おじさんの雑記帳 

「20世紀少年」の感想文そのほか 寺本匡俊 1960年生 東京在住

4月1日 アベノマスク  (第1245回)

私のブログにしては近ごろアクセス数が増えているので(テーマがテーマだけに、キーワードが多いからでしょうか)、今回最初に、繰り返しになりますが、念のため一言。私は医療職の資格を持っていないし、政治家ほか公務員でもないし、法律家でもジャーナリストでもありません。素人そのもの。

したがって、ここに書いていることは今回の新型コロナ・ウイルス感染症(COVID-19)に関連して次々と起きている出来事を、自分がどう受け止めて、どう感じ、どう考えたかを記録しているだけです。


なるべく事実関係や科学的な内容にするよう心がけておりますが、今年で還暦ともあってか個人的に言いたいこともあり、多少の直観、推測もそのように明記のうえ書き加えます。人生を振り返る年代ですので、これらも大事です。

主な目的は、世の中のことを勉強するためと、備忘録(次に似たようなことが起きたときに備えて、情報源などを記録に残す)ためです。なぜ、ネットに掲げるかというと、下手なことは書けないし慎重に調べるし、汚い言葉を避けるためにも冷静に考えることが出来るという性格だからです。また、今の仕事とウイルスは、直接関係ありません。


若いころから政治的には無党派層で、むしろ政党より政治そのものに関心が低いという意味では、昔のノンポリに近い。でも投票は続けています。選挙のたびに新聞に折り込みで来る候補者・政党の公約を読んで投票先を決めています。ここ何年間かで自民党にも共産党にも入れました。どの党だろうと私は与党に、しっかりしてほしいのです。

ここにたまたま立ち寄られた方、特にお若い方々は、この感染症の流行、そして日本で世界で起きた騒動の数々に接して、私と同様、これまでになく政治や社会経済に関心を持たれた方も多いと思います。あの政策はまずかったとか良かったとか、諸外国との比較など、いろいろ感じたと思います。


この機に一つだけお願いです。投票に行って下さい。こんなに低い投票率では、有権者も「政治が悪い」とばかり言いにくい。有権者と表現しますが、国民主権憲法である以上、投票は義務でもあると考えます。

私以上の世代は、おおかた貧乏でしたし、戦争も飢饉も革命も無かったので、極論すると経済のことばかり考えてきました。その間、固定票と政治家に任せてきたら、この有様です。よくやっていると言う寛大な人もいますが。


本年4月1日、総理は次の青字の内容を語りました。緊急経済政策に盛り込むと明言してみえますので、お肉券ほかのクーポンは断念し、その変わりにマスクが配布されるという順番です。この発言は首相官邸のサイトに出ています。

来週決定する緊急経済対策に、この布マスクの買上げを盛り込むこととし、全国で5,000万余りの世帯全てを対象に、日本郵政の全住所配布のシステムを活用し、一住所あたり2枚ずつ配布することといたします。


人それぞれ、いろんな感想があったかと思いますが、あれだけ肉や魚の食券ではだめだという議論を世間に盛り上げておきながら、その直後にこれか、と私は思いました。もう一か月以上、自粛自粛と「要請」されて、仕事も外食もなくなり、財布と残高がさみしくなってきたところに、重ね重ねの現物給付による狙い撃ち。

以下は個人的な所感ですが、このマスクを全世帯に配布するという発想といい、他国比あきらかに少ないPCR検査を断固として拡充しない(≒医療従事者にできるだけ負担をかけない)という方針といい、「彼ら」は自分たちが病気にならないよう、なっても困らないよう、われら民草に「病気を映すな、医者には行くな」と発信しているように感じます。


さて、マスクに対する反響は勿論お肉券に続く大ヒット。SNSに各種の怒りとユーモアをこめた投稿がございました。なんといっても、一住所2枚という平均値を取っただけの枚数は、それ以上の人数がいる家にとって、不公平どころか、時には残酷な仕打ちになりかねません。

