ジョニー・ウィンターが亡くなった。確かアルバムを一枚持っているだけで、大ファンという訳でもないのだが、個性的なギタリストだった。最初はブルース風で段々とハード・ロック的になった。
2011年の春、原発が爆発して外国人がさっさと逃げていく中で、彼は初来日を果たしている。合掌。そうそう、彼はウッドストックに出ていたな。
さて、今回は物騒なタイトルで済みません。書き忘れていた話題の掘り起し。半年ほど前だったか、アメリカ国の何とかいう財団が、人類は資源の枯渇と格差の拡大により死滅するという予言を発表して、ちょっとしたニュースになった。現にいずれも多くの国や地域で大きな政治問題になっている。
したがって財団の着眼点は悪くないと思う。でも私は結論には賛成しかねる。なぜなら歴史の授業で教わった先輩人類の実績によると、古今東西、資源が不足したり貧富の差が拡大して我慢の限界を超えると、速やかに戦争や革命やクーデタやテロを起こして、乱暴な言い方をお許し願いたいが、適正人数をこの世から放逐してきた成功例が無数にあるからだ。
アリンコにしろサルにしろ、集団生活をしている野生動物も、わしらほど残虐ではないにしろ似たようなことをしているのではないか。種に生き延びる気力と体力がある限り、自動調節機能が働くだろうと思う。文理で分ければ、今回の財団の推論を出したのはたぶん文系で、社会学や経済学の勉強をし過ぎたに違いない。
高度成長の時代に育った我々は、むしろ理系的な事由により人類は滅亡するかもしれないと、散々小学館らに脅かされてきた。その実例の一部は第1集の61ページから出てくる。題して「恐怖! 地球滅亡の日」とあり、秘密基地内でケンヂとマルオとヨシツネが漫画雑誌を囲んで議論中である。
この場面で心配されている未来の事態とは、(1)宇宙人の大襲来、(2)太陽の爆発、異常高温、地面が全て水没、(3)第3次世界大戦で原水爆の死の灰に覆われる、(4)大気汚染、(5)巨大隕石の衝突である。
ケンヂは全て「俺は戦う」と茶々を入れているうちに、他の二人からどうやって戦うんだと問い詰められて、大人になったら何とかと逃げている。話を振られたオッチョはウッドストックの話題でごまかしている。
実際はケンヂ発案の巨大ロボットと、オッチョが無断借用した生物兵器の組み合わせで地球の危機が来るという筋で落ち着いたのだが、大人になったら何とかなるアイデアにしておいて良かった。
(1)宇宙人大襲来のコマには、「こんなの、あるはずないよ」というセリフが書き込まれており、映画ではドンキーにこれを言わせていたが人選ミスであろう。漫画では後ほどドンキーは秘密基地の閉館式典において、宇宙人が攻めてきたら月面の前線基地にこれを立てるんだと言って旗を持ってきている。
彼ほどの科学の知識と愛着を持つ少年であるならば、宇宙では地球も平凡な惑星であり、星の数ほど星がある以上、人間と同じような生物がいても不思議ではないことくらい分かっているはずだ。いないと考える方が非科学的である。たくさんいるならホモ・サピエンス以上に凶暴で科学技術を発展させ、しかも腹が減っている連中が来てもおかしくない。でも現実味がないね。確たる前例に欠けるから。
(2)の太陽の爆発は近い将来はないだろうが、遠い未来にはまず避けられない運命だろう。爆発の前に太陽はベテルギウスやアンタレスのような超巨星にふくれ上がり、内側の惑星から順番に飲み込んでいく確率の方が高そうだ。ただし、私が生きているうちはたぶん大丈夫だし、戦う余地もない。
(4)の大気汚染は、当時の公害のひどさを知っている世代でないと実感がわかないかもしれない。人間もいろいろ学んできたので、局地的にはともかく全人類が環境問題で死滅するとは思わない(逆にそこまでひどいなら、他の生物のためにも死滅しなくては顔向けができない)。
ということで近いうちに実現するとしたら、(3)の世界大戦か(5)の隕石だ。なんせ過去にも複数の実例があるのだから。アインシュタインが残した言葉はよく知られている。「I know not with what weapons World War III will be fought, but World War IV will be fought with sticks and stones.」。
これによると第4次は草野球みたいになるらしい。しかし流石の博士も、第3次で人類が滅亡することはないという前提で語っておられる。だいたい欲の皮が突っ張った先進国が戦う、つまり殺しあう(気の毒だが近隣国が戦場になる)のだから、理屈ではまともな人種ほど残りやすいはずだ。環境問題と同様だろう。自然に親しむ人たちが残る。
かくして隕石が最終候補に残った。前も書いたが私はアリゾナの大隕石孔を歩いて渡ったし、ユカタン半島の先端にも行って来た。この半島の沖合に落っこちた隕石が中生代の覇者、恐竜やアンモナイトを滅ぼしたと我らが子供のころから言われており、その後も強力な反証や新説は出ていない模様である。
空気がきれいな所で晴れた夜に、目が暗闇に慣れるまで空をながめていれば、まず間違いなく流れ星の一つや二つはすぐ見える。あれの大きめの奴が、いつ降って来てもおかしくない。むしろ、人類史上、はっきりと記録に残っているほどの大物が来ていない方が不思議なくらいだ。つまり、そろそろいらっしゃるかもしれない。
ただし、第1集の(5)では隕石の落下により「地球の重力がくるい、人類は最後の日を迎える」となっている。重力が狂うとは、どのような現象だろうか。質量が極端に増えるか減るかしない限り重力はそれほど変わるまい。
そんな巨大な隕石が、というか小惑星のレベルだろうが、ぶつかってきたら重力の心配以前の問題で、ぶつかって間もなく空気と食糧が消えてなくなるだろう。まあ、これも資源の枯渇か...。
私は正直申し上げて、現時点では地球の平和や人類の存続よりも、この日本の行く末のほうが遥かに心配である。なにより恐ろしいのは、当面、防ぐにも防げない少子化と人口減少である。
そう遠くない現代史の教科書などに、昭和生まれは日本の衰退を招いた世代などと書かれてしまうのではないか。少なくとも男の晩婚化は私やケンヂの年代から顕著になった。オキクばあも減った。
私は雇用関係の仕事をしているので、そういう側面から「俺は戦う」しかあるまい。愛と平和も良いが、目の前の問題を片付けるまでは一時中止だ。今日から私の仕事場は基地と呼ぼう。
追記: 今回の下書きは冒頭を除き一週間ほど前に書いたものだが、昨日、マレーシアの飛行機が撃墜された。何度も乗った航空会社であり、信じがたい思いである。
東アジア・東南アジアの領土問題も、パレスチナとイスラエルの数千年戦争も、EUの移民や不法入国の問題も、収束の気配すらないではないか。生まれてこの方、今が一番きな臭い感じがする。嫌な予感がする。
(この稿おわり)
1965年ごろ。昔はそこら中に子供がいたのだ。
左下のヨシツネ的なTシャツ小僧がわたくし。
I'm a shooting star leaping through the sky
like a tiger defying the laws of gravity.
俺は天かける流星号 重力に縛られない虎
”Don't Stop Me Now” Queen
フウセンカズラの花は可憐なり。
(2014年7月5日撮影)
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