おじさんの雑記帳 

「20世紀少年」の感想文そのほか 寺本匡俊 1960年生 東京在住

老眼  (第1267回)

 これから何回か、老眼を話題にします。我が老化に関する最新情報だからです。先月、朝起きて遠近両用メガネをかけたところ、強い違和感がありました。両目の視力のバランスが崩れているようでした。

 片方ずつ目を隠してみると、右目は正常のようでしたが、左目がかなりぼやけて見える。痛みはなく、寝ている間に圧迫でもしたのかと思い何日か様子をみたのですが戻りません。やむなく眼科に行きました。その結果は次回の題材にします。


 村上春樹がずいぶん前にこんなことを書いていました。老化の自覚というのは、下り坂をゆっくりと降りてゆくようなものではなく、階段を降りるように、時期を措いてストンストンと落ちることを繰り返す。私の場合も、過去その繰り返しでした。

 老眼も、実際には徐々に進行していたのでしょうけれども、ある日突然気がついたからショックでした。きっかけは、手の指の爪を切ろうとしたときです。指先が見えない。その前の爪切りのときは異常なかったのですから、なかなか劇的でした。


 これを機に近眼鏡を遠近両用メガネに切り替えようとしたのですが、近所の眼科医のアドバイスは、老眼鏡に頼り出すと進行が速い人もいるので、しばらく近眼鏡の度を落として頑張ってみてはどうかとのことでした。50歳を少し超えたころのことです。

 この助言に従い、強度の近視である私は近眼鏡の度を落として二年間ほど暮らしました。意外と困ることなく、唯一参ったのは運転免許書の更新の際に、視力がギリギリで係員さんを困らせたことくらいです。「まあ、いいか」で終わり。


 確か53歳になったときに、いよいよ限界が来たと思いました。同じ眼科で今度は遠近両用メガネの処方箋を書いてもらい、そのとき作った眼鏡は約十年もちました。それが先月、困ったことになった訳です。

 若いころ、老眼というのは近眼の反対で、小さいものが見えにくくなるのだとばかり思っていました。しかしそれは遠視であり、私の理解では老眼は近視や遠視と異なり、病気・病状ではなく老化現象です。


 資料を失くしてしまったのですが、かつて若者と高齢者の身体の機能や強度の差を一覧表にしたものを見たことがあります。統計的に、加齢で大きく衰えるものもあれば、それほど変わらないものもあるそうです。

 その差が一番大きかったのは「疲れやすさ」というものでした。これも私の実感に合っています。老眼がその典型例。午後遅くには目がぼうっとしてきますから、文字を読んだり入力したりの作業は午前中に集中して行います。


(つづく)



花菖蒲  (2025年5月22日撮影)




















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