おじさんの雑記帳 

「20世紀少年」の感想文そのほか 寺本匡俊 1960年生 東京在住

2014-01-01から1年間の記事一覧

ロバ (20世紀少年 第891回)

これまでも書きたい放題に書いてはきたが、これからは筋の展開に沿わなくても、好き放題に個別のテーマを選べる。何ともありがたい。記念すべき第一回は、ドンキーにちなんでロバの話題。 漫画の中の世界では、本名の木戸三郎という名字を、銀座をザギンと呼…

伏線 (20世紀少年 第890回)

今回の私は大まじめですが、結果的に主に若い人の言葉づかいを批判することになるので、そういう老いの繰り言のようなものがお嫌いな方はご遠慮ください。さらにいうと「あまちゃん」とその作家がお好きな人は読まないでください。 下巻の最後まで感想文を書…

”ともだち” (20世紀少年 第889回)

ページ順で書いていた最後の頃は、どうも細部にこだわり過ぎたようで木を見て森を見ず。あれでは感想文というより漫画文献学みたいになっていた感じがする。もう少し全体的な読後感を書きたくなった。例によって、とりとめもないが。 だいたい、最初のころ「…

エピローグ (20世紀少年 第888回)

下巻最後の一頁半はガッツボウルだ。悪くない。”ともだち”の嘘が混じったヴァーチャル・アトラクションで終わっては後味があまり良くないだろう。最後は景気の良い現実のお話しで締めくくりたいものである。 登場人物も申し分なく、私の好きな神様とコイズミ…

20世紀少年 (20世紀少年 第887回)

中学生のケンヂが楽曲「20世紀少年」をオンエアしたときの思い出話は第7集に出てくる。その日付は「よげんの書」に出てくる2000年12月31日。マルオが運転するトラックでダイナマイトを搬送しているときのことだった。 そのときのケンヂの記憶では、ユキジに…

カツマタ君 (20世紀少年 第886回)

下巻も残りあと数ページというのに、未だ片付いていない宿題がある。いずれも大事な問題であるのに、答えが出ないまま終幕まで来てしまった。未解決の大きな疑問は三つ。基本的にページ順で書いてきた感想文は、次の点で歯切れ悪く終わりそうだ。 疑問とはつ…

位置関係 (20世紀少年 第885回)

屋上で二人の生徒の大事な会話が始まる前に、他の人にはどうでも良いかもしれないサイド情報の整理を試みる。どうでも良いと書いたものの、少しは関連するかもしれないので記録します。最終場面で屋上にいた三名、すなわち大人と中学生のケンヂ、ナショナル…

何も変わらなかった (20世紀少年 第884回)

余談から始めます。第2集によるとユキジは、「こんな連中と関わってたら、本当にお嫁にいけない」と悟りを開いたはずだった。ところが自ら関ってしまい、案の上、お嫁に行けないまま今日に至る。 ところで2年ほど前のことだったか、私以外は三十代の知り合い…

こんな世の中 (20世紀少年 第883回)

私が生まれ育った静岡では、カツマタさんという苗字は決して珍しくない。学校や近所に何人かいた記憶がある。漫画の悪役ぐらいならまだしも、三年ほど前にはうちを所轄する電力会社のトップであるカツマタ君が世間の大顰蹙を買い続け、今般は同姓の男が女の…

ヘタクソな歌 (20世紀少年 第882回)

キリコの次に登場するのは、お久しぶりの仲畑先生である。彼は泣き虫ではあるが根性と優しさという医療職に欠かせない資質の持ち主でもあり、北海道や埼玉で悪のウィルスと戦い続けて来た。 ワクチンの大量生産を始めた際にキリコに気合を入れられてしまった…

アフリカの夢 (20世紀少年 第881回)

下巻の174ページ目から175ページにかけて見開きの一コマがあり、砂煙を上げて四駆らしきヴァンが砂漠のような大地を疾走している。次のページに場所の名が出てくるが、ここはアフリカ大陸だ。 左ハンドルを運転中の蝶野氏が、ここは昔、川だったようだと推測…

屋上への階段 (20世紀少年 第880回)

先日、イギリスのテレビ・ドラマ「シャーロック」を観ていたら、主人公のホームズがゴルフやビリヤードのような硬いボールを脇に強くはさむと腕の血流が止まり、手首で測れるはずの脈拍が一旦、止まると主張する場面が出てきた。 ワトソン先生もつい騙された…

バンコク ばんざい (20世紀少年 第879回)

さすがはオッチョだ。下巻の153ページ、ヨシツネが国連で「オッチョというのも、あだ名でありましてえ」と冴えないスピーチを続けている最中に、場面は別の外国に切り替わる。タイの首都バンコクの繁華街だ。 これを書いている時点で、現実のバンコクには戒…

花嫁になる君に (20世紀少年 第878回)

今でも元気を出したいときはロックを聴いているが、ときどきガキだったころに活躍していたフォークの詩人たちの言葉を聴きたくなる。スリー・フィンガーズ・ピッキングも聞きたくなる。今日のタイトルは吉田拓郎の曲から拝借しました。 「お料理を習うのも …

もしも もしも (20世紀少年 第877回)

ケンヂ少年のお詫びも終わった。謝って済むなら警察は要らねえ。そういうふうに昔の大人はよく怒っていたものだ。結局、済むんだな、これが。激怒して、でもその場限りで事を収めるというのは、狭苦しい社会においては大切な知恵であった。 それにどっちみち…

