おじさんの雑記帳 

「20世紀少年」の感想文そのほか 寺本匡俊 1960年生 東京在住

2022-01-01から1年間の記事一覧

それでも、日本人は「戦争」を選んだ  (第1925回)

ブログを引越し、そして久しぶりの更新です。引越も更新も間が空いたのは、まず私自身の情けない体調のせいで、長いこと体調不良に苦しみ、僅かな仕事しかできなかったこと。今回はその病床で読んだ本の紹介です。遅れた理由はもう一つあって、憲法改正の話…

国家安全保障会議  (第1924回)

私はこのブログを書き始めた一昨年(2016年)まで、憲法や軍事にほとんど関心が無かった。このブログとて、何か高尚な動機があって始めたわけではなく、何だか世間で憲法改正がどうのこうのと話題になっているようなので、これを機に少し勉強しておこうかと…

海兵隊  (第1923回)

このブログの更新が滞っております。主な理由は、珍しく仕事が忙しいのと、別のブログでも忙しいのと、しかし最大の理由は、憲法改正の話題に窮しているからです。総裁選が終わり、さあ改憲だと威勢が良いが、どういうふうに変えたいのか、さっぱり分からな…

赤の十月  (第1922回)

最近このブログを見た旧友から、「お前はもっと保守的な奴だと思っていた」と言われました。一方で家族からは、はなから保守的な人間と認定されています。自分でも、性格的には保守そのもので、世の中や己の生活が急変することを好まず、少しずつ快適になっ…

私は真珠湾を忘れない  (第1921回)

今回は、第二次世界大戦が本題ではなくて、ここは憲法のブログですから、第10章の「最高法規」についてです。第10章 最高法規 第97条 この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多…

ゲリマンダーたち  (第1920回)

本年3月5日の自民党党大会で方向性が定まったとされる「改憲4項目」のうち、まだ一つ、私の苦手な選挙区の条文案が残っている(第47条)。 該当の条項を、①現憲法、②2012年の憲法改正草案、この③「改憲4項目」の順番で並べてみる。まず、一目瞭然で、どんど…

現行憲法無効・明治憲法復元  (第1919回)

先回、「吉田の自由党には、同時期に岸信介と辻政信が国会議員として所属していました」と書きましたが、これだけでは不親切、無責任かなと思いましたので、今回はその補足です。このブログは政治批判や人物評が目的ではないので、事実関係を主とします。 ま…

殺生  (第1918回)

今回は雑感です。いつも政治の批判では疲れます。このようなブログを書いていて大丈夫かと、複数の知り合いに心配してもらっています。私は薄利多売の個人事業ですので、本来は政治と宗教の話題は、できるだけ避けた方が賢明なのです。でも権力中枢にいる政…

道徳教育勅語  (第1917回)

宗教学者の山折哲雄氏の講演を、何回かお聴きしたことがある。ご本人によると、オウム真理教の教祖麻原と対談したことがあり、サリン事件のあとでマスコミから取材を受け、宗教学者なのにその危険性が分からなかったのかと詰問されたらしい。こう答えたそう…

改めて教育基本法のこと  (第1916回)

教育基本法の改正については以前の記事において、「ミニ憲法」というタイトルで話題にしている。ミニ憲法というのは当方の勝手な造語で、この改正教育基本法(2006年施行)が、自民党の憲法改正草案(2012年公表)の、特に、前文案と似た言葉が多いからだ。 …

教育について再考  (第1915回)

複数のネット情報を基に言及した自民党の「改憲4項目」(本年3月25日の党大会で取り扱われと報道されているもの)のうち、自衛隊および緊急事態については既に論じました。残る二つは、定数是正および教育に関連するもの。太字で転載します。①と②の番号のみ…

自分らしく生きる  (第1914回)

近年、実によく聞く言葉です。試しに検索すると、無尽蔵に「自分らしく生きる」を人生訓なり願望なりにしている人たちがいるようです。私には今ひとつ意味が不鮮明なのですが、忖度するに、どうにも窮屈な毎日で思い通りにいかないので、邪魔されずに生きた…

災害は緊急事態ではないのか  (第1913回)

前々回の続きで、今年3月に自民党が取りまとめたという憲法改正案に関する報道のうち、どうしてもどうしても新設したいらしい緊急事態条項を転記します。「第73条の2」になっているのもご注目。直前の第73条は内閣の事務に関する規定であり、緊急事態は、内…

代議士先生  (第1912回)

現時点で、私は辻政信という人に個人的な恨みはない。伯父がマリアナで戦死したころ、彼は重慶やインパールに夢中だたはずで、直接の関係者ではない。それにしても、多くの戦史に出てくる彼の所業は、とっくに死んでいる人なのに(正確には行方不明だが)、…

第9条の2 ?  (第1911回)

前回の更新ですので重複あり。憲法改正案の最新情報がないため、勉強に支障を来しております。見つかるまで、過去を振り返ってみる。去年(2017年、平成二十九年)の12月20日付で、「自民党憲法改正推進本部」という組織名の資料がネットに公表されている。 …

前法と後法  (第1910回)

