おじさんの雑記帳 

「20世紀少年」の感想文そのほか 寺本匡俊 1960年生 東京在住

7月12日 記録の保存について  (第1276回) 

このブログで「COVID-19」というカテゴリーを新設して書き始めたころ、この書き物は新型コロナウイルス感染症の勉強のためであり(ここまでは今もそう)、政治を語る場ではないと書きました。しかし、実際には批判的なことを中心として、政治の話題が増えている。今回はその理由から始めます。

一言で結論からいうと、記録の保存に関する醜聞が余りに多い。現政権はすでに別件の疑惑が多すぎて、件名だけですら暗記できないほどに在庫が豊富ですが、都政に関しても報道がありました。なぜ、このことに立腹しているのかを、できるだけ簡単に説明いたします。


勤め人時代(二十数年)の前半は銀行員で、後半は外務省関連の半官半民の組織で働いていました。辞めて久しいので昔の話という前提です。半官半民というのは具体的にいうと従業員は公務員ではなく民間人でしたが、財源はほとんど全て税金でした。わずかな例外は民間からのご寄付です。

その前に勤めていた銀行は、お客さんから預金を預かり、お客さんにお金を融資して、その金利の差(マージン)を収益の柱としておりました。すなわち、私の労働者人生の前半は、お客さんから預かったお金で、そして後半は国民から預かった税金で、仕事をし給料を得ておりました。


このため、以下は私個人の心がけではなく、組織内および監督官庁の厳しい指導によるものですが、融資なり事業なり人件費等の内部経費なり、その使途や目的、予算と決算の詳細などは、必ず担当者が紙で資料を作り、規則にのっとって稟議をし、大変な手間とスペースを費やして保管していました。

そのほとんどは、二度と目にしないものなのですが、他人様のお金で仕事をさせていただいている以上、記録の保存は必須であり、実際その担当者になったこともありますが、厳密なルールがあって大変な作業でした。率直にいって若いころなど退屈でしたが、上司は厳しかった。良い勉強をしました。


それを今の政府はやらない。無知や怠慢ではなく意図的に、改ざん、隠蔽、廃棄、情報開示請求に黒塗りを以て応じる不誠実、しかも書いてあるはずの内容は、単に税金だから重要というレベルではなく、国民の健康・生命に関することであったり、もしかすると法律違反、不法行為であるかもしれない代物であったり。

公文書の中でも特に、税金の使い途に関する記録は、たとえば外交や国防のように、すぐさま公にはできないことがあるのはわかりますが、それも時が来れば後世の人たちが検証することができるよう、永久保存でなければならない。青少年向けの漫画雑誌やDVDも、国立国会図書館でしっかり保管しています。


それがどうだ。以下、良く知られているケースを三点、挙げます。専門家会議の議事録を作っていなかった件、専門家会議のメンバーが提出した文書の内容を修正あるいは削除した件、そして東京都が感染情報予測の文書を廃棄した件です。

一つ目の議事録の件は、5月にかなり詳しく報道されました。あの「37.5度以上の発熱が4日以上続いた場合」に関連していましたから、初期の段階で我慢を重ねた人には許しがたい工作だと思います。この目安は専門家の間でも意見の集約ができなかったと読売新聞が報道した等、リテラの記事が詳しい。


二つ目が6月の出来事で、こちらは明確に、リスクを実際よりも小さく見せようとする、今日に至るまで現政権がとり続けている経済政策最優先の副作用。特に「無症状、あるいは軽症の人が感染拡大を強く後押ししている可能性がある」という、当時では重要な最新情報だった見解も削除されたとNHKの記事にあります。

以上二つはモリカケやら南スーダンやらで毎度おなじみの観があります。私がここに挙げてきた諸外国の統治者も、ときには失敗しています。でもここまで支持率が落ちたり、求心力が低下したりという政権は、少ないのではなかろうか。似た者同士の米国大統領選が11月にありますから、今回は常にも増して実績と信用が問われる。


三つ目は、上の二つが国全体にかかわるものだったのに対し、都政の話題ですので、都民以外の皆さんにはあまり知られていないかもしれません。「都が感染状況の予測文書2通を廃棄 1通は本紙の情報公開請求後に」という見出しで、ネット記事では7月12日に東京新聞が報道しました。

世界中で多くの人が、なぜよりによって、この2020年にパンデミックが起きるんだと怒ったり嘆いたりしていると思います。トランプ大統領もそうでしょうし、今年から来年にかけて進学や就職の時期を迎えている人たちも気の毒としか言いようがない。そして、オリンピック・パラリンピック


これに期待を寄せていたのは、世界中の選手や候補、その関係者はもちろんですが、日本で行われる予定でしたから、こちらは金が絡みました。ここ東京は開催地ですので、特にCOVID-19が都政の判断に大きな影響を及ぼしたことは誰も(彼女も)否定しますまい。しかも、都知事選の時期に重なった。

東京新聞が時系列でまとめていますが、この記事のあとに、東京アラートの解除と立候補の表明とか、もうどう言われようと知ったことではないというような話の連続です。そして、感染者が急増しました。そのたびに、ひっくるめて都民はアホかと言われておりますが、今のところ一番うんざりしているのは地元でございます。

さて、過去の出来事からクロノジカルに追いかけてまいりましたが、ようやく日付も追いついてきて、これからは時間的な順序に、必ずしもこだわらず、最新情報と語り残しを混ぜ合わせて進めます。これを書いている現在でいえば、「go to キャンペーン」と、沖縄の米軍基地での感染拡大が大きなニュースになっています。



(おわり)


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東京から見た富士山  (2020年2月5日撮影)