世界ツアー (20世紀少年 第876回)

今朝の東京久しぶりに雨らしい雨が降っております。昔の子供にとっては、「遊べない日」であった。 ロックに定義はないと遠藤ケンヂはいう。だが私は体調不良のため全休するようなものをロックとは呼ばない。どうぞお大事に、ポールさん。 ヴァーチャル・ア…

サダキヨの引っ越し (20世紀少年 第875回)

下巻159ページ。急用があってヴァーチャル・アトラクション(VA)をパンチアウトしたケンヂは、一仕事終えてVAに戻って来た。時代設定は1970年の夏、出迎えてくれたのは夜の神社で会ったことなどを覚えていたケンヂ少年で、どこに行っていたのと不思議がって…

隊長さんのスピーチ (20世紀少年 第874回)

あと残り二話となりました。下巻第7話の「ごめんなさい」に入る。「21世紀少年」は主人公の謝罪漫画みたいなものだな。最初のシーンは国連。この組織が送り込んだ軍隊が日本では言いたい放題であるとともに、敬礼を無視され放題だった。 しかしここでは、お…

ハレンチ学園 (20世紀少年 第873回)

は‐れんち【破廉恥】 (1)恥を恥とも思わないこと。恥知らず。鉄面皮。厚顔無恥。「−漢」 (2)不正不徳の行いをすること。「−な振舞い」はれんちざい【破廉恥罪】 窃盗・詐欺・贈賄・収賄など、道徳に反する犯罪行為の称。 (以上、広辞苑・第六版より)…

出足払い一本 (20世紀少年 第872回)

一旦、感想文だけでアップしたのだが、肝心なことを書き漏らしたので追記する。駒野が代表の選に漏れた。4年前のワールド・カップ、命運をかけたPKを外した後のインタビューで彼は、もう一回蹴るかと言われたら蹴りたいと語っていたものだ。 武運つたなく駒…

包丁 (20世紀少年 第871回)

ただいま岩手県にいます。道に迷った挙句にバスの中。この紀行文はまたいずれ書きます。 さて、銃器は我が身を守るためのものであるという全米ライフル協会の長年にわたる主張にも拘わらず、報道による限り凶器の犠牲になっているのは主に生徒や学生や先生で…

四文字言葉 (20世紀少年 第870回)

長編のマンガやアニメでは、しばしば最終回に昔懐かしい登場人物が集合して、最後の顔見世をしてくれることがある。「あしたのジョー」では金串や青山がメンドーサとの決戦を観に来たし、そして黒いダイアモンド、カーロス・リベラの姿もあった。 アニメの「…

お前の柔道 (20世紀少年 第869回)

大型連休も終わり。仕事と体調のせいで、ほとんど外出しませんでした。さて、下巻も112ページまで来た。マンガ家の皆さんが息を切らせて走っている。歩道の鉄柵が民家の屋根と同じくらいの高さなので、どうやら高架の坂道を駆け上がっているらしい。3人とも…

宝物 (20世紀少年 第868回)

先般ある禅僧の講話を拝聴する機会がありました。一概にこう言っては失礼かもしれないが、昨今およそ僧侶のお話しに聞き入るというような機会がない。こちらの感受性のせいなのか、それとも相手の問題なのか。 ともかく今回のお坊さんの話は幸いにして面白く…

パンチアウト (20世紀少年 第867回)

パンチアウトというボウリング用語は、この漫画を読むまで知らなかった。もちろん、それを成し遂げたこともない。カンナを救うべくオッチョが風を巻いて秘密基地目指し疾走しているころ、ケンヂはヴァーチャル・アトラクション(VA)の中で同じくカンナの身…

往生際 (20世紀少年 第866回)

今日は筋の展開から少し離れて一休み。今後のために復習します。”ともだち”の往生際についてである。フクベエの往生際は悪かった。「やだ」を3回も言っている。倒れた際に理科室の装置や実験道具も壊した。 もっとも、いきなりピストルで撃たれて、まだ少し…

地雷を踏んだらサヨウナラ (20世紀少年 第865回)

生まれる前の放送なので見たことはないが、ナショナルキッドの親戚のようなヒーローが活躍する「スーパージャイアンツ」という実写のテレビ番組があったらしい。主演は宇津井健さんである。合掌。 私も持っているがロック・バンド「ブラインド・フェイス」の…

トキワ荘 (20世紀少年 第864回)

下巻の85ページには、久しぶりに常盤荘が出てくる。モデルとなったトキワ荘は、私が子供のころにはもう有名になっていた。「20世紀少年」に出てくる数々のマンガやアニメも、ここから世に出たものが少なくない。登場人物のモデルも大勢ここで暮らしてマンガ…

ともだちの家 (20世紀少年 第863回)

敷島の大和心を人問はば朝日に匂ふ山桜花 たまには格調高く始めました。新渡戸稲造の「武士道」にも引用された本居宣長の一首である。敷島は万葉集では磯城島、古事記では崇神天皇や垂仁天皇の都として師木という仮名で出てくる。由緒ある日本国の地名であり…

しんしんよげんの書 (20世紀少年 第862回)

またも最初は脱線から。少し前にNHKの経営委員になった長谷川三千子氏の昔の文章が一部の新聞等で問題にされた。それは追悼文であり私も覚えている事件だが、朝日新聞社の本社で拳銃自殺した野村秋介氏に向けてのものである。経歴によればケンヂ一派顔負けの…