おじさんの雑記帳 

「20世紀少年」の感想文そのほか 寺本匡俊 1960年生 東京在住

憲法と社会 (2016年~2022年の過去記事の再掲)

戦争を知る人がいなくなったとき  (第1391回)

しばらく更新が途切れたのは、やる気をなくした訳ではないのだが、日本国憲法と自民党憲法改正草案を長いこと読んできたので、憲法疲れしてしまった。また、特に野党の混乱が酷かった総選挙が、結局、何も政治を変えていない気がして、うんざりしている。お…

内閣総理大臣所信表明演説  (第1390回)

憲法改正に関連して、ここでは前々回に自民党の「Q&A」、前回は衆議院の基礎的資料をアップしました。もう一つ、最近の情報として今月(2017年11月)の17日、「第百九十五回国会」(今般の衆議院解散総選挙に伴う特別国会)において行われた「安倍内閣総理大…

日本国憲法前文に関する基礎的資料 - 衆議院  (第1389回)

十年以上前の資料ですが、今回のタイトルそのままで検索していただくと、PDFファイルが出てきます(今のところ)。私は明日からしばらく資料を読む暇もなくなりそうなので、更新を再開する前に、取り急ぎアップだけしておきます。興味ある方は、ぜひご覧くだ…

Q&A  (第1388回)

正確には「日本国憲法改正草案Q&A(増補版)」という。増補する前のも見て見たかったが、どうやら削除されているらしい。URLはこちら。 http://constitution.jimin.jp/faq/ この表紙が面白い。これは参議院の本会議場だ。憲法では衆議院が優越となっているの…

ツァラトゥストラ  (第1387回)

二―チェの主著の一つ「ツァラトゥストラかく語りき」は、私の場合、遠い昔に買った中公文庫「ツァラトゥストラ」(手塚富雄訳)が、今も拙宅の本棚にある。手塚さんはゲーテやリルケなどのドイツ文学の翻訳をなさっていた。 「ツァラトゥストラかく語りき」…

不戦の誓い  (第1386回)

公私ともに忙しくて、更新が遅れました。理由は他にもあり、先週末の選挙に疲れた。選挙結果にではない。その前後に繰り広げられた与野党の政治家、マスコミ、言論人、ネット・ユーザーらの罵詈雑言の嵐に疲れた。一言ぐらい言い返さないと気が済まない。衆…

なぜ警察や消防は憲法に書いてないのか  (第1385回)

どうしても憲法第9条に自衛隊を明文化したいらしい。これを支持する人々の論法は、しばしば「憲法9条で国は守れない」というものだ。確かに、例えば憲法でミサイルの迎撃はできない。では、明記すればできるのか。 論点が多くなりそうなので、今回はすぐに考…

雑感  (第1384回)

ひととおり日本国憲法を自分なりに読み終えて、これからは一般向けの本やサイトに目を通しながら、もう少し詳しく勉強するつもり。それを始める前に、憲法の初等教育を終えた雑感をまとめる。明日は大事な総選挙ですから。 以前、アメリカの憲法と比べてみた…

国民  (第1383回)

最後の条文のところまで来た。正確には、憲法はこのあとに「第十一章 補則」があり、改正草案には「附則」がついているのだが、ざっと見たところでは、改正前後の経過措置のようなものらしいので、いまは細かく読むのを控えます。 今回のタイトルを国民にし…

なぜ最高法規か  (第1382回)

言うまでもないだろうと言われそうなタイトルを付けた理由は、これから書きます。このあたりは改正草案の章も条も、番号がずれているのでややこしいが、いずれにせよ「最高法規」という名の章における冒頭の条文が今回の話題。 いまの憲法は二か条ある。改正…

誰の名においてか  (第1381回)

どういう政権ができて、どういう憲法改正の動きになりそうなのか、訳が分からんようになってきた。想像ですけれども、追加変更が第9条だけで終わるとは思っていないので、先を急ごう。改正条項の最後の箇所。 【現行憲法】第九十六条 二 憲法改正について前…

何の過半数か  (第1380回)

先日、議長は「憲法第7条により解散」と言っていたが、国事行為の行動主体は天皇であり、これは陛下のみが口にできる言葉なのではあるまいか。まあ、こういうふうに、ずっといい加減にやってきたのだろうな。放置した責任はこちらにある。 自由も希望も見込…

発議  (第1379回)

解散するのですか。私はここで何回か書いたように、政局に関心は薄く、性格は根っから保守的。ただし、仕事に関係があるから、憲法や民法や労働法の動向は意識的に追っている。 だから、本来は保守政党にしっかりしてもらっていれば文句はないのだが(ほとん…

改正  (第1378回)

正しく改めると書く。現憲法にその前例はないが、改めるときは、より正しいものにしなくてはならないし、私たちとしては「誰にとって、正しいのか」を注視しないといけない、ということを自民党改正草案は教えてくれます。さすがは最大与党だ。 今回はいまの…