サザエさんの一家のマンガが出回りましたねえ。見事な作品でありました。このブログでさんざんお世話になっている浦沢直樹画伯の「しょうがねえな」という感じの画も賛否両論ありました。「頑張っているのに」というのも、あのときによく聞いた応援歌でした。私は世代が世代だけに、キングギドラが心配になったです。


未確認ですが海外からも、エイプリル・フールのジョークかという声が届いたと聞いています。もともと外国ではエイプリル・フールは「嘘をついてもいい」というだけの特権日ではなくて、人をだましたり、からかったりしてもよい日です。

ネットで「April Fool mask」で検索するとたくさん出てきますが、道化師の真似をしてデタラメを言うという技もあり、そもそもマスクはハロウィーン同様、この一日のためだけの小道具として認知されているようです。海外では、それに引っ掛けて喜んだひとがいてもおかしくありませぬ。


マスクが2月ごろから品薄になり、このころになると入手困難になっていました。わが家の場合は、たまたま家族にスギ・ヒノキの花粉症がひどい者がおり、東京ではバレンタイン・デーのころからスギ花粉が本格的に飛びますので相当買い込んであって、今なお在庫があります。秋のブタクサにもハウスダストにも弱いので、年間を通しての必需品。

そうでない人達にとっては、マスク配布計画も朗報だったかもしれないので、枚数やタイミングについては一概に否定しません。上記の議事録にもあるように、医療機関優先というのも、当然の方針であります。しかし、しばらく経ってから第二弾の問題が発生しました。予算と品質でしたね。


予算とは、さらに内訳を求めると、一つには総額・単価、もう一つは発注先。この両方に不透明なところがあり、これはまだ、きっちりと解決していません。そもそも、もう一つの品質の問題で、マスク配布作戦そのものが頓挫しましたので、調査や評価はまだ先にならざるを得ない。

個人的には、むかし契約担当の中間管理職をしていたこともあり、特命随意契約の実態に関心があります。大手はともかく、ほとんど誰もが名も知らぬような実績不明の会社に対して税金で特命をやらかすのは御法度です。緊急事態という必要条件は満たしますが、億以上の単位で粗雑な契約を結んだなら、事務次官級のクビが飛んでも知りません。


品質については、まだ拙宅に着いていないので、報道で知っているだけですが、問答無用、言語道断の沙汰があったようです。特に妊婦向けに不衛生なものを送り付けるとは、日本史に残したくない歴史的失策です。他にもサイズや材質(布)が適切なのかという議論もございました。

そして昨日(5月8日)のニュースでは、このマスクの配布が始まっているのは東京都の一部だけだそうで、もうエイプリル・フールから一か月以上経つのに、なんとのんびりしていることでしょう。緊急事態なのに。

私としては今からでも遅くないので出直していただき、近ごろ覚えたエッセンシャル・ワーカー、医療職や介護職、そこに出入りする運送業や宿泊業、冠婚葬祭業の方々や、レジ係や配達員の皆さまなど、濃厚接触が起きやすい職業の人達に、最優先で専用のマスクほか防御用具を完備していただくよう、お金と手間の配分を考え直していただきたい。


地域差がありそうなので、ここ東京での話題としますが(というか私の周囲)、そろそろ一般向けのマスクは、少ないとはいえ店頭に戻りつつありますし、ネットを覗くと単価もまだ高めだが段々と正気を取り戻しつつあるようです。マスクの型紙と裁縫の方法まで、近所の薬局やコンビニに貼ってある。必要は発明の母だ。早く回復・安定しますように。

後世になると分かりづらくなるかもしれないので、子孫のために余計なことを書くと、アベノマスクというのは、どなたが案出したか知らないが珠玉の造語で、現政権ご自慢の経済成長戦略「アベノミクス」のパロディです。そもそもレーガノミクスの改ざんだったのが、変異するごとに危険になり得るというウイルス的な特性を共有しています。



(おわり)



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エンドウ豆  (2020年4月1日撮影)














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