おじさんの雑記帳 

「20世紀少年」の感想文そのほか 寺本匡俊 1960年生 東京在住

第五章の内閣に進みますが...  (第1254回)

 歯切れの悪いタイトルで恐縮ですが、私の責任ではない。そのテレビ番組は観ていないのだが、新聞やネットの報道によると、我が内閣総理大臣におかれては、憲法9条に関し党内でしっかり議論して、今年中に改正案をまとめ、国民に示すと仰ったらしい。

 ほんの少し前に、2020年と言ったばかりではないか。提案が今年で、成立は2020年という意味だろうか。ずいぶん時間がかかる。たぶん、違うだろう。もっと急ぎたくなってきたのだ。アメリカに叱られたか、北がご乱心なので心配になってきたか、総裁の椅子がぐらついてきたか。


 まあ、ここで一人、騒いでも仕方がない。お手並みを拝見いたしましょう。世論調査とやらは、そろそろ9条改正の賛成が半数を超え始めているとも聞いた。忙しく働いている普通の社会人は、あんな失礼千万な自動音声の電話調査に応えている暇はない。誰が回答していることやら。

 それに、第9条ばかり話題になっているのも変だと思う。この改正草案は、どういう扱いになるのだろう。石破さんから、クレームが出ていたではないか。当方としては、当分の間、他に比較検討する材料も見当たらないし、連続性も大事だから、これまでのように進めますが、いきなり反古にしないでください。


 第五章の内閣に入ります。改めて、この「内閣」という字面を眺めるに、何でこれが行政府を意味するのだろうか。広辞苑(第六版)には、その冒頭に古典的な中国での意味が載っている。

 ?明・清代の国政最高の機関。明初、中書省及び宰相を廃したので、代わって翰林院から才識の士を選んで大学士とし、機密に参与させて内閣と称したのに始まる。のち六部の尚書より選ばれ、権威が高まった。清代には軍機処に実権を奪われた。

 何とも嫌な終わり方をする解説である。さらに専門用語の羅列で、逐一、調べる気になれないが(調べても分からないだろうし)、どうやら非公開の寡頭政治のような感じが伝わってくる。明治憲法時代の枢密院を思い出す。

 さて、時代は変わったことだし、後戻りしないよう祈りつつ、第五章の冒頭は以下のごとし。

【現行憲法】 第六十五条 行政権は、内閣に属する。

【改正草案】 (内閣と行政権) 第六十五条 行政権は、この憲法に特別の定めのある場合を除き、内閣に属する。


 改正草案が加えた部分、「この憲法に特別の定めのある場合を除き」とは何だろうか。全身全霊で好意的に読めば、地方自治のことだろうか。第92条に「住民に身近な行政」という言葉が出てくるのを確認してくだすったか。

 気のせいか、今の国政は地方に優しくないような気がする。ともかく、上記の全身全霊が間違いであるとすると、改正草案は追加で「特別な定め」を仕込んでいるはずだ。見逃さないように、老眼を大事にしよう。今回はこれまで。





(おわり)


近所の花壇にて  (2017年4月6日撮影)





































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