基本的人権ランキング  (第1377回)

何かと話題の多い緊急事態条項ですが、とりあえず今回で一区切りします。改正草案の第99項第3項案を引用する。「何人も従え」という相当、高圧的な憲法を志向している。内閣総理大臣は、よほどの人物である必要がある。(緊急事態の宣言の効果) 第九十九条 …

打ち出の小槌  (第1376回)

引き続き、憲法改正草案の緊急事態条項(第98条・第99条の案)について、こちらも負けずに言いたい放題を続ける。前にも似たようなことを書いたが、ここは「彼らの正体」を知るうえで宝の山です。今回だけでは終わらないほど。 本日は国家予算に関すること。…

あとで宜しく  (第1375回)

もう二年くらい前になると思う。何がきっかけになったかすら覚えていないが、一生に一度ぐらいは、憲法改正の議論をしてみたいと、ブログかSNSかに書いた覚えがある。議論の結果、変わらなくてもいいから、多くの人と憲法の話をしてみたいというロマンチック…

国会法 第六十八条の三  (第1374回)

国会法や国民投票のことについては、後段(第96条)に憲法改正の条項が出てくるので、その際に話題にするつもりでいるのですが、どうしても、これだけは緊急事態の箇所で触れておきたいというものがある。 今回は、改正草案の緊急事態条項を、全部は引用しな…

地方自治について【後半】  (第1372回)

前回の続き。もう一度、同じ箇所を引用します。【現行憲法】第九十三条 地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する。 二 地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、…

地方自治について【前半】  (第1371回)

第七章「地方自治」の後半に入ります。今回は長いので、前半と後半の二回に分ける。相互に関連する条項が多いからでもあるが、前回と同様、改正草案の口数が多い。なぜ地方自治と、関連して財政については、こんなに関心が高いのだろう。本日の箇所にも、新…

基本  (第1370回)

これから第七章の「地方自治」に入ります。私の情報不足かもしれないが、地方自治に携わっている方々からの本件に関する意見というものを、あまり聞かない。これはもしかしたら当方が東京に住んでいるからであって、地方の議会や報道では話題になっているか…

会計検査  (第1369回)

今回は第七章「財政」の最後に置かれた二か条です。会計検査というのは、一般に国民にとって余り身近なものではないと思う。詳細は書けないが、私は会計検査院に呼び出されたことがある。ただし、「容疑者」としてではなく、一応「被害者」の側だったのだが…

皇室と宗教に関する財政  (第1368回)

今回は少し強引な展開になるかもしれない。報道によると、わが首相はまた改憲についての言い回しを改めており、「日程ありきではない」と仰ったらしい。今までは、日程ありきだったらしい。内閣にお家騒動が相次ぎ、このままではお取り潰しではという危機感…

毎年度会計  (第1367回)

財政の章において、改正草案は第86条に新しい項を三つも新設した。他に例を見ない。よほど言いたいことがあるらしい。間もなく内閣の改造があるそうで、どうやら財政の担当大臣A君は留任するらしい。改正草案にも尽力された由、彼の主張として聞こうか。現在…

今日も頭がもつれている  (第1366回)

はたして、どうなるのでしょうね、憲法改正のお話しは。国会議員や報道機関にとっては、それどころではない疑惑や不祥事が多いようで、いま自民党の改正草案がどういう位置づけになっているのかさえ、私には分からなくなり申した。 しばらく様子を見ていたの…

ここからはお金の話  (第1365回)

憲法の第七章は「財政」です。前回、改正草案では、ここに追加新設の条項が多いと書きましたが、さっそく冒頭の第84条からお出まし。いつものように並べます。【現行憲法】第八十三条 国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければな…

しばらく休んでおります  (第1364回)

第六章の「司法」が終わったのを機に、しばらく休みました。これは主に、別のサイトで「伯父の戦争 祖父の人生」というテーマで集中的に書いていたため、余力が無かったからです。 このあと第七章が「財政」、第八章が「地方自治」です。一休みのもう一つの…

遠い夜明け  (第1363回)

あれと言う間に、通常国会が終わってしまった。憲法改正も宙に浮いたままで、少なくとも強引にどこかへ進むほどの余裕がなかった。それより、個人的に不気味に思うのは、教育のことだ。 今年に入ってから、事が多い。教育勅語の幼稚園の話から、口利きと公金…

分を弁える  (第1362回)

最初に、前々回から前回にかけての話題で、書き忘れたことがありましたので追記。前々回、「分限」という言葉について書いたものを再掲します。 「分限」という言葉が、改正草案の追加事項として出てくる。人事院のサイトに、分限制度の概要説明がありました…

国民審査  (第1361回)

先日、「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律」が成立しました。長すぎて覚えられない。改正後は、治安の維持が目的なのだから治安維持法と呼んでほしい。叩き壊された過去の法律と全く同じでは紛らわしいなら、シン…