おじさんの雑記帳 

「20世紀少年」の感想文そのほか 寺本匡俊 1960年生 東京在住

現行憲法無効・明治憲法復元  (第1919回)

 先回、「吉田の自由党には、同時期に岸信介辻政信が国会議員として所属していました」と書きましたが、これだけでは不親切、無責任かなと思いましたので、今回はその補足です。このブログは政治批判や人物評が目的ではないので、事実関係を主とします。

 まずは、普通に検索できるサイトに、岸信介氏の名前が出てきます。おもに昔話ですが、なかなか読み応えがあります。 (再掲時の注: なぜかリンク切れ)
http://atarashii-kenpou.jp/concept/belief.html

 
 今回のタイトルは、この文中に何度か出てくる言葉です。戦後、何十年も経っているのに、こういう話題が出ている。さすがに岸元総理は、今さら強引に元の憲法に戻すと、その下で出来た法律が全部ひっくりかえって大騒ぎになるから、止めた方が良いというご意見。このときの話相手は、最後の「E」という章に出てきますので、ここでは詳細を述べません。

 さて、岸信介議員は、1950年から1955年の「55年体制」成立まで存在した保守政党自由党」に、1953年から54年まで在籍し、いったん抜けますが、自由党の後継政党である自由民主党に舞い戻り、1957年に内閣総理大臣になります。自由党は、1950年から54年まで、吉田茂が総裁でした。以下、歴史上の有名人ばかりだから敬称略。


 一方の、辻政信先の大戦時に陸軍の参謀だった男ですが、彼も戦後は政治家になった時期があり、吉田の自由党には、1952年から55年まで、岸と重なる時期に在籍しています。これが前回、ちょこっと書いた単純事実関係です。岸と辻の関係がどうだったのかは、全く知りません。一方で、以下はなかなか興味深い話です。

 同じ政党にいただけあって似たような意見も持っていたようで、吉田茂は周知のとおり自衛隊の生みの親、岸信介日米安保の成立に貢献し、辻は議員会館で取材にきた半藤一利氏に、自衛隊は国民軍にしなくてはならんと語ったと半藤さんの本にあります。


 辻と岸の共通点は、ほかにもある。この二人は、東条英機の部下でした。岸は東条内閣で戦時中に商工大臣を務めている。同じころ、参謀総長も兼任していて大本営陸軍部のトップだった東条の下で、辻が参謀だったのは先述のとおりです。

 岸はA級戦犯の容疑で逮捕、拘置されますが、占領が終わり不起訴のまま釈放されています。辻は卑怯な男で潜伏して逃げ回り、占領が終わってから出没しました。そして、1930年代に、東条英機岸信介辻政信は、同時期に満洲にいました。ここでも、辻は東条の部下で、関東軍所属です。岸は軍人ではなく、経済官僚です。


 最後に、今の憲法改正の話題との接点という意味では、石破さんがごだわっている自由民主党日本国憲法改正案(2012年)と、明治憲法の類似点は、何と言っても国防軍、そして天皇を元首とする点です。

 他方で、岸の一応、穏健にみえる上記サイトの主張、すなわち「現行憲法を有効とした上で、合法的・合理的な改憲を考える」という、手続き上は正攻法ともいうべき手段は、おそらく岸の孫である現内閣総理大臣が、何故か急ぎに急いでいる方法論であるようです。自主憲法制定は、どうやら家訓であるようです。




(おわり)



夏と言えばサルスベリ  (2018年8月17日撮影)






































.