覚えていらっしゃる方もいるのではないかと思う。もう10年ぐらい前だったか、私が若手社員だったころの8月12日に日航機が墜落し、その遺品を展示する会があった。この場には行けなかったのだが、展示品の一部を伝える新聞記事を読んだ記憶がある。
そのうちの二点は手帳だった。いずれも乗務員のもので、女性のキャビン・クルーだったはずだ。その一方はベテランの客室乗務員で、彼女の手帳には日本語と英語で飛行機が不時着したした場合に備え、乗客に緊急避難の方法を呼びかける内容のメモだった。最後までプロだったのだ。
もう一人は、若い女性だったらしい。手帳の最後のページには、同じ言葉がたくさん並んでいたそうだ。怖い、怖い、怖い...。事故を起こした会社は、立場上、そう簡単に公然と亡くなった同僚の慰霊をすることができないだろう。彼女たちの名前も知らない。心の中で手を合わせるほかない。合掌。
（この稿おわり）
ＪＡＬ機の窓から撮影 （2015年夏）
But I can't, so I cry instead. - The Beatles
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