おじさんの雑記帳 

「20世紀少年」の感想文そのほか 寺本匡俊 1960年生 東京在住

安保法制の落とし穴  (第1905回)

 どうも私の文章はくどい。最近の投稿を自分で読んで、そう思った。ここでの本の紹介は、営利目的ではないから、あっさりで良い。今はネットでいろんな感想や意見が読めるし、まずは図書館で借りても良い。ということで今後は、こういう本があるという端的な記事にします。

 井筒高雄著「安保法制の落とし穴」(ビジネス社)。発刊の目的という意味に限れば手遅れで、既に安保法制は成立してしまった。だが、今から勉強したって遅くない。むしろ、議論を経てきただけに、こちらもある程度は分かっている。これは間違ったと思ったら、理論的には政権交代で、安保法制は廃止できる。


 著者の井筒さんは元自衛隊員。この本は対談集で、最後の対談相手の泥憲和氏も元自衛隊員。泥さんはもう亡くなったというのに、未だネットにはこのお二方に対する罵詈雑言が溢れている。それだけ、一部の偏った思想(というより嗜好だろう)の持ち主たちにとっては、「危険思想」なのだ。泥さんの遺言を聴いてほしい。

 対談相手は多様な分野の専門家であり、また、個性的な方々なので、首尾一貫して意見が一致している訳ではない。様々な方向から、もう一度、この法制を見直してみたい方にお勧めする。現時点で、憲法改正の議論は、安全保障だけを巡って行われている。復習すべし。巻末の統計や説明も分かりやすい。


 首尾一貫していないとは、例えば、冒頭の浅田次郎自衛隊を「軍隊」というし、次の小林節自衛隊を「第二警察」という。どう違うのか、どちらの意見を採るのか、読者が自分で考えないといけない。この訓練がいま必要だと思うのです。

 浅田さんも元自衛隊員で、雑誌にエッセイを連載していた昔から知っている。自衛隊で鍛えると、便所の大は小より早く終わると書いてみえたのを覚えている。なるほどねえ。小林節先生の小林節(ぶし)も健在です。植草一秀のTPP論も面白い。安保法制とTPPは、いわば治外法権を認め、関税自主権を放棄するようなものだろう。大老の首が飛ぶ事件だ。



(おわり)




染井吉野の花束  (2018年3月24日撮影)































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