今回をもちまして、第五章の「内閣」が終わります。該当箇所について、いまの憲法と改正草案を併記します。最近、文章がまた荒れてきたので、今日はおとなしく済ませたい。
【現行憲法】
第七十四条 法律及び政令には、すべて主任の国務大臣が署名し、内閣総理大臣が連署することを必要とする。
第七十五条 国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ、訴追されない。但し、これがため、訴追の権利は、害されない。
【改正草案】
(法律及び政令への署名)
第七十四条 法律及び政令には、全て主任の国務大臣が署名し、内閣総理大臣が連署することを必要とする。
(国務大臣の不訴追特権)
第七十五条 国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ、公訴を提起されない。ただし、国務大臣でなくなった後に、公訴を提起することを妨げない。
第74条は両者、同じ文章。この私が法律など、現物はおろかオフィス・コピーすら、拝見する機会は生涯ないだろうが、印刷用に活字起こししたものは、官報で読むことができる。さて、復習します。国事行為だ。手続き上、御名御璽も不可欠である。
第七条 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
一 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。 (以下略)
政令というのは、そう遠くない昔に知ったのだが、内閣が出すもので、総理大臣名。省令というのが、各省から出すされるもので、各大臣名。そのほか行政通達と総称されるものが、各種取り揃えてある。罰則があるのは、もちろん法律。なお、地方自治体の条例にもある。地域限定型です。
改正草案では、第75条の表現が変化しているのだが、これが法的に同じなのかどうか、私には判断できないので法律家にお任せする。例えば、時効の問題とか、影響を受けるものなのかどうか。ともあれ、国会議員ではない大臣でも、総理が「うん」と言わなければ、大臣でいる間は訴えられない。
さすがに暴力沙汰は減ってきたようだが、道理で議員も大臣も、言いたい放題な訳だ。名誉棄損、侮辱、脅迫、怪しい金に色恋沙汰、ハラスメント等々、刑事法でも民事法でも危なっかしいことを、好き放題やってみえる。
でも落ちたら唯の人とあって、訴追すべきほうとて、もう目もくれない。「辞めさせる」のが野党と報道にとっての「勝ち」になっている。確かに分かりやすいし、民間でも似たようなものだが、「謝る」と「辞める」でほとんどカタが付くというのも平和な証拠なのか。
これで「内閣」の章は終わり。感想としては、この「内閣」とお次の「司法」は、その前に置かれた「国会」と比べて、条項の数が少なく、内容も簡単は明瞭なものが多い。やはり、国会は最高機関だし人が選ぶので、繊細な事柄が多いのだな。
ともあれ期間限定型の治外法権に守られた国会内で野次を飛ばしているくらいなら、私も慣れたし語彙も増えるし、聞きたくなければ聞かずに済む。しかし国権の中枢で急増して来たスキャンダルの嵐は、一体どうしたことか。子年なので、危ぶんでいる。沈む船から鼠は逃げる。
(おわり)
道端にて。野草は元気だ。
(2017年5月24日撮影)
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