たまたま本ブログに立ち寄られた方へ、過去も何回か念のため書いているのですが、私は法律家ではありません。司法試験は受けたこともない。大学のときは経済専攻で、民法や商法の単位を必要最低限、取ったぐらいの関わりしかない。あとは、今の仕事との関係…

「おじさん」的思考  (第1909回)

今回のタイトルは、このブログにぴったりの書籍名。著者は内田樹氏。内田さんの本は、たぶん最初に「下流志向」を読んだと思う。私は教育関係の仕事をしていないが、社会保障に関わっているので、社会問題全般に関心があって手に取った。その直後に、新聞に…

正岡子規と明治憲法  (第1908回)

以前も同じようなことを書いたのですが、他のブログに書いたものを、せっかくですので転載します。 本日は憲法記念日です。おかげで休める。この連休はやることがあるので働いているのだが、今朝の東京は嵐だったので、休む。ひとは今日、いまの憲法について…

【図説】太平洋戦争  (第1907回)

書籍の題名です。太平洋戦争研究会著、河出書房出新社。1995年2月20日に初版発行。題名の通りで、先の大戦のうち日米戦が対象になっており、真珠湾攻撃から始まる。ただし、それ以前の日中戦争も、若干の記事があるし、巻末の年表に含まれている。表紙裏の地…

基地と原発  (第1906回)

最近、我が国の領土や領海で、米軍や自衛隊の事故が増えているような気がする。私は報道を通じてしか知り得ない事柄なので、事故の件数ではなく報道の回数が増えただけなのかもしれないし、偶然、私の目にとまった数が増えただけなのかもしれないが。 一方で…

安保法制の落とし穴  (第1905回)

どうも私の文章はくどい。最近の投稿を自分で読んで、そう思った。ここでの本の紹介は、営利目的ではないから、あっさりで良い。今はネットでいろんな感想や意見が読めるし、まずは図書館で借りても良い。ということで今後は、こういう本があるという端的な…

空気  (第1904回)

いま大流行りの「忖度」という言葉は、たぶん何年か前に流行した「KY」の「K」と似たような意味合いで使われているように感じる。ただし、以下は私見ながら、忖度というのは、辞書的な語義としては、人の心を推し量るという、どちらかと言えば良い語感を持つ…

もう一つの「戦争論」  (第1903回)

クラウセビッツでもないし、小林よしのりでもない。坂口安吾が昭和二十三年(1948年)に、雑誌名だと思うが「人間喜劇」に発表した論評。終戦の3年後だ。私が持っているのは、新潮文庫「堕落論」に入っているもの。 学生時代は安吾が好きで、寒い京都の冬、…

文章読本  (第1902回)

もしかしたら、ご迷惑をおかけした方がいらっしゃるかもしれないので御詫びからです。事務的なミスをして、URLを変更せざるを得なくなりました。タイトルやこれまでの記事など、他は全て変更ありません。 今回は少し趣向を変えて、ご案内したい書籍は丸谷才…

ミリタリー・コントロール  (第1901回)

雑誌「ざっくばらん」の巻頭論文20選という副題のついた「天下国家を論ず」という本がある。奈須田敬著、並木書房(著者の会社)、2011年7月発行。その時期だったから、あとがきに、「現実は見るとおりの悲惨さ」、「日本国民は肩をこすりあわせて生きのびて…

異常な法秩序に突入したこの状況  (第1900回)

本日の題材にする書籍は、「『憲法改正』の真実」(集英社文庫)。憲法学者の樋口陽一と小林節の対談集。タイトルは、この本の序「はじめに」に置かれた、樋口さんの発言から採った。 本書はすでに読まれた方も多いかと思う。まだの方は、今からでも遅くない…

目的と手段  (第1899回)

池上彰「超訳 日本国憲法」(新潮新書)という本がある。2015年4月20日発行。池上さんは、私の子供が子供だったころ「週刊こどもニュース」のお父さんをやっていて、日曜日の夕方だけは休もうと決めていたころだったため、ときどき観ていた。NHKがお長いだけ…

新聞雑誌が売れなくなったとき  (第1398回)

最近は書評欄になっています。今回は辻田真左憲著、「大本営発表」(幻冬舎新書)。タイトルだけでは、憲法改正との関係が見えにくいかもしれないので、ブログのタイトルから補足を始めている。 すっかり日本語の慣用句とし定着した大本営発表。大本営そのも…

ガラスの地球を救え  (第1397回)

もう一回、手塚治虫にお出ましいただく。「ガラスの地球を救え」は「光文社智恵の森文庫」から、1996年に刊行された。サブ・タイトルに「二十一世紀の君たちへ」とある。もっとも、手塚本人は発行前の1989年に亡くなっている。 青少年の時代に、私が大きな影…

一日一条  (第1396回)

本日のタイトルは文庫本の副題で、その本題は「読むための日本国憲法」。東京新聞政治部編。東京新聞は、中国新聞の東京支社が発行する日刊の新聞で、他の地方の方々が読めるかどうか知らないのだが、ネットにもニュースを流しているので是非いちどご覧くだ…