おじさんの雑記帳 

「20世紀少年」の感想文そのほか 寺本匡俊 1960年生 東京在住

3月24日 東京大会の延期  (第1241回)

本年予定されていた「2020年東京オリンピックパラリンピック競技大会」については、先般、IOCの委員へーリー・ウィッケンハイザー氏の意見を採り上げました。もちろん彼女一人だけの見解で延期されたわけではありませんが、IOCの内部からこういう強い主張が出たことに着目したからです。

他にも延期の要請は、世界中から出ていました。このNHKの記録を見ると、ブラジル、ノルウェー、そして何と言っても影響力が強いアメリカでも延長の議論が出て、ニューヨーク・タイムズ誌は「中止せよ」(Cancel.The.Orinpics.)と書いた。


しかしこの3月22日(日)の段階では、IOCのバッハ会長が「土曜日のサッカーの試合のように延期することはできない」と述べて、予定通りの実施に向け努力中と応えている。翌23日(月)に参議院予算委員会があった。7時間以上も続けている。

議題の一つが、以下ここでは「東京大会」と略称しますが、2020年のオリンピック・パラリンピックの実施の可否についてでした。翌日の新聞各紙がそろって報道をしていますが、ここでは代表で読売新聞によると、総理はIOCがまだ検討中であり、「IOCの判断は、私が言った『完全な形』での実施という方針に沿う。仮にそれ(完全な形)が困難な場合には、延期の判断も行わざるをえない」,「中止は選択肢にはない。この点はIOCも同様だ」と答弁しています。


それにしても、東京大会なのに、なんで中央政府がここまで頑張るのだろう。最後にどうなるか分からないが、壮大な事業に税金をつぎ込んでいるのだから、最終的にどうなるにせよ、ぜひ詳細な決算書類を個別に作り上げてもらいたいものです。

先日のNHK資料にもあったが、規模を縮小して行うという案もあった由。もともと開催地は日本ではなくて東京なのだから、われら東京都民・在京法人の納税額で収まる範囲でやるという発想が出てきても良さそうなものなのに、「完全な形」に固執して延期となった。


翌3月24日にIOCおよび日本政府は、遅くとも翌年(2021年)の夏までに実施するという、一年程度の延期を発表した。スイス時間の朝、日本側と大勢でテレビか電話の会議をやったらしい。IOCのサイトに記録がある。大会名称の「2020」は延期しても、そのままと決まりました。

しかし、慌て者が多かったようで、2020のグッズが記念品(または高額転売商品)になると考えたらしく、ネットで大騒ぎになったという報道がありました。マスクの転売も問題になりました。今の日本は火事場泥棒の巣窟なのか。それとも世界中がハゲタカの巣か。ちょっと荒れてきました。


さて、最近の報道では、森さんが二年にしたほうが見込み良しと提案したところ、安倍さんが一年にこだわったという話なのだが、任期内の話はともかく、一年で本当に大丈夫だと思っているのですか。いま世界中でワクチンの開発が進んでいるようですが、具体的で有望な進展があるとは寡聞にして知らない。

仮に開発が成功し、量産できて速やかに、来日する全選手・関係者、お迎えする日本側の大会関係者や観光・報道などの業界関係者に行き渡らなければ、危なくて仕方がないだけでなく、そもそも各国の渡航制限が解けないだろう。一般にワクチンの開発・製造は、動物実験から臨床実験を経て、年単位かかるというし、別のコロナ・ウイルスに効くワクチンすら、まだ無い。


選手には気の毒だが、私は別の人達のことを考えている。守秘義務がある契約仕事だったので詳細は書けないが、東京大会が決まって、しばらくしてから、その関係者数人とお会いして打ち合わせをする機会があった。表舞台に立つ人々ではなく、裏方さんたちです。すでに相当、疲れてみえた。時間がないとのことでした。

その時点ではまだ、用地の手配などの段階で、このあと場所や設計が変わったり、予算が膨らんだり、マラソン競歩の会場が札幌に移ったりし、そしてとうとう年明けにはコロナ・ウイルス。今ごろ、どうしてみえるだろう。おそろしく疲れてみえるはずだ。


彼らの重責を思うと、そして、延期にともなう膨大な経費のことを思うと、選手ほかこれまで尽力してきた皆さんのお怒りを買うだろうが、この次に緊急事態宣言を延長する時点などを決断の期限と定めて、早めに中止の決定すべきだと考える。

予算は、まず医療や介護等の現場に、そして日々の生活と経済の立て直しに使わなければならない。商魂に目がくらんでもらっては困る。

なお、地球温暖化が事実で深刻なら、マラソン競歩は、この際、冬季オリンピックの種目に変えてしまえばよい。ちなみに、次の冬季オリンピックは、よりによって北京だ。2022年2月だから、そう遠い未来でもないが、こちらは逆に何があろうと強行しそうな感じです。ともあれまずは、日本の洗濯だ。延期決定の3月24日以降、幸か不幸か、PCR検査件数が跳ね上がったのは記憶に新しい。

【5月13日 追記】 書きそこねていますが、ワクチンだけでなく、最近、抗体検査が話題になることが増えました。もしも免疫に有力な抗体を獲得した人が増えていくなら、東京大会に限らず、社会経済の復興に光明が見えます。



(おわり)



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今年はとうとう花見酒なし。 (2020年3月24日撮影)






















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