おじさんの雑記帳 

「20世紀少年」の感想文そのほか 寺本匡俊 1960年生 東京在住

4月6日 現金給付案  (第1248回)

次の回で話題にする予定の緊急事態宣言(4月7日)は、国内外の多くの人たちから「遅すぎる」と言われました。なぜ遅すぎると判断するのかは論者により異なるようですが、例えばWHOのパンデミック宣言から日が経っているし、国内で亡くなった方も数十名になっていました。何より、自粛要請が出てから、ずいぶん経っている。

この間、接客業や小売業の店は、うちの近所でも臨時休業や開店休業状態になり、売り上げが減り始め、3月末に向けて、有期雇用契約の更新時期を迎えていた人たちは悔しい思いをした方が少なくないはずです。当然ほかの国々と同様、より厳しい緊急事態宣言とともに、生活保障がなされると期待します。経済先進国のはずでしたから。


緊急事態宣言がここまでずれ込んだ理由の一つは、この収入減を補償するための方策につき、まず食品券にしようとして躓いてしまたため、補正予算案の変更を余儀なくされて、マスクで時間をかせいでいるうちに、日数を浪費したからだと考えています。そう思う理由として、本件の経緯に触れます。

本来、補正予算は一回限りという制約などありませんから、決まったものからどんどん予算計上していく手段もあるのですが、今回は「過去最大」という金額規模を強調したかったのか(気持ちは分かりますが)、それに繰り返せば緊急事態宣言と同時に発表しないと不満が噴出するのも怖いので、現金給付の計上は欠かせないという方針だったと思います。


余りに多種多様な出来事が続いていますので、ご記憶かどうか、最初は「20万円」でした。これが「30万円」になった。ここまでは、給付対象が「減収世帯」単位であり、いつもながら傲慢に「手を挙げたものから」という条件つき。それが現在では「一律10万円」になり、アベノマスクと同様、順番待ち状態です、拙宅も実家も、何の気配もない。

さて、20万円時代の記録を一つ、4月3日付の千葉日報さんの記事。概略、安倍首相と自民党岸田文雄政調会長が同日、収入減の世帯への現金給付額を一世帯30万円とする方針で合意した。

政府は当初20万円とする方針だったが、思い切った支援が必要との首相判断で急きょ上積み。収入がどれだけ減れば支給するかなど詳細な制度設計は決まっておらず、詰めの調整を進め、4月7日にもまとめる経済対策に盛り込み、2020年度の補正予算案で財政措置を図る。


金額が増えるのは、有難いニュースです。マスクでもめた慰謝料でしょうか。詳細な制度設計が決まっていないとあるように、この時点では、収入減の基準や計算方法、「手の挙げ方」や日程などは不明だったように思います。でも、ある程度の詳細は、4月7日に間に合わせないといけません。日本の予算には、積算根拠というものが要求される。

もう一つ、内閣(首相)と与党(政調会長)が、ここで合意しないといけないというのは、なかなか政治の世界の外にいるものには分かりにくいです。政調会長とは自由民主党政務調査会の会長職で、コトバンクによると、同党起案の法案は必ずここを通過する。


予算案も法案ですから、この時点でおそらく、閣僚や高級官僚をなだめたりすかしたりして取りまとめつつあった補正予算案を、急きょ変更する必要があったのでしょうね、きっと。4月6日になると、他の支援策も含めて、対象者・単価・総額などが公表されました。ご参考まで、日経新聞の記事です。

私自身は、もとより収入が不安定なフリーランスですから、この程度の情報では自分が該当するのかどうか全く判断できず、後でがっかりしないように、とりあえず期待せずに待つしかないと思ったのを覚えています。しかし起業したばかりの人などは外されるだろうと考えますから、さっそく不満の声がSNSなどに出ました。


本件は出直しになりましたので、あまり詳しくは書き残しませんが、先のことに少々触れると、上記の「一律十万円」に変更せざるを得なくなり、この東洋経済のオンライン記事によれば「異例の手続き」である閣議決定のやり直しを4月20日に行い、補正予算案の再提出に及ぶことになります。これはまた後の回にて。

補正予算は予定通り4月7日に可決されたと時事通信社の配信にもあります。これが現物の写し。歳入・歳出の内訳表が見やすい。歳入は内訳と呼ぶよりも、全額、国債で調達と言い換えた方が明確です。この借用書、誰が返済するのか。



(おわり)


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散歩道にて  (2020年4月4日撮影)





















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