたブタペストが、反対派の主張が強まって撤退方針に傾きつつあるらしい。しかも、すでに辞退した候補地が、他に複数あるというではないか。日米のみならず、世界的に富の寡占が進んでいる。ほかに税金の使い道か、減らす方法を考えろということだ。

 1984年のロサンゼルス大会以降、オリンピックはビジネスとして、もてはやされていると聞いてきた。しかしどうやら、単体の事業として収益を上げているのではなく、一部の誰かさんらが儲かっているだけらしい。先年のロンドン大会も赤字だったという噂話を聞いた。


 漫画「20世紀少年」におけるオリンピックの話題といえば、記憶の限り一か所だけで、しかも欄外。コミックス第一集の秘密基地の中で、マンガ「アニマル1」に「ローリングストーン」という必殺技が出てくるというヨシツネ発の実にどうでもよい話題で、残念ながら見た記憶のない作品だが、主人公はメキシコ・オリンピックを目指していたとのこと。

 4歳になる直前に観た前回の東京オリンピックは、なぜか一番鮮明に覚えているのが閉会式の一場面で、掲示板に「次はメキシコ・シティで会おう」という意味の表示が出た。64年の東京、68年のメキシコ・シティ、これに冬季の札幌も加えて、これが子供時代の私のオリンピックだ。ちなみに、「五輪」と書く手抜きは嫌い。「ごりん」と発音する今の首相も嫌い。


 その次の72年ミュンヘンで悲劇が起きた。そのあと政治利用されて、米ソの出場中止合戦があり(冷戦の醜さを象徴する例だな)、日本も巻き込まれた。そして、商売になり、プロ選手も出るようになりと、変化に変化を重ねて来た。

 巨大化して制度疲労を起こしている。どなたか存じ上げないか関係者も、お金に目がくらんで無理するから、こういうことになったのだろう。なんなんだ、この住民税や固定資産税は。消費税も嫌な予感がする。

 メダルの数で成否を語る政治家的・お役人的な費用対効果論も、いい加減にやめたらどうだろう。覚えていますか、前回大会でメダル幾つ持ち帰ったか。オリンピックは、まず出る人のためのものであり、次に楽しみで観る人のためのものだ。小僧アスリートやらマスコミやらに、「国民に勇気を与えたい」などと言われる筋合いはない。


 しばらく前、新聞か雑誌で読んだ記事に、前の東京オリンピック関係者の談話が載っていて、今でこそ日本の大活躍が内外に示されたというが、優勝者が出た競技は、当時としては比較的、マイナーな種目が多く(少なくとも世界的には。女子バレーも柔道も、確か初競技だったはずだ。)、騒動や好評は後からついてきた気がするという趣旨だった。

 あのころの大半の日本人にとって、オリンピックの東京も、万博の大阪も、感覚的には外国と変わりがなかったのではないか。私には、そうだった。さらに言えば、日本ばかり応援する今の雰囲気とは違っていたのは確かで、アベベやへーシングやクレイやチャスラフスカやビーモンが私たちのスーパー・ヒーローだった。


 前回大会でも私は成長がなく、記憶しているのはボルトとフェルプスぐらい。そのボルトの金メダル数タイ記録とやらが、仲間の卑劣な肉体改造で取り消しになった。正確に言えば、その前に本人が返したというから、やはり規格が違う。そいつをとばして、ボルトが200走っても勝っただろうに。

 そのボルトも、繰り上げになった朝原のインタビューもさえなかった。そりゃそうだろう。少し前に室伏も同じ目に遭っている。今までのところ、私が聞いたオリンピックを成功させる理念・方策としては、このハンマー投げの至宝、室伏広治のそれを措いて他にない。

 ドーピング問題について、うちの新聞の取材に応えたものだ。「日本がリーダーシップをとって、撲滅していかないといけないし、日本はそういうことができる。東京オリンピックから激減すれば、成功した大会になる」。これなら時間不足ということもあるまい。見に行こうかな、ハンマー投げ






(おわり)






先日、太平洋海中にて、いきなりカメとすれちがう。お互い素潜り。
(2017年1月16日撮影)











 The pursuit of happiness just seems a bore.
 And if you take more of those,
 you will get an overdose.

   ”Mother's Little Helper” The Rolling Stones



















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