おじさんの雑記帳 

「20世紀少年」の感想文そのほか 寺本匡俊 1960年生 東京在住

T-REX     (20世紀少年 第7回)

 
 1990年代に大ヒットした映画「ジュラシック・パーク」を観て、またそのあとで原作の小説を読んだとき、中生代の百獣の王ともいうべきティラノサウルスが、盛んに「ティー・レックス」と呼ばれているをみて、このバンドを懐かしく思い出した。

 ロック・バンド「T.レックス」、それから「20世紀少年」という彼らの曲については、詳しい解説を載せているサイトがたくさんあるようなので、私は雑談程度の思い出話だけにする。

 
 私もロックはよく聴いた。毎日のように聴いていたのは、中学校から大学までと、アメリカで暮らしていた30歳前後の約5年間。ロックにもいろいろあるし、全部聴きたくても金や時間の限界もある。

 今ではネットから楽曲単位でダウンロードができるし、レンタルCDもあるし、それほどお金もかからない。合法かどうか知らないが動画サイト等で、古今の名曲を好きなだけ聴くこともできる。


 ところが、私が若かった遠い昔は、ネットもなければテレビでロックを聴ける時代でもなかったから、手段はおのずから限定される。(1)自分でレコードを買う。(2)友達にレコードを貸してもらうか、カセットに録音してもらう。(3)オッチョ少年のようにラジオで聴く。

 いずれも限度がある。(1)の自己負担。当時の多くの家庭と同様、私の実家も次々とレコードを買えるほどの小遣いは出ない。私の場合、中学・高校では、ほぼ全額をビートルズに使い果たした。

 また(3)のラジオは、どの局でいつどんな曲を流すかを知っていて、その時間にラジオの前にいる必要があった。ほとんどは体育会系の部活に通っていた私にとって、ラジオはロックの安定供給源ではなかった。


 残る(2)の友達ルート。今にして思えば、これが範囲といい量といい、私にとって最大のロックの「音源」であった。ビートルズボブ・ディランも、そうして知った。

 もっとも、私の周囲にはなぜかレッド・ツェッペリンとかキング・クリムゾンとかピンク・フロイドとかいった、ブリティッシュハード・ロックのファンばかりで、やや毛色の違うT.レックスを借りた覚えがない。


 アメリカ駐在時代はラジオを聴きたい放題だったし、カセットも安く買えたので、いろんなロックバンドを聴いた。その中にT.レックスも含まれていたはずで、代表曲は少しだが知ってはいる。

 しかし、これは好みの問題なのだが、T.レックスや若いころのデヴィット・ボウィ等、いわゆるグラム・ロックというジャンルに含まれていた人たちを、私はあまり好きになれなかった。サウンドがどうのという以前の問題で、化粧や衣装や歌い方が気に入らないという、食わず嫌いで済ませておりました。

 この漫画を読まなかったら、あるいは生涯、マーク・ボランの歌声を再び耳にする機会はなかったかもしれない。T.レックスと聞いても、恐竜の名かと思うだけだっただろう。ティラノサウルスは、英語の「tyrant」(暴君)と語源が同じらしい。サウルスはトカゲ、レックスは王様だから、暴虐蜥蜴王とでも訳すのかな。



(この稿おわり)




まだ恐竜の撮影に成功していないので、かわりに伊豆半島のトンビ 
(2011年5月10日撮影)























































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